女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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情け無い

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 リームは街に戻り、俺とボーデンフェルトは空を往く。商隊の上に着くと《洗脳》を施し、命令を与えてそのまま街へと向かわせた。

「カケル殿に頼みがあるのだが」

「なんぞ?」

「街の入口から門までが遠過ぎて、人の子の足では時間が掛かり過ぎる。橋の上にある乗り物を用意して貰えぬか?」

「そうだな。ホルスト車くらいの幅で考えておこう」

そうこうしている内に塹壕上空。《感知》で辺りを見渡して、見張り等が居ないのを確認して《洗脳》を施した。此奴等は命令を与えず一先ず置いて行く。
塹壕に沿って更に飛んで、橋の壊れた川に着く。《感知》に三人の被害者の反応がある。ボーデンフェルトも気付いたようだ。
全員に《洗脳》を掛け、船の傍に降りる。

「捕まえた者を連れて、全員外に出て並べ」

ぞろぞろと出て来る男。そして時間を置いてやって来る男と女が川沿いに一列に並んだ。

「攫われた者は前に出ろ」

「「「はい…」」」

後から来た三人の女はやはり拉致被害者か。他にも二人の女が居るが、攫われた者では無いようだ。

「そっちの女二人、此方に来い」

「「あ、はい…」」

「お前等は何者だ?」

「あ…はい…。あたいはここの親分の女でアッシャだ、です…」

「あたしは娘のマーシャだ、です…」

「下がって良い。では、親分前に出ろ。この三人の女は何処で攫って来た?」

「へ、はい…。川上の集落から…、一人ずつ、買ってきや、ました…」

「買ったとな?攫って来たのでは無いのか」

「攫った風を装って親が売るんだよ。食えない集落ではよくあるようだぞ」

「情け無い…」

「怒りを収めろ。大事な強制労働者だからな」

「カケル殿がコレ等を働かせる意味が分かった気がする。殺すのは簡単だが、それ迄と言う事か」

「死んだら罪が消えちまうからな。そろそろ被害者を解除してやるか…っと、その前に。この三人には奴隷紋を付けたか?」

「いや、いいえ…」

「では何処で付けるんだ?」

「海に出た…、港で、女を積み替える、ます…。俺達はそこまでだ、です…」

「よし、下がれ」

女達を《洗浄》し、《洗脳》を解いてやる。居並ぶ罪人を見て狼狽えてるな。

「お前達を攫った奴等を無力化した。村は上流にあるから帰っても良いが、一つ話さにゃならん事がある。聞いてくれるか?」

「え!?あんた達誰よ!」「あんたが親玉かい!?」

「俺はカケル、冒険者だ。こっちは傭兵のボーデンフェルト。俺達の街に、行商に扮した此奴等の一味が来てな。捕まえに来たって訳だ」

「ボーデン…聞いた事ある!」「港街に住んでるハズだよね」「何でこんな陸の奥に…」

「俺達は飛べるからな。凄いだろ?」

ふわっと浮くと食い入るように見て来た。

「でだ。お前達、攫われたと言うが、此奴等はお前達を買ったと言う」

「まさか!」「そんな…、あたしちゃんと働いて…」「うそよ!」

「若い方が高いって事だろ。そんな村に帰りたいか?」

「…帰りたい。帰りたいけど」

「また売られるかも知れんのにか?」

二人が泣いた。残った一人も泣きたいだろうに。

「俺達の街に来ないか?働き口は鋭意制作中だが、飯だけは鱈腹食えるぞ」

「くっ!そんな美味い話あるもんか!」

「俺はともかく、ボーデンフェルトが必死に守った街だぞ?」

「カケル殿の言葉は真実だ。我には及びも付かぬ手腕で作物を育て、水を貯めた。お主等のように連れ去られ、救われた女も大勢居る」

「出発の支度をするから、それまでに考えてくれ。帰るならちゃんと送り返すからな。お前等、荷物を纏めろ!」

「「「お、はい…」」」

のろのろと荷物を纏めて船に積み込む罪人共に慄く三人だったが、少し離れて座り込み、相談を始め出した。腹減ってるだろうから、水と甘納豆でも出してやろう。
雑木で作ったちっちゃいテーブルに、コップの水とお椀に盛った甘納豆を三人の輪の中に置いて暫し。一口飲んで、一口食べて、止められる女は多分居ないだろう。集落に送りに行く必要は無くなったようである。



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