女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
379 / 1,519

俺だと思って抱いて寝なさい

しおりを挟む


 いちいち新規で家を建てなくて済んだ事、そしてキュルケスの魔法が安定して来た事により行程が早くなった。休憩時間が伸びる程度だが、休憩は大事だ。まだ日がある内に宿営地に到着出来た俺達は、ササッと家を設置して、休憩がてらワーリンに魔力の練り方を教えていた。体裁的にはお子様二人のお守りなのだが、二人も教えると言うのでやらせてみた。

「こう。グルグルって」

「それを捏ねるのです」

天才タイプの子供等に、教える事は不向きなようだ。

「集中すると、血液の他にも流れが感じられる筈よ?探してみて」

「んー、わっかんねーなー」

キュルケスの的確なアドバイスにも理解を示せないで居る。だが、魔力臓器が活性化してないのだから仕方無いだろう。俺もそうだったしな。

「ワーリン、こっち来てみろ」

胡座をかいた俺の太腿に座らせて、ギュッと抱き着く。アイツとお尻が密着するのを強く感じるが今はその時では無い。

「わう、子供達の前でっ」

「馬鹿め。集中しろ」

目を閉じて集中するワーリンに向けて魔力を放つ。魔力が見える三人はギョッとしてるな。

「お前さんの圧が凄い…」

「それが俺の魔力だ。今は三人が引く程出してるが、魔力を抑えて放つから俺の手のある辺りに掻き集めて捏ね回してみろ」

手を置いてるのは子宮の辺り。俺が初めて魔力を感じた場所でもある。体と手から魔力を流し、流れを作ってやると、暫くして、何となくだが動かしてるような淀みが生まれ始めた。

「おお!ワーリンやりそう!」

「頑張ってー」

俺から垂れ出た魔力を纏めて捏ねてる天才二人に励まされ、何とか魔力の流れから千切り取って丸め出した。魔力臓器も温まってるな。

「今日はここまでだな。熱が出ちゃうと仕事に影響が出てしまう」

「うひー…。動き回るより疲れるぅ。お前さん、これどーしたら良いの?」

「俺だと思って抱いて寝なさい。その内吸収されるから」

下腹部を擦るワーリンだが、意外と満更でもない様子。

「私も欲しい!」「僕も!」

天才二人に両腕をホールドされ仕方なく、そう仕方なく魔力を流してあげた。

「顔、ニヤけてるわよ?」

「あら?消えちゃいました」「うん…」

「まあ、そうなりますよね。魔法を使えるのですから」

使い慣れてるのだから吸収されてしまうのは当然なのだ。ハークは魔力貰った事あるだろ。魔法が使えて尚俺の魔力を吸収しないように出来るのは彼奴くらいのもんだ。凄く会いたい。

「何だか胸の奥が温かい気がするよ」

「魔力臓器が活性化しだしてるからだな。その内治まるが、熱が出るようなら冷やしてやるよ」

 飯を食って風呂に入って、夜警と言う名の夜更かしをしてる辺りで予想通り熱が出た。濡らした紙タオルで頭と首を冷やし、今夜はもう寝ろ。

「魔力臓器なんて初めて聞いたわ」

ワーリンを寝かし付け、椅子に座って出入口を見張る。話の中でキュルケスが先程の魔力臓器について聞いて来た。

「簡単に言えば魔石を包んでる組織だ。モンスターから魔石を取り出した事はあるだろ?」

「あるわ」

「モンスターには魔石が出来るが、人には出来無い。そんだけの事だな」

「何で魔石が出来ないの?」

「さあなあ。けど、魔石を食った野獣は魔獣になるだろ。食いたくはないが、人も魔石を食ったら出来るんじゃね?」

「食べるならお肉だけにしたいわね。魔獣みたいに凶暴化したくないし、売れるから勿体無いわ」

「内臓にも魔力がたっぷり含まれてるのは知ってるか?」

「知らなかったけど、何となく納得出来る話ね。魔力が循環するんだから逆に無い方が不自然だわ」

「龍は子供に餌を丸ごと食べさせて魔力を吸収させて行くと言う」

「それはウソっぽい。ふふっ」

信じるか信じないかは、あなた次第です!
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...