女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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来ちゃった

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「カケル、また行くの?」

ブルランさん達が欲しい資材と量を纏めるのはまだ先だろうが、報告前に出来るだけ拾っておきたいと思いダンジョンに向かおうとする俺にイゼッタが立ちはだかる。

「今回は深く潜るだろうから、何時迄に戻るとは言えないな」

「ぬぅ…」

「ある程度貯まったら帰って来るよ」

「カケル、おでかけ?」

そこへネーヴェが増援に駆け付けた。何かが詰まった袋を抱えてる。遊びに行くんだな、きっと。

「エッチなダンジョン、行くって」

「へー」

「ちゃんと仕事で行くんだよ。ミスリルとかのドロップを集めるんだ」

「へー」

あまり信じてないみたい。

「あらあら、二人共カケル様がお出掛けで淋しいのね」

この声は!?階段を降りて来るママ上殿とエージャ、そしてエージャの胸に抱かれるメッツ君だ。

「カケル様はお出掛けですか。残念です」

「大口の仕事が入るから準備としてダンジョンでドロップを漁りたかったんだが、ママ上殿が来たなら延期するか…」

「あらあら、カケル様、仕事はしっかりしないといけませんよ?」

ママ上殿はそう言って、行ってらっしゃいのキスしてくれた。それに倣ってイゼッタとネーヴェとも唇を合わせた。

「待ってる…ごぶじで」

「仕方無し。お土産よろ」

何とか収めてくれたようだ。気が変わらない内に出発しよう。ノーズコーンに乗り込んで、龍も飛べない高高度を超高速で飛んで行く。今日は潜らず三本槍の宿に泊まろうか、それともホテルオナホにしようか等と考えながら街に着いた。


「来ちゃった」

リュネが居た。

「来ちゃった」「きちった」

イゼッタとネーヴェも居た。

「大奥様に言われまして…」

エージャまで居た。
転移で先回りされたら敵わんよ…。それにエージャが居るって事はだ。エージャが戻る迄ママ上殿は帰れないって事になるよな。と、なると早く帰らなければならない。

「…リュネ以外は宿で待機だ。嫌なら帰る」

「カケルさん、そんな事言わずに、一緒に行きましょうよ~」

「リュネさま、ダメっ」

「カケル…、おこってる?」

イゼッタとネーヴェは雰囲気を察したようだ。エージャは動けなくなっている。此方も勘が鋭い。

「リュネ、私達街で遊ぶ。二人でいってら」

「奥様達を護衛致します…。必要は無さそうですが」

「荷物持ち」

「それなら出来ます。行ってらっしゃいませ」

三人は逃げるように行ってしまった。

「カケルさぁん、仲間外れはダメですよぉ?」

「そうじゃ無い。ダンジョンに龍二人なんて入ったらダンジョンが怖がって獲物が居なくなるだろ?それに俺達を排除しようと完全に閉じ込めようとするかも知れん」

「危険から避けたいって事ですか?」

「そうだ」

「そんな危険な所に私も連れてっちゃうのですか?」

「そうだ。俺とリュネだけなら何とかなりそうだしな」

「……。わかりました~、今回は折れてあげます~」

内に秘めた紫色のオーラを消して俺の腕に柔らかいのを押し付けて来るリュネ。膨れた頬っぺを指で押してやりたい。

「痴話喧嘩は他所でやってくれ」

うん、此処は門前だった。門兵に茶化されて、そそくさとギルドへ向かった。

 宿で寝るのもホテルに泊まるのもキャンセルで、事務処理したらダンジョンへ。敵の居ない通路を飛んで、怯えるエリアボスを煙に変えて深く潜って行く。

「アレ、モンスターですね」

「アレは敵じゃ無い。敵意すら向けるなよ?」

「はぁ~い」

ホテルオナホの上空を通って更に深く。暗くなった階層からは《暗視》を使い、海の階層へ出た。

「魚ですら逃げてるな」

「階段へは泳いで行くのですか?」

「《結界》で水を避けて降りよう」

階段の上で《結界》を張り、中の水を《収縮》で小さい玉に変える。敵なんて皆壁に張り付いているので安全極まりない。

「此処があのゴーレムの巣ですね?」

七十二階。何時もなら自由奔放にうろうろしてる女達が通路の端に整列していた。
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