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お手本
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俺が二オコン程掛けてやった作業を五リット程で終わらせたネーヴェが俺の腹に頭を擦り付ける。撫でて欲しいのだろう。なでなでなでなで…。
その後の作業もネーヴェのおかげで素早く煉瓦を盛り付けて固める事が出来た。入口は一先ず此処までにして壁に移ろう。
現在の壁は、高さ十ハーンの幅一ハーン程なので、壕の深さが十五ハーンあるとしても梯子等あれば誰でも上がって来られてしまう。もう少し高さと、人が移動出来る幅が欲しい。
「高さは三十ハーン、幅は五ハーンは欲しいな。落下防止と隠れる為の壁も作りたい」
「ん。やってみて」
お手本が欲しいのだな?岩壁に押し付けるように、そして壕とツライチになるように、高さ三十ハーンの壁を今ある壁にめり込ませた。
「こんな感じだ。下の壕との段差が出来ないように作りたい」
「わかった。見てて」
ドロドロしてるが多分煉瓦だろう。空に巨大な塊が現れると、壁の上にべっとり乗っかった。それを削り均してキュッと固めてはい完成。規模がデカいだけに広いエリアを作れてしまうな。
「流石はネーヴェだ。俺は落下防止の壁を付けてくから、その調子で進めてくれ」
「ん」
べとーん、ズリズリ…、キュッ。
べとーん、ズリズリ…、キュッ。
魔法建築の素早さは地球とは比べ物にならんな。追い付かないと格好付かないのでとっとと壁を作ってく。一×一ハーンで長ーく伸ばした煉瓦ブロックを外側の際に並べながら、一立方ハーンのブロックを時折乗っけてネーヴェを追う。まあ、追い付けないんだけどな。二オコン程で大体真ん中辺りに到着し、作業が終わった。何時の間にか帰って来たリームが俺達の作業を見て、東側から進めてくれたのだ。
「ネーヴェとリームのおかげで素早く出来るよ」
「主様の仕事を取ってしまったが喜んでくれたなら我も嬉しい。そう言えば、此方に向かって歩く人の子が見えたぞ」
「入口と道を作らなきゃな」
「はしも」
「そうだな。昼飯が遅れてしまうがやっておこう」
「それならば我が手を貸そう」
野菜の入った背負い籠を肩に掛けたボーデンフェルトが空に上がって来た。どうやら男手と共に収穫をしていたようだ。
「助かるよ。多分だが逃げ出した者だろう。顔を知ってるお前が居てくれた方が良いな」
「橋と門。それに街までの道だな」
「迂回しても良いから平らに作ってくれ。荷車は坂道に弱いからな」
「任されよ。昼飯は女達が広場で作っている筈だ」
背負い籠を預かり街の広場に飛んで行くと、奴の言った通り昼飯会場が出来上がっていた。肉は無いが、ボーデンフェルトが獲って来た魚を焼いたのが串に刺さってジュワジュワしてる。
街の人に混ざって食事にありついた。
この街の主たる燃料は薪だ。荒野と化したこの港では、海から流れ着いた流木や、船で買い付けた薪を燃料としているそうで、船が逃げてしまった現在、個人で作るより全体で作った方が燃料コストを下げられる為、此処でこうして和気藹々しているのだそうだ。
「建材より先に燃料として使う事になるな」
「リームは植林したら直ぐに燃料に変えてくれ。ネーヴェも頼むぞ」
「うむ」「ん」
昼食後、俺は再び一人で作業だ。外の壁と岩壁に通路を通す。壁は海抜三十ハーンを超える高台で、岩壁は更に二十ハーンは高い。奥まで逃げられれば二十五ハーンの津波にも耐えられるだろう。西側の壁際に立ち、四×四ハーンの《収納》の枠を作る。それを勾配十%程で切り取って行く。目分量なので正確では無いが、分度器無いし、仕方無い。
岩壁を突き抜けた所で四ハーン内側に移動し、つづら折りの坂道にして行く。二往復半で内側に方向を変えて斜面を削り、入口を広く取って避難路が繋がった。斜面の端を均したり開けっ放しの穴に転落防止のブロックを詰めたりしてたら夕方になってしまった。
夕飯を作る広場の灯りに、腹の虫が鳴った。
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