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同じ穴の狢
しおりを挟む「エントランスもシャンデリアも無くてすまんな。俺にはそう言う物を創るセンスが無いんだ」
「とんでもない。暖かく安全に寝られる事の重要さに比べれば瑣末な事にございます」
メイド長は分かってらっしゃる。炊事場に薪を持ち込んで暖炉の代わりにしながらお茶を淹れてくれたので暫し休憩。荷物が二倍でランタンも二倍あるので意外と明るい室内になった。まだ屋根付けてないけどな。
休憩したら《威圧》工法で屋根を張って、各部屋に簡易ベッドやドアを置いたり新設して施行完了。風呂でも沸かすか。
今回の風呂は二つ。お湯は浴槽下部で繋がっているが、湯量が二倍なので早目に沸かしたいんだ。何時も忘れがちな脱いだ服とタオル等を置く台を作り、紙タオルもどっさり置いといた。尻拭く紙も忘れがちだ。真の施行完了である。
護衛が二倍なので俺達と馭者の護衛任務が無くなった。
「貴殿の働きに見合う働きをせねば我らが無能となってしまうからな」
だそうです。遠慮無くサボらせて頂こう。俺達の部屋にて、雑木紙の絨毯の上でゴロ寝しているとハークとアルアが遊びに来た。メイド達は料理してるし、護衛や馭者は仕事中なので暇を持て余していたのだろう。トカゲモドキを狩った話を聞きたいそうなので、三人でゴロ寝してゴモランさんが暴れだした辺りから話してやった。
「私も、ドラゴン食べたかったです」
「僕だってこーんな欠片しか食べられなかったよ。味なんて分かんなかった!」
人差し指と親指でCの文字を表すハーク。しかしCは限りなくOに近かった。
「丸一匹くれてやったのにそれは無いよなー」
「お任せ下さいませ、坊っちゃま、姫様」
出来る男が意味ありげな事を言う。なんとトカゲの肉をこっそり拝借して来たそうで、三日分のスープにしかならぬ量だと言うが、それは結構な量だと思うぞ?皮を剥ぐ際肉毎削ぎ切って、掻き集めたのを志同じくする同士に提供されたのだと。ギルドのジジババと同じ穴の狢か、納得。
大絶賛する二人に何時死んでも本望な顔の執事。平和で何よりだ。
順繰り順繰り夕飯食べて、風呂に入って良い子と依頼者は寝る時間。流石に夜勤まで休む訳には行かないので俺達も交代に加わった。人数が多くて夜更かし程度の時間で終わってしまったがな。
翌日は夜明け前から起き出して、朝食を食べたら片付けをして出発だ。次の宿営地でも使えるように建物全てを《収納》して移動を開始した。
キュルケスの巻き起こす風が雪を吹き散らし、目の前は轟音轟く猛吹雪。モンスターも野獣も近付く事無く去って行く。音を立てると寄って来るとは言うものの、レベルが違えば逆の結果となるのだ。
「やっぱ魔法は派手だなー。オレ何も役に立って無え」
「立ってるぞ?目の前におっぱいがあるだけで幸せな気分になれる」
「戦って役に立ちたいよ!」
「護衛任務は戦わないのが一番なんだよ。この依頼が終わったらジョンくんと模擬戦でもするか?」
「それはヤダ」
「俺もだ。彼奴は殺さないと勝てない気がする。そして勝ったらギルマスを押し付けられそうだ」
「勝っても負けてもやる時点で負けなのね。そろそろ魔力が足りなくなるわ」
キュルケスの中に魔力を注入し、昼食の為の休憩地迄頑張ってもらった。
休憩地の雪は運動不足なワーリンを遊ばせてやる為に俺が《収納》で除雪した。雪玉を出して投げるので躱すなり蹴散らすなりしろって言って投げ出したらはしゃぎ回って蹴散らしてた。そこにハークとアルアも参加して楽しくお腹を空かせる事が出来た。アルアの魔法も中々強いぞ。水球を出して雪玉と相殺させたり、水で湿らせた雪玉を投げ付けて風邪を引かそうとして来たからな。侮れん娘だ。
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