女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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俺だと思って抱いて寝なさい

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 いちいち新規で家を建てなくて済んだ事、そしてキュルケスの魔法が安定して来た事により行程が早くなった。休憩時間が伸びる程度だが、休憩は大事だ。まだ日がある内に宿営地に到着出来た俺達は、ササッと家を設置して、休憩がてらワーリンに魔力の練り方を教えていた。体裁的にはお子様二人のお守りなのだが、二人も教えると言うのでやらせてみた。

「こう。グルグルって」

「それを捏ねるのです」

天才タイプの子供等に、教える事は不向きなようだ。

「集中すると、血液の他にも流れが感じられる筈よ?探してみて」

「んー、わっかんねーなー」

キュルケスの的確なアドバイスにも理解を示せないで居る。だが、魔力臓器が活性化してないのだから仕方無いだろう。俺もそうだったしな。

「ワーリン、こっち来てみろ」

胡座をかいた俺の太腿に座らせて、ギュッと抱き着く。アイツとお尻が密着するのを強く感じるが今はその時では無い。

「わう、子供達の前でっ」

「馬鹿め。集中しろ」

目を閉じて集中するワーリンに向けて魔力を放つ。魔力が見える三人はギョッとしてるな。

「お前さんの圧が凄い…」

「それが俺の魔力だ。今は三人が引く程出してるが、魔力を抑えて放つから俺の手のある辺りに掻き集めて捏ね回してみろ」

手を置いてるのは子宮の辺り。俺が初めて魔力を感じた場所でもある。体と手から魔力を流し、流れを作ってやると、暫くして、何となくだが動かしてるような淀みが生まれ始めた。

「おお!ワーリンやりそう!」

「頑張ってー」

俺から垂れ出た魔力を纏めて捏ねてる天才二人に励まされ、何とか魔力の流れから千切り取って丸め出した。魔力臓器も温まってるな。

「今日はここまでだな。熱が出ちゃうと仕事に影響が出てしまう」

「うひー…。動き回るより疲れるぅ。お前さん、これどーしたら良いの?」

「俺だと思って抱いて寝なさい。その内吸収されるから」

下腹部を擦るワーリンだが、意外と満更でもない様子。

「私も欲しい!」「僕も!」

天才二人に両腕をホールドされ仕方なく、そう仕方なく魔力を流してあげた。

「顔、ニヤけてるわよ?」

「あら?消えちゃいました」「うん…」

「まあ、そうなりますよね。魔法を使えるのですから」

使い慣れてるのだから吸収されてしまうのは当然なのだ。ハークは魔力貰った事あるだろ。魔法が使えて尚俺の魔力を吸収しないように出来るのは彼奴くらいのもんだ。凄く会いたい。

「何だか胸の奥が温かい気がするよ」

「魔力臓器が活性化しだしてるからだな。その内治まるが、熱が出るようなら冷やしてやるよ」

 飯を食って風呂に入って、夜警と言う名の夜更かしをしてる辺りで予想通り熱が出た。濡らした紙タオルで頭と首を冷やし、今夜はもう寝ろ。

「魔力臓器なんて初めて聞いたわ」

ワーリンを寝かし付け、椅子に座って出入口を見張る。話の中でキュルケスが先程の魔力臓器について聞いて来た。

「簡単に言えば魔石を包んでる組織だ。モンスターから魔石を取り出した事はあるだろ?」

「あるわ」

「モンスターには魔石が出来るが、人には出来無い。そんだけの事だな」

「何で魔石が出来ないの?」

「さあなあ。けど、魔石を食った野獣は魔獣になるだろ。食いたくはないが、人も魔石を食ったら出来るんじゃね?」

「食べるならお肉だけにしたいわね。魔獣みたいに凶暴化したくないし、売れるから勿体無いわ」

「内臓にも魔力がたっぷり含まれてるのは知ってるか?」

「知らなかったけど、何となく納得出来る話ね。魔力が循環するんだから逆に無い方が不自然だわ」

「龍は子供に餌を丸ごと食べさせて魔力を吸収させて行くと言う」

「それはウソっぽい。ふふっ」

信じるか信じないかは、あなた次第です!
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