383 / 1,519
鼻の奥がツーンとする
しおりを挟む「お前さん、何か臭いね」
ワーリンも気付いたか。
「集まり切るまで放っとこう」
「うん」
とは言え何もしない訳じゃ無い。街道の奥にも斥候は居る。俺達を見付けた斥候が戻ったら、そいつを戻すのに一人移動する筈だ。三リット程で斥候が着き、暫くして猛スピードで一人外に出て行った。暫く移動して居たが途中で止まり、暫くして奥の斥候が移動を始めた。連絡手段があるみたいだな。繋ぎ役は待たずに戻る。此処だな。繋ぎ役と奥の斥候を《収納》…はご飯入ってるので止めとこう。ならば《集結》にしよう。二人の脳を《集結》して、元々無い脳みそを更に小さくしてやると、その場に倒れ込んで死んだ。
その頃、休憩地の賊共は二手に別れて挟み撃ちの用意をしていた。手間が増えるので別れる前で良かった。休憩地を《威圧》の壁で囲い密閉する。そして、中の空気を一点に《集結》させた。酸欠で藻掻く賊を何度も《洗浄》し、体温を奪い、命も奪った。
脳死した二人と酸欠死した大勢を一塊にして空に上げる。これから飯を食うのに汚物は見たくないからな。千ハーン程迄上げた所で休憩地に到着した。雪も汚く見えたので浮かせて投げ捨てたよ。《収納》の便利さを痛感した。
「賊は何処か?」
「仕事を奪ってすまない。あれが見えるか?」
「あれが賊か…。何となく理由は理解出来る。ご苦労であった」
子供達が迂闊に攻撃なんぞして、心の傷になって欲しく無くて先行したのを解ってもらえたようだ。ハークは経験者だ。為政者になる以上命のやり取りをする事もある。だけどアルアはそんなの見なくて良いんだ。
「カケルずるい!」
ゾーイ車から身を乗り出して抗議するハークを窘める。
「アルアには見て欲しくない顔だったんだよ。そこら中におしっこしてて臭かったしな」
「臭いのは嫌です」
「そう言う事だ。肩車してやるから許せ」
「そんな言葉に騙されないぞー、もおー」
しっかり肩車されるハークきゅんでした。
昼飯の後の移動は形式的に必要なのでゾーイ車に乗ってもらい街へ向かった。宙に浮かせた人の塊も一緒だ。そして、日が傾いて街の奥に沈み掛ける頃。予定より幾分早く街に到着した。貴族門をゾーイ車が潜る。俺達は歩いて通る。東通りを過ぎて西通りの途中でゾーイ車が停まった。これで俺達の依頼が終了となる。降りて来たブルランさんに形式上の言葉と依頼達成証を貰い、貴族街に消えるゾーイ車達を見送った。言葉無く手を振る二人は泣きそうな笑顔で、思わず鼻の奥がツーンとする。
直ぐにでも宿で寝たいが、報告は優先なのでギルドに向かい、受付嬢に依頼達成証を渡す。序に野盗を五十人ちょっと殺して捕獲してある旨を伝えると、人を集めるので暫く待つように言われた。唯待つのも勿体無いので、キュルケスとワーリンには猟師宿樵に部屋を取ってもらいに行かせ、俺は二人のギルド証を預かって一人で待つ事に。
「カーケールくーん、ひっさしーぶりー」
人を集めるってお前もかジョンくん。
「護衛依頼から帰って来たよ。これでランクが上がらなかったらもう家に帰るぞ?」
「そんな連れない事言うなよ。サブマスもちゃんと増やして仕事覚えさせてんだから。で野盗共は何処だ?」
「一杯居るから外に出ようか?門限過ぎても締め出したりしないだろ?」
「仕事だから大丈夫だろ。閉めたらシメてやんよ」
ジョンくんを筆頭に二十人のマッチョ、解体職人が集まって門の外に移動した。
「で、何処だ?」
「今出すから待ってなさい」
出すと言っても空にはあるんだがな。すーっと降ろして《集結》を解除すると、どさっと死体が崩れた。
「詳しい事はギルドで聞く。お前ら頼むぞ!?」
「「「「「おう!」」」」」
死体の足を捕まえて、その上に二つ乗せて引き摺って行く。ギルドの裏手に行くみたいだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる