女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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幸せの香り

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 多分テントの予定地に着いた筈。まだ何者かの腹の中なので外が見えない。
ナイフで食道の入口を切り、続いて腹を掻っ捌く。腹の中から顔を出すと、何故かテイカ以外の全員からジト目を頂いた。テイカなんてテント作りに集中して此方に目もくれない。解せぬ。
嘆いても仕方無いのでとっとと捌いてしまおう。

俺を食った奴はとにかく大きな魚だった。長さ七~八ハーンくらいあるだろうか。
見た目クエに似てるが鱗がデカい。内側から切ったから切れたけど、鱗が硬くて普通には切れないな。
腹から再び中に入って腹を完全に開き、内臓を取り出す。その後で腹身から切り取って柵にして行った。油たっぷりで美味そうな白身だ。
醤油!山葵!酢飯!
どれも無いので塩焼きだな。
大トロの柵をメイドに渡し、料理してもらう。俺は解体の続きだ。
鱗が剥げないので獣と同じ様に皮を剥いで行く。皮も硬いので意外と剥きやすい。干したら何かに使えそう。
柵取りしながら皮を剥ぎ、半身が終わった所で飯の時間になった。

 魚の焼いたのは焼肉では無く焼き魚だ。串に刺して焼いてあるので串焼き魚である。
マタル粉を付けて焼いてあるので外はカリカリになっている。中はとてもジューシーで、醤油と米が欲しい。

「カケル様、さっきは何で魚の中に居たのですか?」

「食われたんだよ」

「ま!?」

「てっきり何かの遊びかと…」

「凄い事してるなーって思ってた」

  「素敵でした!」
もっと声張ってこ?

「丸呑みにされてなきゃ死んでたぞ」

「頑張って捕獲されていたのですね。感謝して頂きますね」

「カケル美味しい」

「後で背中を流してやる!」

  「私は前を流します!」
飯を食ったら魚の続きだ!全員で捌いて干して、夜が更けた。

皆疲れて風呂では大人しかった。今夜は大人しく寝よう。干し肉の香り漂うテントで大人しく寝た。

 朝起きて違和感に漸く気付く。
干し肉匂い過ぎじゃね?と。目を開けると、テントの屋根が干し肉だった。否、干し肉では無く干した皮だ。
外に出てうわぁーってなった。ドラゴンの皮じゃねーか。何とお高いテントだろうか。

「おはようございます。気付かれましたか」

テイカが良い笑顔で寄って来た。撫でざるを得ない。

「被せるだけだから手軽で良いな。干し肉の匂いがちと強いが」

「幸せの香りです」

朝食は魚の一夜干しだった、美味しかったです。
食休みのお茶を飲んだら作業開始だ。

 植樹した木の枝を払いながら成長させて、太い丸太を量産する。さて、このままログハウスにして良いものか…。
角材で十五×二十五ハーンの木枠を作り、床に置く。角の繋ぎ目はコの字に切って嵌めただけ。ここから各部屋の割り当てを決めながら仕切りの位置を決めて行こう。
話し合いの結果、玄関入ってリビングキッチン、左に風呂、左奥にトイレ、玄関右に階段を付けて、二階は全て寝室とした。
墨で仕切りの線を引き、切った角材を枠に取り付けて行く。リビングキッチンは少し強度が足りないので壁を足した。
二段目を乗せて行くが、重ねただけなので当たり前だがズレる。そこでイゼッタの光魔法だ。角材になって間もないので活性化させると接合部が盛り上がって癒着した。昨日作った床にも無事癒着してくれた。
十段重ねて大体三ハーン。光魔法で癒着させたら今日の分の組み上げは終わりとした。
次にドアと窓の取り付け。ドアは玄関、裏口、浴室、トイレの四箇所に、ドアはリビングキッチンに二つ、他の部屋は一つずつ取り付けた。

今日のメインとなる風呂を作る。厚めの板を幅広に癒着させ、それを組んで大きな浴槽にした。
防水加工はしてないが、乾燥させれば何とかなるだろう。
テイカがいつの間にか棚を作ってくれた。脱衣棚だそうな。偉いぞ。その後もテイカは棚を作り続けた。

それにしても、あんなに苦労した風呂作りがこんなに早く完成するなんて…。

「イゼッタは凄いな」

「ご褒美欲しいな」

「コレで良いか?」

「朝まで独占」

風呂が沸く時間も惜しんで風呂場でご褒美を与えた。


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