女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
393 / 1,519

うちの子凄く健気!

しおりを挟む


 野生がどっか行っちゃった寝相をそっとして倉庫を出た。元の姿ではどんな寝方してたのか予想も出来ん。

「この後はどうなさいますか?」

「何もする事が無い。否、多分あるんだろうが思い出せない」

「でしたら此方へ」

誘われるままにホイホイ付いて行く俺は、母屋の居間に連れてかれた。

「カケル様、これを」

テイカが摘んで見せて来たのは以前ミスリルで作ったちっちゃいゲルの置物だ。

「ミスリルの精製か」

「カララ様の許可が下りたそうで、服を作るとリュネ様が息巻いてました」

「随分重そうな服になりそうだな」

服を着る気になった心境の変化は不明だが、可愛い娘がより可愛くなるのならパパ嬉しい。しかしミスリルを使った服はさぞ重かろう。ふりふりでなく、重いのが嫌なんじゃなかろうか。
 岩山へ行こうとすると、テイカが背中に柔らかい物を押し付けてきたので多幸感を味わいながら飛んで向かった。
岩石から鉱物を取り出す場合、《散開》でスカスカにしてから《集結》で取り出すのが今の所一番早い。砕けてガラガラしてるビリ共を浮かせて纏め、ミスリルとその他に分けた。残りカスはそのまま放置すると風に乗って飛んでってしまうので、此方もある程度固めて石に戻って頂く。土魔法で石を作れるようにしたいな。煉瓦で風呂を作ると肌触りザラザラするんだよね。焼肉焼く時もしっかり脂を塗らないと張り付くし。まあ、それは後でやろう。
かなりの石を集めて絞り出したミスリルだったが、以前俺が厳選した事もあって、その量は硬球にやや足りない程度。カラクレナイの巨体には全然足りないので穴を掘るしかない。足元を一平方ハーン、深さを百ハーンで真っ直ぐ下に《散開》し、ミスリルを浮かせて《集結》させ、残りカスも固めるのを繰り返す。二十回程やって、スイカ大から腕周り大まで、様々な大きさのミスリル玉が生み出された。傾き出した陽の光でブロック状の段差に影が伸びる。

 帰宅して、テイカを降ろし、夕飯の支度に向かうのを見送って、俺は再び暇になる。母屋の玄関前に座り込んで黄昏てみた。夕焼けが赤いなー…。

「カケルーご飯なの」

俺はご飯じゃない。配膳前に入らなきゃ行けない真っ赤な塊カラクレナイは、暇な俺を捕まえて自分の退屈を晴らそうと言う腹積もりなのだろう。優しく抱えられたら逃げ出す事等出来無かった。暇だしな。
 カラクレナイが定位置に入り、蓋をするようにテーブルが並べられる。お腹の横に座る俺も定位置になりつつある。

「カケル、カララね、服作ってもらうの」

「リュネが張り切ってるらしいな」

「だからね、カララも街行ってもいいと思うの」

「そうだな。けど俺はまだ、街に行く用事が無いんだ。それに、カラクレナイが街に入れるかわからんぞ?」

「ぐぇー、おっきいから?」

「サミイのママの家には入れないだろうなー。カロ邸はそれなりに広いけどやっぱり入れないよな。庭にカラクレナイ用の家を建てなきゃならん」

「ちっちゃくならなきゃ、ダメ?」

「根回しは必要だな」

「なにそれ」

「先に家作ったり、ママ上殿を驚かせないようにお話しとくって事」

「おっきいから?」

「ご飯一杯作るしな」

「いっぱい食べるの」

「そうだな。小さくなれたらもっと驚いちゃうかも」

「いっぱいれんしゅうするの」

うちの子凄く健気!あ、泣きそ。抱き着いて撫で回して心の汗を隠した。

「何泣いてる?」

イゼッタに見付かってしまった。

「べ、別に、カラクレナイの健気さに心打たれてただけだし」

「奥様、カケル様は子煩悩になりますね」

シャリーが後ろに隠れてた。…って、普通に配膳しに来ただけか。

「既に親馬鹿」

「ロリコンですしね」

「カケルさんはマザコンですよ?」

巨大肉を持ったリュネとワーリンが加わった。

「あっちではショタコンの気もあったな」

  「詳しく。詳しく!」
何処に居た?反応の早い駄メイドめ。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...