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うちの子凄く健気!
しおりを挟む野生がどっか行っちゃった寝相をそっとして倉庫を出た。元の姿ではどんな寝方してたのか予想も出来ん。
「この後はどうなさいますか?」
「何もする事が無い。否、多分あるんだろうが思い出せない」
「でしたら此方へ」
誘われるままにホイホイ付いて行く俺は、母屋の居間に連れてかれた。
「カケル様、これを」
テイカが摘んで見せて来たのは以前ミスリルで作ったちっちゃいゲルの置物だ。
「ミスリルの精製か」
「カララ様の許可が下りたそうで、服を作るとリュネ様が息巻いてました」
「随分重そうな服になりそうだな」
服を着る気になった心境の変化は不明だが、可愛い娘がより可愛くなるのならパパ嬉しい。しかしミスリルを使った服はさぞ重かろう。ふりふりでなく、重いのが嫌なんじゃなかろうか。
岩山へ行こうとすると、テイカが背中に柔らかい物を押し付けてきたので多幸感を味わいながら飛んで向かった。
岩石から鉱物を取り出す場合、《散開》でスカスカにしてから《集結》で取り出すのが今の所一番早い。砕けてガラガラしてるビリ共を浮かせて纏め、ミスリルとその他に分けた。残りカスはそのまま放置すると風に乗って飛んでってしまうので、此方もある程度固めて石に戻って頂く。土魔法で石を作れるようにしたいな。煉瓦で風呂を作ると肌触りザラザラするんだよね。焼肉焼く時もしっかり脂を塗らないと張り付くし。まあ、それは後でやろう。
かなりの石を集めて絞り出したミスリルだったが、以前俺が厳選した事もあって、その量は硬球にやや足りない程度。カラクレナイの巨体には全然足りないので穴を掘るしかない。足元を一平方ハーン、深さを百ハーンで真っ直ぐ下に《散開》し、ミスリルを浮かせて《集結》させ、残りカスも固めるのを繰り返す。二十回程やって、スイカ大から腕周り大まで、様々な大きさのミスリル玉が生み出された。傾き出した陽の光でブロック状の段差に影が伸びる。
帰宅して、テイカを降ろし、夕飯の支度に向かうのを見送って、俺は再び暇になる。母屋の玄関前に座り込んで黄昏てみた。夕焼けが赤いなー…。
「カケルーご飯なの」
俺はご飯じゃない。配膳前に入らなきゃ行けない真っ赤な塊は、暇な俺を捕まえて自分の退屈を晴らそうと言う腹積もりなのだろう。優しく抱えられたら逃げ出す事等出来無かった。暇だしな。
カラクレナイが定位置に入り、蓋をするようにテーブルが並べられる。お腹の横に座る俺も定位置になりつつある。
「カケル、カララね、服作ってもらうの」
「リュネが張り切ってるらしいな」
「だからね、カララも街行ってもいいと思うの」
「そうだな。けど俺はまだ、街に行く用事が無いんだ。それに、カラクレナイが街に入れるかわからんぞ?」
「ぐぇー、おっきいから?」
「サミイのママの家には入れないだろうなー。カロ邸はそれなりに広いけどやっぱり入れないよな。庭にカラクレナイ用の家を建てなきゃならん」
「ちっちゃくならなきゃ、ダメ?」
「根回しは必要だな」
「なにそれ」
「先に家作ったり、ママ上殿を驚かせないようにお話しとくって事」
「おっきいから?」
「ご飯一杯作るしな」
「いっぱい食べるの」
「そうだな。小さくなれたらもっと驚いちゃうかも」
「いっぱいれんしゅうするの」
うちの子凄く健気!あ、泣きそ。抱き着いて撫で回して心の汗を隠した。
「何泣いてる?」
イゼッタに見付かってしまった。
「べ、別に、カラクレナイの健気さに心打たれてただけだし」
「奥様、カケル様は子煩悩になりますね」
シャリーが後ろに隠れてた。…って、普通に配膳しに来ただけか。
「既に親馬鹿」
「ロリコンですしね」
「カケルさんはマザコンですよ?」
巨大肉を持ったリュネとワーリンが加わった。
「あっちではショタコンの気もあったな」
何処に居た?反応の早い駄メイドめ。
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