女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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地獄が始まる

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 翌日は、作業があるからとゴネにゴネ、午前中は作業の時間を捥ぎ取った。幾らか男らしい顔付きになった少年隊も嬉しそうに作業の手伝いに行った。
俺は瓦作りをしながら、壁を削るテイカのサポートに従事する予定だが、今はまだ足の着く場所を削っているので瓦作りに集中だ。

先ずは押出し型を作る。板の上に柔らかい状態にした煉瓦を乗せて、厚さ二ドン程の薄い長方形の穴を開ける。そして上下の瓦が重なる所を厚みの半分、互い違いに削り取り、固める。板から外して、上から柔らか煉瓦を押し込めば、瓦がニュルニュル出てくる仕組みだ。天辺用に出っ張りの無い型も作っておく。

「カケルさん、土魔法が上達しましたね」

褒めて伸ばすリュネ先生が見回りに来た。

「スキルと併用してるだけだから、上達してるとは言えないよ。瓦の状態でぽぽぽぽーんと出せたら良いんだけどね」

お茶の時間を告げに来たそうで、型作りに時間を掛け過ぎた事に焦る。本日のお茶は謹んで御遠慮しました。

型を持って三階の屋根に上がり、下から順に、左右はみ出るように柔らか煉瓦を押し出して行く。最初は軒もはみ出るように、ニュルニュルニュルニュル…。端まで出したら切り取って、戻りながら煉瓦同士が重なる所に木釘を点々打ってやる。それを続けて十数段。屋根の頂点までやったら次の面だ。

「カケル様、良ろしいですか?」

下から聞こえる声はテイカ。背の届く範囲は終わったのかな?

「どうした?抱き上げて欲しいのか?」

「今直ぐ抱いて欲しいですが、もう少しお待ち下さい。お茶を持って来ましたよ」

「仕事も出来て気配りの出来るテイカは良い女だな」

「持って来たのは私」

「お休み期間なのにお手伝いしちゃうイゼッタも良い女だよ。抱っこしてやろう」

抱き寄せてチュッチュして胸にスリスリ。しかし光陰矢の如し、後反面は終わらせたいので渋々作業に戻る。片面やって慣れたので、もう片面はスピードアップ出来た。天辺は先に柔らか煉瓦を粘土のように盛り上げて、その上から瓦となるニュルニュルを乗せて固める事三回。何とか昼前迄にリュネの部屋の屋根を葺き終えた。テイカはと言うと、自分の背丈迄の壁に煉瓦模様の筋を入れたり、柱に見えるように段差にして削り出したりと工夫を凝らしていた。俺と同じくまだ慣れていないようで時間を掛けていたが、納期は無いのでゆっくりやりたまえ。

「カケルー、ごはーん」

テイカを褒めて揉んでしているとイゼッタが飯の時間を伝えに来たので午前の仕事は終了だ。二人の尻を撫でながら移動した。


 昼飯は軽くで済ませ、地獄が始まる。満面の笑みで自身の周りを小石を飛ばし回す姿はまるでニュータイプ専用機のようだ。しかも赤いので三倍速いぞ。
今は鱈腹食って早々に動けなくなった馬鹿を一人抱えて走ってます。因みに此奴等三人、兄弟なのだと。長男で悪路みたいな名前のダート、次男と三男は双子で、暖かそうな名前の次男ニット、食い過ぎた馬鹿は三男のガットだ。

「うっ、ぐぇっ、はき、そ…」

「吐けば楽になるぞ!俺がな!吐いて走れ!」

川を渡りながら水を飲ませたら無理矢理リバースさせ、手を繋いで走らせた。身長差があるから担いで走るよりもキツい。それでも暫くすると一人で走れるようになってくれた。マジ助かる。

「カケルさま、ガットが、すまねえ」

「おんに、きる、ぜ」

「あり、がっと」

「礼は実力で返せ!とにかく生き残るんだ!」

「「「おう!」」」

そして夕方、全員死に掛けて終了した。

「死なせる訳が無かろう、生かす為にやっているのだ」

最もなお言葉ですが、獲物を狩る鷹の目でしたよ?
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