女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
446 / 1,519

人気者

しおりを挟む


 帰る途中で仮眠ありの休憩をして、ダンジョンを出たのは昼前だった。シャバの空気が美味いぜ。

「まぶしい」

「帰って来れた…」

新雪が輝いて、キレイなんだが目に悪いな。俺の体に顔をめり込ませるネーヴェ。そして目を閉じて大手を広げ、日差しを全身に浴びるジョン。

「ジョン様、ご無事で何より。皆もご苦労」

入口を守る衛兵に労われ、ギルドへと戻った。

「「「ジョン様!」」」「「「ジョンさん!」」」「「「ジョンきゅ~ん!」」」

街に入ってからギルドに入り、ギルマスの部屋に入る迄の道程はずっとこんな感じでジョンの凱旋を聞き付けたジョンファンのジョンコールでえらく騒がしかった。ジョンファンの立ち入りを遠慮したギルド内ではギルド職員とたまたま中に居た荒くれ共のお帰りコールが加わった。人気者だなジョンくんは。
ギルマスの部屋で、お茶を持て成されながら結果報告をする。三人のギルド証から討伐履歴を出したりして、どんな獲物をやったのか確認したりしているが、元パーティーメンバーを含めたサブマス一堂、ジョンの冒険譚を聞きたくて仕方が無いのだろう。

「ドラゴン十五匹!?ジョン一人で殺ったのか!?」

「カケルも中々の数だ…。キルヒネー「様を付けろ?」…様は、討伐無しだが」

「理由はジョンが面白可笑しく説明してくれる」

「面白く話せる自信は無いが、キルヒネーヴェ様はとんでもない方だ」

「あのジョンが丁寧な言葉遣い!」

「うるせぇ、怒らせると街が更地になるんだよ」

「まさか」

「お前等はサブマスだから伝えておくが、キルヒネーヴェ様は龍だ。俺が倒したレッサーじゃねぇ、モノホンのドラゴンだ。絶対に怒らせるな。これはギルマス命令だ」

「おそれうやまえ~」

お茶菓子代わりの干し肉をツマツマする可愛い生き物に注目が集まる。が、当人はそう言ってからはツマツマするのに夢中になってた。
ジョンの報告を聞いている内に、怪訝な表情を浮かべていた奴等も触らぬ神になんとやら。皆ネーヴェから視線をそらし、報告に集中するようになった。

「所でジョン、戦利品はあるのか?」

「ああ、カケルに全部持ってもらってたんだった。俺の分け前はあの武器だけで良いぜ?」

「自分が仕留めた獲物の分は取っておけよ。武器は良くなったが防具は唯赤いだけのガラクタじゃねーか。換金するからまともなモン揃えろ」

ガヤが煩いのでジョンにグレイブを出してやると、それを見た外野は押し黙った。鎧がガラクタと言われても文句言えない代物だからな。

「あの、それ魔剣ですよね」

鑑定の出来る小男が声を漏らす。

「これが魔剣か…。確かにすげぇヤツだよコレは。じゃあカケルのも魔剣なのか?」

「どうかな。俺の取り分は今言った武器と、一緒に落ちた魔石で良いや。ネーヴェはトカゲの魔石をいくつかもらえれば良いよな?」

「おやつに最適」

そんな訳で、ジョンはグレイブ、俺は二振りのナイフと魔石二つ。ネーヴェはトカゲの魔石三つキープし、残りを換金する事にして外に出した。

「何てデカさの魔石だ!」

「アクセサリーに盾!どれも魔装だよ!?」

「ジョン様、カケル様、魔装や魔剣は買い取り出来ませんよ?ギルドがスッカラカンになってしまいます」

「だそうだ。どうするカケル」

「全額ギルド証に振り込んでくれ。大枚引き出さなきゃ良いだけだ。安売りしなきゃギルドの損にならんし、ぼったくれれば得になるだろ。国に奪われないように注意しろよ?」

俺とジョンのギルド証に、とんでもない額が振り込まれた。とは言えがっつり引き出す訳にはいかんのであまり気にしない事にした。

「そろそろ帰るよ」

「え?お、おう…。次は何時来れる?」

「気が向いたらな。ドラゴンの所迄は無理でも半分くらいならお前のパーティーでも行けるだろ。仲間にも稼がせてやれって」

昼飯まだだし、ギルドを出たら一直線に宿へと向かい、食堂で腹を満たした。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

処理中です...