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おやち
しおりを挟むリュネもネーヴェもこっちで女の子達と遊んでるので俺は一人、対岸の島に向かう。バスが動いてるので風呂に行く者も居るのだろう。ササッと飛んで島に着くと、リームが糖の実を収穫してた。巣が近いのでバジャイも一緒だ。
「カケルさま!丸いのいっぱい!」
両手に持った玉々を高らかに掲げたバジャイを抱っこする。
「いっぱい採れたなー」
「あい~」
「主様、向こうの作業は終わったようだな」
「まだまだ沢山あるけどな」
「我は糖の実を持って島に帰るつもりだ」
「そうか。白糖作り過ぎて余ってやしないか?」
「余ってはいるな。乾燥野菜や黒糖も使い切れては居らなんだが」
「そろそろ売って外貨を得たいな」
「しかし、この島では売れんだろう?」
「バルタリンドと北の大陸で販路を開拓してみるかな」
バジャイを降ろし、リームと別れてテトラポッドに乗る。今日もミズゲル多いな。湧きやすい地形なのだろうか?
「カケルさまー、なにすんだー?」
「ミズゲルを獲るんだよー」
あまり興味が無いみたい。崖から離れて行っちゃった。昼寝でもするのだろう。
体感で、一回五百個の核を獲る。残ったプニプニは固めて玉にし、それを四回もやると海底が見える程の過疎状態となった。千個ずつ袋に入れて二袋と少し。良きかな良きかな。
「カーケールさぁーん」
「なーあーにー?」
ほくほく顔で陸に上がると、リュネとネーヴェが女の子達を連れてバスから降りて来た。風呂にでも入るのかな?
「カケルさんは何をしてたのですか?」
「俺はミズゲルの核を獲ってたんだ。皆はこれから風呂?」
「はい。可愛く洗ってあげます、ふふっ」
ゴージャスヘアにならない事を祈る。風呂への階段を降りる女子を見送り、俺は食堂の片隅で魔道具の材料作り。さりとて雑木から棒を練り出すだけなので直ぐ終わる。問題は鉄板やトイレだ。此奴等は魔石を埋め込んだ後で固める必要がある。俺が居る時にしか作れないからなんとか簡略化させたいのだ。
固めてやらんと砂粒状態の魔石が地面と同化してしまう。熱くて重い鉄板は取っ手まで鉄でなくて良いよな…。う~ん。
「カケルさまぁー。おやちー」
「おやち?」
バジャイが糖の実を割っただけの白い塊を持って来て、一個くれた。おやつの事だったか。俺にくっ付いてガリガリ食ってるバジャイだが、甘いだけだろそれ…、そうか!
コインのように薄くて丸い鉄板二枚で魔石を挟んでくっ付けた。試しに板の上で試してみる。…が、ダメっぽい。なんか膨らんで来たし!
急いで冷やして次の工作。鉄板の片方に円錐状の穴を開けた。穴から魔石が落ちない事を確認し、二枚合わせてくっ付けた。試してみると、此方は使えるレベル。だが、結局鉄板を癒着させるのは俺なので、軽量化以外の旨味は無いな。それに、この街の鍋は底が丸いのだ。上から吊ったり五徳に乗せたりして使ってる。
「五徳に仕込むか…」
五徳を作り、魔石を仕込むのは造作無い。問題は癒着させずに取れなくしたいと言う事なのだ。
結果、良い案は出なかった。丸鍋は平鍋にするしかないし、鉄板は後から固めるしかなかった。
諦めて包丁でも作るか。それが現段階の結論である。膝の上にバジャイの頭があるので外に出る事も出来ず、薄い鉄板を菜切り包丁の形に切り出す作業をして夕方になった。
夕飯は転移門で家に帰って食べる。食べながら、サミイとシャリーに乾燥野菜や焼き塩は売れるかどうかを相談した。
「野菜は冬なら売れますね。時期じゃない野菜も割と売れるかも知れません!」
「焼き塩は岩塩のある街では競り合いになってしまいます。とは言え塩の無い街なんてそうはないでしょう」
「言い換えると、あまり芳しく無いって事だな」
「お野菜は新鮮なうちに使うのがバルタリンドでは普通ですね」
「ナーバーグやエディアルタでは岩塩鉱山から塩を買っていました。そこに割り込むのは諍いの元になるかと」
食料の商いは難しいなぁこりゃ。
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