女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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海の藻屑

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 外を歩いてたと言う人の子達は、やはり逃げていた住民だそうで、隣の集落まで辿り着けそうも無いので仕方無く引き返して来ているとボーデンフェルトが言う。今は門に入って直ぐの所で野宿中だそうだ。辺り一面食い物だらけだから、一泊程度問題無かろう。

「所で船は帰って来ないのか?」

ふと気になって聞いてみた。

「当分は無理であろうな。近くの港に停めて、そこから陸路で安全を確認してから戻って来るだろう。帰って来る意志があれば、だがな」

「船を潰されたら商売成り立たんからな、それも仕方無いか」

「気楽な物だな」

「海路での輸出入はコストが掛かり過ぎる。俺は無くても良いとさえ思ってるよ。漁業としての船はあった方が良いけどな」

気にはなってはいるが必要性は感じない。海の藻屑になったりしてたらちょっと気分が悪いかなーって程度でしかない。

「食料と燃料を優先して用意したのはその為か」

「廻船が雇用を産み、外貨を得るのは理解してるよ。だが今は街の復興の方が先だろう?減ってしまった男手を改修以外に使って欲しくは無いのさ」

「それは、我が男達と収穫していた事への当て付けか?」

「そう思うか?」

「否、思わん」

「お前はしっかり未来を見据えて動いている。建材が無くて体を持て余していたのだろ?手が遅れたのは俺達の手が足りなかったからだ」

「カケル殿等の仕事を見て、そのような考え起こす筈も無い。壁も壕も、あの通路でさえ、我等の為の物であろう?感謝の言葉も無い」

「この街が潤えば俺の街も潤う事になるからな」

「あの島は街にするつもりなのか」

「その内加工品の製造販売を委託するよ」

「よく分からん商売だな」

「俺が用意した材料を買い上げて、組み立てたり加工して売る。簡単だろ?」

「成程。黒糖や魔道具を作らせると言う訳か」

「他にも色々な」

夜も更けて、皆家路に戻る。俺達も帰ろう。風呂に入って二人を労い、労われた。

「明日は主様を手伝おうと思う」

マットの上に三人並んで寝転がると、右半身に絡み付くリームが耳元で囁いた。

「一人で寂しい思いをさせてしまったか、すまん」

「私も、いっしょ」

左半身にくっ付いてるネーヴェも一緒に居たいようだ。

「明日からは煮種と黒糖だけ作って持って行こう。野菜は外に行きゃ生えてるからな。その後は岩壁の続きだ。両方の岩壁に居住区を作る所まで行きたいな」

「ん」「了解だ」

 イチャイチャして寝て、翌日。朝食を摂った俺達は畑仕事に精を出す。煮種と黒糖だけを持って行く事にしたので、畑での作付けはサヤノクサ等食用種とアマグキ系のみとなった。

「主様よ、糖の実も取れるが、どうする?」

「まだ売るには早いな。収穫だけして保管しておこうか」

「売る用?」

「外貨獲得用、かな。氷砂糖なら陸送に耐えられるだろうしな」

「氷…、凍らせるのか?」

「結晶化した姿が氷みたいなんだ」

「見たい!」

甘い物が結晶になると聞いて、クリスタルドラゴンの興味に刺さったようだ。
種とアマグキを加工してる合間にリームが糖の実を捥いで来てくれた。鍋と火の鉄板を作り増しして早速煮込む事にした。

「カケル、それ何日かかる?」

甘納豆の時も時間が掛かっていたし、俺は確認してないが砂糖を作るのも時間を食っていたようだ。氷砂糖も同じと踏んでじっとりとした目を向けられる。

「甘納豆以上に掛かるぞ」

「ぬう…。箱、作って!」

せっかちさんめ。デカい寸胴鍋が三つ入る箱を作ってやる。蝶番が無いので、一度密閉した箱を作り、二面と四面に別れるよう切り取って天板と底板にしたら、底板の内側にヤロウを取り付ける。所謂印篭蓋と言う奴だ。取っ手も付けて完成。ネーヴェが何やら付与したので、火の鉄板毎鍋を安置した。

「一旦実を取り出すから煮過ぎないようにしておくれ」

「あーい…どう?」

八ピル程で開けろと言う。一体中では何オコン経っているのか…。
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