女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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リュネも来た

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 ミーネに連れられ龍の巣へ。入口は垂直に落ち込んだ穴だった。底は暗くて見えないが、海抜マイナスになってるかも知れん。底付近まで降りて光の棒で照らすと、だいぶ広い空間になっていた。カラクレナイでも余裕で飛び回れているよ。底は水が溜まってる。前に来た時はこの水は無かったと言うので雨が溜まった物だろう。ギリギリ海抜プラスっぽいな。横穴は亀裂程度があるだけのワンルームだ。

「雨が降ったら濡れちゃうな」

「結界があるから平気だろ」

結界の傘で雨風凌いでた訳か。川もあって、硬そうな岩盤だが侵食には弱そうだ。これは土台から直さねばならないな。

「取り敢えず先住者が居なくて良かったよ」

水の中に生き物が居ない事を確認し、水を《集結》して外に放り出す。雨水とは言え止まった水は飲まない方が良いからな。剥き出しになった底に土台の煉瓦を乗せて寝床は完成。ミーネに結界を張ってもらった。雑木マットを敷いて横になる。

「もう寝るのか」

「どう改築しようか考えてるんだよ」

「カララも考えるの」

俺の周りを囲うように、カラクレナイが腹這いになる。寝返り打たないでくれよ?寝てる横にミーネが寝そべり、静かな時間が過ぎて行く。
気付いたら空に星がキレイ。

「カケルゥ。ごはーん」

そいつはいけない。早速焼肉…丸焼きだな。腿の骨付き肉に隠し包丁をたっぷり刻み込み、煉瓦で作った土台に乗っけてくるくる回す。火種は雑木を薪にしよう。ミーネがパチッと火を付けてくれたので、焼けるまでは干し肉でも食べててね。骨付き肉の横で俺達の分の厚切りステーキ肉を焼き、水を飲んで待つ。隠し包丁をしたとは言え、骨付き肉が焼けるのは時間が掛かる。俺の厚切りステーキ肉はカラクレナイの胃に収められ、生焼け骨付き肉をハムハムしてる。もう一本焼くかな…。干し肉を齧りながら隠し包丁を入れる俺であった。

 朝も早よから肉を焼く。ラビアン達の大変さが解るな。今朝はリブ。食う所が少ないから竈を増やしたよ。

バリーンッ!!

ドンッ!!

「何ぞ!?」

空から何か降って来たのかと思ったが、どうやらそうでは無いようだ。見上げると、薄ら見えてた結界が壊れてる。

「リュネからのようだな」

ミーネの視線を追うと、俺の作った大型寸胴鍋が鎮座していた。中身は焼いた肉とソーサーが詰まってた。有難いぜ。

「結界があるので《転移》させるのに苦労しましたー」

小さい鍋を持ってリュネも来た。スープ有難いぜ。

「ありがとうリュネ」

「どういたしまして。外に船が来てますけど、どうします?」

「ほう」

《感知》で見ると、小さい船が三艘こっちに来てるのが分かる。昨日見た兵士達の他に、年寄りが一人。魔力も害意も感じないし、話し合いにでも来たのかな?飯を食う時間くらい余裕を見て欲しい物だが仕方無い。外に出て出迎えてやろう。

「何しに来たー?」

岸壁から小舟に向かい問い掛ける。聞こえてないのか返事も無く船を漕いでるので近くまで寄ってやる。

「何しに来たんだ?まだ売り物持って来てないぞ?」

「あんたが騎龍乗りの冒険者か?」

年寄りが、船に揺られて声を出す。

「周りの兵士に聞いてみろ。俺が言うより信じられるだろ」

「ちっ、あれが昨日の奴か?」「はい…」

「で、何しに来たんだ?」

「話し合いに来たのにその態度か!」

「質問に質問を返すな」

《威圧》を込めて言葉を放つと皆動かなくなった。

「木っ端兵士が名乗らんのは分かるがさ、街の代表なら先ず名乗るのが筋だろうが」

「くっ…。儂はマシュエル、ルドエ小港の代表だ。敵対はせん!商売の話に来た!」

「血管浮かせて言うかそれ。俺はカケル。それなりに強い冒険者だ。龍の巣に案内するから船にしがみ付いとけよ」

船を浮かせると皆驚いているが、俺が浮いてるのはスルーなのな。龍の巣の入口には三頭の龍がこちらを見上げて待っていた。リュネェ…。
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