女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
602 / 1,519

ドア

しおりを挟む


 獣のお客様は俺の後ろに隠れて巨大カラクレナイに見つからないようにしてる。バレバレだけどな。
バフーバフーと、自分ではくんかくんかしてるつもりのカラクレナイの鼻息で柔らかな獣毛がそよいでおられる。

「この子はバジャイ。獣にかなり近いが人の子だ。仲良くしてやってくれ」

「体毛まで獣な獣人は初めて見ますね。カケル様の性奴隷のテイカです。よろしくお願いします」

「カラクレナイなの」バフー

「バジャイ…、バジャイ!」

他の住民もぞろぞろやって来た。お帰りラッシュだ。

「カケルーおかー」「お帰りなさいませ」「お帰りなさーい」

嫁達もそろりそろりとやって来て抱き着いて来る。ちゅっちゅっちゅー。

「獣人のバジャイだ。よろしく頼むよ」

「バジャイだ…す」

だす?知らない人が一杯で、縄張りも無いからテンパってるんだな。

「ん、よろしくする」「宜しく致しますね」「よろしくです!」

バジャイを連れて新居の居間に移動する。此処よりは人も多くないからな。

「おかえりなさい、カケルさぁん」「おかえり、旦那様」

「ふぎっ」

人は少ないが恐るべき相手が二人居た。股の間に尻尾を仕舞って泣きそうになってるバジャイを抱きあやし、撫で付け撫で付け落ち着かせる。

「バジャイ、リュネとミーネだ。ネーヴェやリームと同じ龍だから挨拶すると良いぞ」

「ば、バジャイィ…。たべないで…」

「うふ、食べませんよ。リュネです。バジャイはカケルさんの事、好きですか?」

「すき!カケルさまぁ好きぃ!」

「ならバジャイは仲間です。よろしくね」

「ミーネだ。人の肉よりトカゲの方が良い。宜しくしてやろう」

「あい~っ」

言葉とは裏腹に、俺にめり込む勢いで抱き着いてるバジャイである。慣れるまでは静かに過ごさせてやらんとな。
新居から母屋の寝室に移動して、毛布を被って腕枕されてやっと落ち着いた。俺も鎧を外して寝る所存。

「知らない人が一杯でびっくりしちゃったな」

「びっくり…。こわい…。けど、カケルさまの匂いがするぅ」

脇の匂いでない事を祈る。毛布と一体化したマイクロファイバー毛布は暫く静かにしていたら寝てしまったようだ。体の右側だけとても温かい。左側は雑木紙でも掛けとくか…zzz

 何オコンか寝て、気付けば夕方。バジャイを起こして夕飯の手伝いに向かおう。寝る前よりも幾分か落ち着いたバジャイと手を繋いで食堂に向かうと、既に兎達が巨大カラクレナイ用の大皿料理を搬入していた。

「カケルー」

鎮座してるカラクレナイが俺を呼ぶが、バジャイがぷるぷるしてるので遠慮させてもらう。カラクレナイは良い子なので此処は引いてくれた。埋め合わせは後で必ずしてやろう。
バジャイをテーブルの隅に座らせて、手伝いに出ようとするがバジャイは離してくれそうもないな。

「バジャイ、隣、良い?」

「うっ!?ネべさま?あいっ!」

空気を読めるネーヴェが隣に座った事でバジャイも一安心。料理を運ぶ手伝いが出来るぜ。


「カケル、みて」

夕飯を終えて新居の居間でお茶をしていると、イゼッタが何かを見て欲しいと言う。俺の留守中に皆で何やら作ったようだ。マジックボックスから取り出したのは…ドア?丸い金属製のドアノブが付いた、木製のドアとドア枠が土台に乗って直立していた。

「テイカとリュネ様の合作」

「ドア…だな」

「ん。も一つある」

同じドアだ。量産するので街に設置しろって事かな?俺は丁番作れないので凄く助かる。

「見てて」

イゼッタが、二枚のドアの片方の前に立ち、俺に尻をチラつかせながらドアを開けた…。

「なっ!まさか!?」

「転移の扉」

尻を突き出し体をドアの中に入れているイゼッタと、ドアから身を乗り出し此方に向かってドヤ顔を晒すイゼッタが居る。二十二世紀の少し不思議な科学技術の産物が、魔法で再現出来た…だと…?

「テイカさんのドアに転移を付与したら出来ちゃいました。うふふ」

「マジかよ…」

更に驚く事になる。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...