560 / 1,519
温かいテント
しおりを挟むクランクを曲がり切ると広い空間が現れる。居間であり、カラクレナイの寝室である。今夜は此処で皆で寝よう。雑木マットをこれでもかと敷いて、散策を続ける。ここからは人用の階段なのでカラクレナイはお留守番。つづら折りの階段を上がると大部屋へのドアがあり、廊下を進んだ先の階段を上がると小部屋が五つあった。ここは龍の巣だな。これ以上龍の妾を作るなと言う事だろう。
「カケルさんの寵愛を受けられる龍はこれ以上要りませんっ」
「私は孕ませてくれればとやかく言わん」
「俺が死ぬ前までには何とかしたいな」
「方法が無い訳では無い」
「ああ、ミーネは気付いてたか…。けどそれは「皆まで言うな」」
「龍にとっては直ぐ、ですよ」
「…考えとく」
「さあさ、カララちゃんの元に戻りましょう」
「夕飯も作らねばな」
ちょっとしんみりして居間に戻ると、カラクレナイが切なくなってた。干し肉を口に放り込み、頭に抱き着き撫でてやる。よしよし。
エントランスまで降りて、厨房で料理を行う。ミーネはまた魚を焼くようだ。リュネはスープを持って来た。転移いーなー。俺は人型用の肉を焼く。手持ちの肉の殆どを使い切ってしまい、カラクレナイには足りな過ぎるのだ。
「カケルー…」
俺達は魚だな。カラクレナイの笑顔の為なら肉等不要である。魚美味い。けどやはり醤油が欲しい。
食堂から居間に移動し皆でごろ寝。野生を捨てた寝相のカラクレナイから寝返り分離れてゴロンとすると、両隣にリュネとミーネが収まった。カラクレナイが居るから、と言うか参加出来無いからエッチはしないがイチャイチャちゅぱちゅぱ。おぱ~いおぱ~いおっぱ~~い。
「ん~…カケル~…」
寝返りで顎が飛んで来た。両隣の二人はくるくる躱し、俺だけ顎の下に収められた。ずっと前に、テイカが作ったトカゲの皮のテントを思い出す。焼肉と焼き魚の匂いのする、温かいテントの中で身動き取れず、そのまま寝た。
目覚めて真っ暗。どうやら我が天使は寝返りせず寝ていたようだな。顎を浮かせて転がるようにテントから退出すると、やっぱり真っ暗。窓が欲しいな。光の棒は何処行った?《感知》で家を見渡すと、リュネとミーネは厨房に居るようだ。多分そこで使ってるのかな。暗がりの中をゆっくり飛んで厨房へ向かった。
「おはよう二人共」
「うふ、ご無事で何よりです」「起きたか」
「窓が無いと朝から夜か分からんな」
「私達は特性で気になりませんでしたが少し不便かも知れませんね」
「テイカ殿に家具と一緒に窓も作ってもらおうか」
「そうですね、クリスタル板を沢山用意しなきゃ」
ガラス板じゃないのか。そう言えばガラスとクリスタルの違いって何だろう?と言うかクリスタルって何の結晶なんだ?気にしてもしょうがないのでスープを混ぜるお手伝いに勤しんだ。
「カケーカーケルー」
「なーあーにー?」
「いた~」
カラクレナイが起きて来て、全身涎塗れにされた。俺は前菜か?リュネが転移で持って来たカラクレナイ用煮物野菜と大量の焼肉が、焼けた魚を仕切りにして俺の作った大皿に山盛りになる。俺と大人龍はそこからちょっとだけ頂いて、スープと共にいただきます。野菜美味いな~…。
朝食の後は島を見に外へ出る。対岸の街にはまだ動きは無いな。こっちもまだ整備しきれてないのでゆっくり話し合っててくれ。
空に上がり島の全景を確認するが、土が全く無い。なので緑も一切無い。
「なあリュネ。魔法で出した土って、作物とか育つのかな?」
「育つ土を出すんですよ」
「成程な。難しいぜ」
よく言うNPKは肥料として必要な成分であり、それだけでは良い土にはならないのだ。更に鉄や硫黄や炭素、亜鉛や銅等色んな成分が必要なのである。で、一から作るのを諦めた結果、土魔法で出した土にジョンの街を更地にした時の雑木を粉にして水と混ぜた。あの時の雑木は周囲五キロハーン分もあるからな、半々で混ぜても余裕で足りる。足りないのは土の方。リュネにも土を出してもらってコネコネして島にぶちまけて行った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる