女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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凝縮

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 思い返して心配になって来たが、もう会えないし今更なので考えないようにしよう。

「と、取り敢えず、魔力を練って、凝縮して一気に使い切ってみろ」

「はい。ここだと怒られちゃうので屋上に行きましょう」

屋上に上がって、先ずは傘替わりの屋根を仮設する。煉瓦の柱と板で簡単に済ませる。

「そう言えば適正を聞いて無かったんだよな。見た感じ水っぽいが」

「魔力の色の通り、水の適正です。攻撃より補助的な魔法が多いですね」

「魔力自体はどれくらいあるんだろう?先ずは体内で練って見てくれ」

椅子を出し、座らせて魔力を練るのを肩に手を当て感じて行く。少年隊よりはあるけどキュルケスよりは少ないな。元気にしてるかなー…。

「魔力を流すからそのまま一緒に練ってみれ」

「は、はい」

少しずつ魔力を流し込む。アズの魔力を包み込むと、練り練りマーブル模様になって、その内アズの色に変わってく。

「ん…、キツいですっ」

「凝縮出来るか?」

「む、無理!」

「一度吐き出すか。全部捨てるつもりで水を出してみろ。出来るだけ遠くにだぞ?」

「はいっ!エイルへ…ごにょごにょ……ウォーターボール!」

水の精霊の名前だろうか、ごにょごにょ言って放出された水球は俺達の背丈を超える大きさで、森の奥に飛んで行った。

「はぁっ!はあ…」

魔力欠乏を起こす前に魔力を補充してやると、荒い息を整える。

「イゼッタが凄い事は理解した」

「え、イゼッタ様、ですか?」

イゼッタは自力で数百トンの水を出せるからな。そんな説明をしてやると納得していた。

「流石は侯爵令嬢で爵位持ちですね。才能と魔力、そして教育の賜物と言った所でしょうか」

「かも知れん。休憩を挟みつつ繰り返してくぞ。俺達みたいな凡才は反復こそ正義だ」

「カケル様も大概ですけどね」

「俺は魔法自体は大した事無いぞ?土魔法だってまだ煉瓦くらいしか作れないし、光魔法は自分も傷付く」

「はは、複数扱えるだけでも凄いのですが」

「その点ノーノは凄いよな。魔力制御が神掛かってる」

「努力の天才ですよあの人は」

休憩を取り、今度は自身の魔力を練り、凝縮させて行く。

「手足に残ってるのも集めるんだ」

「動けなく、なります…」

「だから椅子に座らせてるんだよ」

全身の魔力が一点に集まった所に俺が魔力を補充する。さっきよりもスムーズに練られているようだ。

「三回は死ねますね…これ放出、すると…」

「リュネ相手にその百倍は出したぞ?カラクレナイの時は三日くらい寝込んだな」

「よく生きてましたね…」

「回復のプロが居たからな」

練って凝縮して放出を繰り返すと、速度と許容量が増えて行く。最後に許容量一杯まで溜め込んで、その状態に慣れさせる。ドカ食いすると胃が膨らんで行くのと同じ要領だ。

「放出は抑えろよ?人の事言えないが」

「これは学園でも習いましたが、量が多いとここまで苦労するとは思いませんでした」

「カケルさん、アズも!二人っきりでナニしてたんだよー」

「溢れる程流し込んで零れないように指示してたんだ」

「その割に匂わないけど、お前さん、ホント何してたんだい?」

シトンとワーリンに詰め寄られたが粗事実なんだよなぁ。

「流し込まれたのは魔力よ」

「オレも魔力入れられた時は熱出たなー。魔力纏うの教えとくれよ」

「え!?ワーリン魔力あるの?」

「カケル様に魔力臓器を開発されてね。一応今でも寝る前に練ったりしてんだよ?」

「ワーリン偉いぞーよしよしよーしよし」

「あう、はう~ん」

薄着な全身を撫で回すと可愛らしい声を漏らす。振り回された尻尾がベシベシ当たって嬉しそうだ。

「いーなー、いーーなーー」

「ワーリンは軽装だし、間合いが狭いから防御を増やさにゃならんのだよ」

「そりゃあ分かるけどさ」

「なら、今夜してやる。その代わりエッチする時間は無しだ。それで良いか?」

「それは…、アズゥ~」

「私は魔力の調整で忙しいし」

「熱出るからな、諦めなよ」

「ん~…」

苦悩して、魔力を取ったシトンであった。



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