女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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子煩悩

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 追い払うだけならそれでも良いんだが…。

「それではライガーは助からんよ。結局追われて食われるだけだ。かと言って、助けるのも問題なんだよなぁ」

「ライガーだぞ?殺らなきゃコッチが殺られちまう」

「減り過ぎも問題なんだよ。ライガーが食ってる動物が、食われない事で数を増やすと、増えた草食…ドウドウだっけ?そんな感じの奴等に木の皮を食われたしりて森が枯れたりする」

「へー」

「魔素があるからそう簡単には枯れたりしないがな。取り敢えず、防衛に徹して静観したらどうだ?追い立てる者が居るなら、それを確認するのも良いな」

「成程な」

「リュネ、雪は作れるか?」

「え?まぁ、出来ない事はありませんが…得意では無いです」

リュネの得意は転移に建築、後はおっぱいプレスだな。お尻プレスも良い…っと、話を戻す。

「街道の雪の壁くらいで良いんだ」

「その程度でしたら」

「ジョンくんよ、木の伐採がてら少し出て来るよ」

「おいおい、獲物を独り占めか?」

「否、脇道を作ってそっちに向かってもらうだけだ。俺はライガー好きなんだ。敵対して来ないなら、出来れば殺りたくない」

「お前、獣人好きだもんな」

「失礼な。女好きで獣好きなだけだ」

「排除しましょう」「やめてよ!」

 リュネと二人で空に上がり、街道まで一直線に進む。まだ更地の中までは入って来てないようだ。橋を越えて更に進む。《感知》で見ると十キロ程先に大きな群れが向かって来てるのが確認出来た。足も早いしアレで間違い無いな。

「《収納》しちゃえば直ぐですのに」

「乱獲はいかんよ。道を作るので雪の壁を作っておくれ」

「はぁい」

 街道に沿って斜めに側道を作る。木を引っこ抜いて道にするのだ。街道の南側に五百ハーン程の大きさで、のの字を逆さにした感じで道を作り、《威圧》の板で道を均す。
出来上がった道の左右と底面に雪の壁と地面を作るのはリュネ。苦手とか言うが人なんぞと比べ物にならん速さで偽街道が出来上がって行く。最後にY字路の本線を雪の壁で塞いでもらい、罠街道が完成した。

「良い木が採れたぜ」

「おーい、カケルー」

「ジョン?」

何しに来たのか?ジョンが跳んで来た。跳んでるので落ちるが、木の先端に捕まって何とか落下を免れていた。

「此処まで上がって来い。浮かせてやる」

「おうよっ!……悪いな」

「何しに来たんだ?」

「空から強行偵察出来るの俺だけだし」

「指揮者が前線で偵察すんなし…まあ良いや。下に見える偽の街道に誘導させる」

「カケルさぁん」

「どした?」

「子供です」

「「子供?」」

彼処に、と指差す先を《感知》で見ると、確かにライガーと思しき群れを追い立てる者が居る。…居るんだが、子供にしては大きいな。それに空を飛んでいる。

「な!ドラゴン!?」

ジョンは目視で見えたのか?俺には点にしか見えないが、強さはトカゲを凌駕してる事だけは分かった。

「親はどうしてるんだ?もう巣離れ親離れする物なのか?」

「必ず居るはずですよ?こう見えて子煩悩ですから」

どう見ても子煩悩だろ、とは敢えて言わない。石の玉を抱いてママみを醸し出す程龍は子煩悩なのだ。はぐれたとしても絶対探しているに決まってるよな。

「うへぇ、ライガーが来やがった」

俺達は上空から高みの見物。側道に入って行くのが見えて先ずはホッとした。リュネは気を使って姿が薄くなる程の《阻害》を掛けていたようだ。
ライガーの群れが全て側道に駆け込んで、暫くして子供が飛んで来る。うちの子よりは小さいが、魔力はだいぶ高いな。これは栄養状態に因る物か。魔力を高めるご飯、考えなきゃ…。

そんな事思う間も無く、リュネが光って真の姿を現した。驚くジョン。驚く子龍。びっくりして龍の血おしっこ漏らしてるけど、ジョンは漏らして居るまいな?

「カケ…ル、死にそ…」

「ああ、悪いな」

《威圧》の壁で囲ってやって、何とか龍の《威圧》を遮ってやる。大きめに囲ったから暫くは酸欠しないで済むだろうと思いたい。

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