女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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満員御礼

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 久しぶりの二十一階は前来た時と同様にデカい木が茂っていた。旅館オナホである。だが今は寄る予定も無いのでイゼッタを背に乗せて向かい側へ飛んだ。

「すごい森」

「あのデカい木の中に人が入れる穴があってな。そこで寝られるんだ」

「へぇ~」

「さて、此処からは少し頑張ってもらうぞ」

「ん~」

近接戦闘では手こずりそうな犬顔やトカゲ顔だが、魔法を使うイゼッタには敵にならない。通路全体に範囲魔法を飛ばすから、近寄る者皆斬り捨てられて行く。

「円盤いっぱいだすだけ。簡単」

だそうだ。これでは運動にならないので少しだけ急ぎ足で進む事にした。とは言え曲がり角や脇道ではしっかり確認させてるけどな。俺は全体を見て、下階迄の直行ルートを指示しているが敵の有無は告げてない。後は罠を塞いでドロップを拾うだけだ。

 イゼッタの魔法は岩も斬る威力なので、敵はスパスパ煙に変わる。避ける隙間は背後にしか無く、逃げてもスパッとされるので敵にとっては悪夢でしか無いだろう。魔力の総量も相変わらずだな。サクサク下に進んで行った。
三十階のボスをスパッと殺って、箱が出る。《罠感知》に反応が無いので開けさせると、靴が一足と金。

「靴出た」

「鑑定してから履くと良いぞ。呪われてるとかあるみたいだしな」

「カケル、鑑定して」

「やり方覚えてるかな…」

鱗の靴

トカゲの皮で作られた靴。

《鑑定》したらこんな結果だった。まんまかよ。それに敵のトカゲ顔は靴履いてねーぞ?

「トカゲの皮で出来てるんだとさ。効果は無いみたいだ。新品だろうし臭くは無いと思う」

「可愛くないから要らな~い」

「ギルドに売っ払っちまおう」

「ん」

「もう十階潜るか?疲れたなら二十一階に戻っても良いぞ」

飯は何時でも何処でも食えるけど、イゼッタの体力を考えて提案してみる。階段を三十階も下って来て疲れてない筈も無く、イゼッタはこっそり杖に体を預けてる。

「回復すれば平気」

「なら後十階迄な」

干し肉を齧りながら回復魔法を使うイゼッタを待ち、再び潜行する。此処の敵は変わり映えしないから殆ど作業な感覚だ。

「カケル、エージャとは何階まで行ったの?」

「えーと…、確か七十一階だったかな」

「今三十八…」

こんな事話してても余裕で屠れる程度には殺れている。イゼッタには楽過ぎたかな。だが予定は変えず、四十階のボスを倒して引き返した。


「なっ!何だよ!?」

「此処は一杯だぜ?」

二十一階、旅館オナホに着くと満員御礼。木の周りをグルグルしながら飛んで空室を探しているのだが、どれも人が入ってた。困った。

「カケルー…」

「そんな声出すなよ。こんなに混むとは思っても無かったんだ」

空いてる隙間に穴を開けるのも出来なくは無いが、旅館オナホが怒りそうだし止めておく。だがまだ寝られる場所はある。上へ上へ、人が入るには細過ぎる枝が生える中へ飛んでくと、枝を包みながら煉瓦の床を作った。

「ちょっと主に断り入れとくか」

「だれ?」

「この木だよ」

枝に手を当て《念話》を送る。ここで寝るからトイレ作ってくれ。程度の話だったのだが、トイレ所では無くなった。煉瓦に挟まれた枝々から、床を覆う程の床が生えて来て煉瓦が見えなくなると、端から壁がそそり立つ。ある枝は柱に変わり、壁となり、またある枝は屋根を作って消滅した。延床四十平方程の部屋が数リットしない内に出来てしまった。

「すごい…。なにこれ…」

「この木はモンスターなんだよ。人の排泄物や魔力を糧に生きている」

「ダンジョンなのに?」

「ダンジョンの養分になってるのかも知れないな」

「カケル、この木に何したの?」

ニョキニョキとベッドやテーブルセットが生えてるのを見て、イゼッタの目が点になってる。

「二回程利用しただけだぞ?宿賃は奮発したがな」

「あ、なる…」

何を納得したのか。
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