女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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ウラシュ島

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 ミーネの発言は、以前他の者に進言されて断ったんだよな。確かリア達だったか。公務員より稼げる農家になりたいと言った気がする。国は嫌だが街を興せば糖を売るだけで稼げる農家になれちゃうのか…。

「国はミーネが王になるなら考えても良い。まあ、土地があって流通が出来るならな」

土地。この大陸はリアの産まれた公国と、ほぼ親族の治める三つの国があり、ある意味仲良くウラシュ島侵略戦争をしていた。搾取と鉱物資源回収のため、大陸全土が何れかの国の所有となっている。ってノノペディアより。こんな所に街など作っても何処かの貴族に搾取されるだけであるし、国なんて興しても戦争する未来しか見えない。

「島で良ければあるぞ?知り合いの巣だった場所だが既に使われておらん。人の街が近いので私は使わなかったがな」

「あるのかー。広さはどんな感じ?」

ミーネ曰く、海の浸食で削れて無ければ今居る島の百倍はあるそうだ。そう言えばミーネの巣もかなりデカかったな。彼処は火山がもくもくしてるからダメだけど。

「カケル、引越し?」

「そうだな。折角良い家作ったしなー」

「けど、住民は増えない」

「人が来られないからなー」

「イゼッタ様、街は職場と考えてはどうでしょう?あたしもこの島には愛着があります」

「捨てるなんて勿体無い事はしないよ」

「ならば明日にでも見に行くか。誰かが巣にしていたら諦めてもらうがな」

「カララも行くの!」

母親同伴なら大丈夫だろう。冷やし種乳をお代わりしてその日は寝た。


 その日、対岸の街では異様な空気に包まれていた。対岸の島にドラゴンが、それも二頭が飛来したのだ。急いで街を離れる船に、街道では荷車が列を成し、街に残る者は諦めの境地に至った。
水レンズで島の上空から対岸を見ているが、やはりミーネに乗って行くのは間違いだったか。カラクレナイも人化してもらうべきだった。これ、人、戻って来るのか?軍隊でも連れて来そうな雰囲気さえあるぞ。
ここはウラシュ島の北にある、数少ないウラシュ人の街を対岸に望む孤島だ。広さはちょっと測れない程広いが人の姿は無く、切り立った断崖絶壁が高く聳え、人の浸入を拒んでいるようだった。

「人の子が逃げてしまった。旦那様、すまん」

「そのうち増えるの」

「そうだと良いな」

低い所から島の周囲をぐるりと見回し、モンスターが居ないのを確認した。

「取り敢えず、明日から護岸工事だな」

対岸の街を見に行く事にした。一人で飛んで行こうと思ってたのに、着いて来ちゃうミーネとカラクレナイ。ミーネは人化してるけど、カラクレナイは龍のまんまだ。
街に降りて気になったのが戦火の影響が強い事。遠目からでは分からなかったが壊れて直しかけの建物が目立つ。

「誰だ!?」

「俺か?」

物陰から誰何する人影に、《威圧》を込めて返事する。武器を持っているのだから容赦はしない。

「俺は冒険者だ。お前等は何だ?敵対するなら騎龍の餌にすっぞ?」

「そんなデカい騎龍が居るか!?我等はこの街を守る兵士だ!」

「角飾り着けてるだろうが!」

「見えんぞ!」

だいぶちっちゃくなっちゃったしな…。

「あの島に街を作る事にしたから、死にたければ攻めて来い。仲良くしたけりゃ良い物売ってやる」

「あの島はドラゴンの住まう島だぞ!」

「今は住んでない。確認して来たからな!」

「今二頭来ただろうが!」

「俺の騎龍だ!敵対しなきゃ食ったりせんから、逃げた住民を連れ戻して来い」

返事は聞かず、対岸の島に戻る。その後ろでは兵士に詰め寄る住民が人集りになっていた。飯もあるし、今日は此処に泊まるかな。川があるのが見えたのでそこにしよう。

「旦那様、巣の跡を見に行かないか?」

もしかしたら誰か寝てるかも知れないと言う。《感知》に引っ掛から無い程の龍なら俺達は帰るべきだろうに。それでもテントを建てるよりは楽かと思い、ミーネの言葉に従った。
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