女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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腹が減ると気性が荒くなる

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 無事事務処理が終わり、ダンジョンの入口へと歩いて行くと、これから入るって奴はもう居ないみたいで、買取カウンターに列が出来てる程度であった。受付に金を払って鑑札を受け取りいざダンジョンへ。

「準備運動がてら少し走るぞ」

「ん~」

イゼッタを前にして、彼女のペースで走り出す。不安そうにチラチラ振り向くイゼッタに、十階のボス部屋前迄は鎖で道が分かると言うと納得して前を向いた。死に掛けのブフリムに、風魔法でとどめを刺しながら走るイゼッタはそれ程早くない。だが息を切らす程のペースでは準備運動にはならんからな。ジョギング程度の速さで移動した。

「ここも空いてるな」

「前は混んでた?」

「朝早いと列になってるよ」

中に入ってブフリムを粗方殺す。残りはイゼッタにやらせてみた。…まあ近づかれなきゃ敵では無いな。魔石を拾って下に降りた。

 十一階に降りて、人の多さに驚いた。確か、十一階から食えるようになるって聞いたけど、これだけの人数が食えるのか?多過ぎて不安になるな。

「広い…」

イゼッタはフィールド型のフロアにキョロキョロしてる。気持ちは分かるぞ。

「取り敢えず二十一階迄降りるぞ」

「んぇ、ん~」

階段迄ジョギングしてる間にも冒険者パーティーの姿が途切れる事が無く、階段前にも数人屯ってた。

「おいおい。何も言わずに行っちまうのか?」

階段に向かおうとする俺達の前に立ち塞がる男達を無言で《威圧》し、シャムシールで首を撥ねる。

「カケル、良いの?」

「俺が許したら誰かがまた被害に遭うからな」

ニヤニヤとイゼッタを見ていた奴に容赦する程俺は弱くない。死体を《収納》し、装備以外を遠くに飛ばす。一オコンもすればダンジョンに吸収されるだろう。

 階段を降りても暫く冒険者との擦れ違いが続き、さしたる戦果も無く二十階のボス部屋前。前に並ぶのは三組か。俺達も並んで休憩にしよう。

「暫く掛かるみたいだし、干し肉でも食うか」

「ん~」

干し肉とコップに水。小皿に甘納豆を出して甘さと塩っぱさを味わう。

「んまぁ~」

「良かったな、よしよし」

「な、なあ、あんた。良かったら少し、分けちゃくれねぇか?」

ペニスケの上に座らせて、あすなろ抱きして飯食う俺達に話し掛ける勇気は買うが、ダンジョンで他のパーティーにはあまり話し掛けちゃならんって事知らないで入ったのか?

「これは家のモンが特別に作ったモンだから分ける事は出来ないな。しかもべらぼうに高い」

「ちっ、ケチ臭ぇ」

悪態吐いて背を向けるが、お前そんなんじゃ直ぐ死ぬぞ?メンバー諸共グーグー言ってちゃ殺る気も失せるがな。

「かわいそ…」

「施してやりたいのか?」

「べつに」

「だよな。外で狩れば肉なんて手に入るのに食いもん出ない場所に来てる奴等だしな」

「聞こえてっぞ!?」

腹が減ると気性が荒くなると見える。

「聞こえてんなら何故ダンジョンに拘る?一人五万も払って飯も用意出来無いんなら外で数日肉狩りして干し肉作れば良くねーか?」

「そんな事してる奴居るかよ!」

居るだろ普通。

「ダンジョンで稼いで飯を食うのが俺等のやり方だ」

「外でちまちまやってられっか。ダンジョンでたんまり稼いで酒と女!それこそ冒険者ってモンだ」

そんなもんかねぇ。俺の場合、外でもダンジョンでも女だし、リュネ達がたんまり稼いでくれるからたんまりのハードルが高いんだよな。

「まあ無理すんなよ。箱からドラゴンの肉でも出ると良いな」

「嫌味かよ…」

それっきり黙りとなった男達を余所に飯を食い、まったりしてたら俺達の番になった。

「いこ、カケル」

「今夜は二十一階に泊まるから更に下の階層と二十一階を往復するぞ~」

「うぇ~い」

 ボス部屋の中に入り、雑魚に毛の生えた程度の敵を屠る。イゼッタは風の範囲魔法で残してた奴を一掃してた。数減らし要らなかったな。
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