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旧ナーバーグでやろうとしてた事
しおりを挟むワーリンがくっ付いて離れないので一緒になって門の横の詰所に入る。椅子に座り、テーブルに置かれた水晶に二人で順番に触れて行く。別にワーリンはやらなくても良いと思うのだが、取り敢えず二人共水晶が赤くならなくて良かった。セフセフ。
門番達は人より獣人が多い。ワーリンみたいな犬型を筆頭に、山羊っぽいのや馬っぽいのが居る。四つ足の方の馬はシルケでは見た事無いんだが、何故獣人には居るのだろう?それに水晶。シルケならクリアジェムとか呼ぶんじゃ無いのか?水晶だけは水晶って呼ばれてる不思議。
「お前、冒険者なら水晶くらい見慣れてんだろ?何じっと見てんだ」
「ん?ああ。最近ジェムやストーンを拾う機会があったんだが、何でコイツだけ水晶って名前なんだろうなーって」
詰所で対応してくれた山羊顔が問うので答えると、偉い人が名付けたんだろ、って事で済まされてしまった。確かにその通りだと思う。
「ワーリン!何処だワーリン!?」
詰所の外でがなり立てるのはパパリンだろうか?ワーリンを見遣ると苦い顔してるよ。俺も放免だそうで二人で外に出ると、パッと見ワーウルフな男がこっち見て突進して来た。
「うおおおおおワーーーリーーーンッ!!」
「親父!こっち来んな!」
「ワーーギベッ!」
《威圧》の壁に思い切り顔をぶつけて崩れ落ちたパパリン。親馬鹿だな、俺も気を付けねば。
「お前さん、家に帰るともっと恥ずかしい目に遭いそうだよ。宿屋取っても良いかい?」
「だな。場所は分かるか?」
「良いトコ紹介すんよ」
腕を組んで密着し、街の中へと入って行った。パパリン?知らん。
「鉱山都市ってのは初めてだな」
「外の宿屋じゃ普通だしね。今日は中のにするのさ」
岩山の中を掘り込んで造られた街は、天井迄五ハーン程だろうか、結構高めに掘り抜かれ、圧迫感を抑えている。建屋は殆ど二階建てで、一階は店舗になっているようだ。灯りには光の属性魔石が使われていて、光熱費が馬鹿にならんなぁと感じた。範囲は狭いが外に造られた街もあって、そっちにも宿や飯屋があると言う。
「此処は一番風通しが良いから飯屋や食料品店が多いのさ」
「街の明かりは全部アレで賄ってんのか?」
「ああ、中はね。松明やランタンなんて使ってたら人死にが出ちまうからさ。料理するのも属性魔石だよ」
「昔一度だけ火の属性魔石を買ったが、高かったなぁ」
「その分儲けるのさ」
「俺が旧ナーバーグでやろうとしてた事が此処にあるとは…。これで水の属性魔石で水を賄ってたら完璧だな」
「水は雨水と、外からの湧き水だね」
「なら水の棒は売れるな」
「お前さん、利権に絡もうとすると大変だよ?」
「…確かに、面倒だし人死にが出るな。ヤメヤメ」
大通りを歩くワーリンに連れ込まれる事暫し。上下に伸びる階段が見えて来た。地下一階も街になってて、上は住宅街があると言う。階段を上がるか下がるかするのかと思ったがスルーして右へ。直ぐ隣が宿屋だと言う。
「大きさが分かりにくいが、これ奥まで宿なのか?」
「デカいよねー。入った事無ぇけど」
地元のホテルに泊まるなんて事普通は無いからな、わかりみが強い。
「いらっしゃいませ。穴の宿ミスリルピックへようこそ。初めてのお越しですか?」
「そうだ。二人部屋を頼む」
犬耳のお姉さんが丁寧な口調で対応してくれたのだが、二人部屋を頼むとニヤニヤしてちょっと気持ち悪い。
「仕事が終わったら部屋に来い」
「…はい」
「お前さん?」
「ワーリン、一人で耐え切れるか?」
「そうだねぇ、仕方無いねぇ…」
ほんの少しだけ暗示を掛けて、鍵を受け取り金を払う。買い物するなら両替しなきゃな。ギルドは地下一階、鉱山入口前にあると言うので買い物前に行かなくちゃならん。此処ではギルド証が使えるのでカード決済マジ便利。
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