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報われる
しおりを挟む温度の概念はあっても単位は無かったか。まあ何とかなる…かな?
「金の溶ける温度は出せるか?」
「問題無い」
「鉄の溶ける温度は出せるか?」
「それも問題無い」
「ネーヴェよ、固くて水を吸わないけど焼いてる時に割れちゃうかも知れないヤツと、水を吸うけどさっき言ったのより割れ難く作れるヤツ、どっちが良い?」
「んー…カケルゥ~」
「分かったよ。土器の方な。リーム、水分が飛んだようなら金が溶け掛ける温度まで上げてくれ。時間は二オコンもあれば良いだろう」
「心得た」
「時間かかるぅー」
「焼けた後も熱くて触れないぞ?取り敢えず割れない事を祈ろう」
金の溶ける温度は大体千度ちょっと、鉄は千五百度程だった筈。外気に晒して焼いてるから千度出しても拡散しちゃうだろうし、何とかなると思いたい。
リームが必死に焼いてる間、俺はネーヴェに強請られて、子供達の前で岩壁を掃除した時の瓦礫を粉にして水で練った物を作ってる。一緒に低いテーブルも作りましたよ。
「あ、ありがとう、カケル…」「カケルさま、ありがと」
報われるぜ…。兵士の車なんぞそっちのけで子供等に付き合った。
「カケル、箱つくって」
また時間短縮装置でも作るのか?
中で焼いても良いように、耐火煉瓦で作ってやったぜ。
「カケル大好き」「バジャイもすきすきー」
何やら付与した箱に、子供等が作り直した土人形を安置する。放置だけで乾燥させるのは時間が勿体無いので火の鉄板を入れて温める。
蓋をして、三リット。蓋を開けるとカリカリに乾いた人形が出来上がっていた。
「リーム、燃やしてー」
「え?そちらもか」
「箱の中に、それと同じ程度の火を入れてくれ。魔力は足りてるか?」
「大丈夫、問題無い」
光り輝く小さな熱の塊が箱の中に入れられて、直ぐに蓋が閉じられた。一リットも経たない内に開けろと言うので開けてやると、人形達は赤く焼けていた。直ぐ様熱源を空に上げて蓋をして、待つ事五リット。蓋を開けると、カチカチに焼けた人形が鎮座していた。
土器だけどちょっと硬めって感じだな。煤が着いてないので優しいオレンジ色って感じに焼き上がった。子供等もお喜び。ネーヴェもお喜び。
「魔石、入れ忘れた」
ドジっ子である。だが子供等が喜んでるから良いじゃないか?
「次はもっと温度を上げて、硬いのを作ってみよう。魔石を入れるのはそれからでも良いと思うよ?」
「そだね、そうする」
箱が空いたのでリームが焼いてるのも時短しよう。人形を丸まらせて箱に収め、浮かせてた熱源を入れて蓋をした。大きいからか二リット程待ってから蓋を開けると、赤々と焼けていた。リームが熱源を消して蓋をして更に待つ。
十リット程まったりしている合間に子供達は他の場所に遊びに行ってしまったようだ。ま、子供だしな。
箱を開けて取り出された人形は、赤くて、歪で、ちょっとキモい。子供が見たらきっと引くだろうな。ネーヴェもコレジャナイ感で一杯になって壊してた。
「造形と言ったらやはりリュネだな」
「だね。作らせるっ。一度かえろ!」
街のインフラも落ち着いて来たし、一度帰っても良いな。
昼飯の時にマシュエル夫妻とボーデンフェルト、調整役のマルシアに一度帰る事を告げる。
島に入れなくなるのと、防衛上の話をして帰宅の準備…と言ってもUFO出すだけなんだけど。
「カケルさまぁ…」
「バジャイも一緒に行くんだぞ?」
「あいっ」
置いて行くなんて選択肢は無い。置いてったら野生に帰っちゃいそうだしな。
大勢に見送られ空に上がる。家に帰るぞー。ギューンと飛んで島上空。早い。バジャイは早過ぎて驚いてる。外が見えないから尚更だろうな。上下降の時間の方が長いくらいだ。
「おかえりカケルー」「お帰りなさいませカケル様、ネーヴェ様にリーム様。…獣のお客様ですか?」
「「ウチの子にする」」
ネーヴェと被った。テイカの拒否権は消えた。
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