女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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鼻の奥がツーンとする

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「お前さん、何か臭いね」

ワーリンも気付いたか。

「集まり切るまで放っとこう」

「うん」

とは言え何もしない訳じゃ無い。街道の奥にも斥候は居る。俺達を見付けた斥候が戻ったら、そいつを戻すのに一人移動する筈だ。三リット程で斥候が着き、暫くして猛スピードで一人外に出て行った。暫く移動して居たが途中で止まり、暫くして奥の斥候が移動を始めた。連絡手段があるみたいだな。繋ぎ役は待たずに戻る。此処だな。繋ぎ役と奥の斥候を《収納》…はご飯入ってるので止めとこう。ならば《集結》にしよう。二人の脳を《集結》して、元々無い脳みそを更に小さくしてやると、その場に倒れ込んで死んだ。
その頃、休憩地の賊共は二手に別れて挟み撃ちの用意をしていた。手間が増えるので別れる前で良かった。休憩地を《威圧》の壁で囲い密閉する。そして、中の空気を一点に《集結》させた。酸欠で藻掻く賊を何度も《洗浄》し、体温を奪い、命も奪った。
脳死した二人と酸欠死した大勢を一塊にして空に上げる。これから飯を食うのに汚物は見たくないからな。千ハーン程迄上げた所で休憩地に到着した。雪も汚く見えたので浮かせて投げ捨てたよ。《収納》の便利さを痛感した。

「賊は何処か?」

「仕事を奪ってすまない。あれが見えるか?」

「あれが賊か…。何となく理由は理解出来る。ご苦労であった」

子供達が迂闊に攻撃なんぞして、心の傷になって欲しく無くて先行したのを解ってもらえたようだ。ハークは経験者だ。為政者になる以上命のやり取りをする事もある。だけどアルアはそんなの見なくて良いんだ。

「カケルずるい!」

ゾーイ車から身を乗り出して抗議するハークを窘める。

「アルアには見て欲しくない顔だったんだよ。そこら中におしっこしてて臭かったしな」

「臭いのは嫌です」

「そう言う事だ。肩車してやるから許せ」

「そんな言葉に騙されないぞー、もおー」

しっかり肩車されるハークきゅんでした。

 昼飯の後の移動は形式的に必要なのでゾーイ車に乗ってもらい街へ向かった。宙に浮かせた人の塊も一緒だ。そして、日が傾いて街の奥に沈み掛ける頃。予定より幾分早く街に到着した。貴族門をゾーイ車が潜る。俺達は歩いて通る。東通りを過ぎて西通りの途中でゾーイ車が停まった。これで俺達の依頼が終了となる。降りて来たブルランさんに形式上の言葉と依頼達成証を貰い、貴族街に消えるゾーイ車達を見送った。言葉無く手を振る二人は泣きそうな笑顔で、思わず鼻の奥がツーンとする。

 直ぐにでも宿で寝たいが、報告は優先なのでギルドに向かい、受付嬢に依頼達成証を渡す。序に野盗を五十人ちょっと殺して捕獲してある旨を伝えると、人を集めるので暫く待つように言われた。唯待つのも勿体無いので、キュルケスとワーリンには猟師宿樵に部屋を取ってもらいに行かせ、俺は二人のギルド証を預かって一人で待つ事に。

「カーケールくーん、ひっさしーぶりー」

人を集めるってお前もかジョンくん。

「護衛依頼から帰って来たよ。これでランクが上がらなかったらもう家に帰るぞ?」

「そんな連れない事言うなよ。サブマスもちゃんと増やして仕事覚えさせてんだから。で野盗共は何処だ?」

「一杯居るから外に出ようか?門限過ぎても締め出したりしないだろ?」

「仕事だから大丈夫だろ。閉めたらシメてやんよ」

ジョンくんを筆頭に二十人のマッチョ、解体職人が集まって門の外に移動した。

「で、何処だ?」

「今出すから待ってなさい」

出すと言っても空にはあるんだがな。すーっと降ろして《集結》を解除すると、どさっと死体が崩れた。

「詳しい事はギルドで聞く。お前ら頼むぞ!?」

「「「「「おう!」」」」」

死体の足を捕まえて、その上に二つ乗せて引き摺って行く。ギルドの裏手に行くみたいだ。
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