女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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サブマスはマッチョ

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「大移動?オーバーフローとは違うのだよな?」

「外の魔獣や魔物が大挙して移動するのが大移動だ。お前、知らんのか?」

 初めて聞く言葉に聞き返すとルウェインが丁寧に教えてくれる。根は良い奴なのだろう。

「見た事無いな。カロは?」

「バルタリンドでは海から魔物が押し寄せる事案が数年に一度程発生します。魔物波と呼んでいますが、それと同様の物でしょう」

「カケルにも、大移動の討伐に参加してもらいたい。頼めるか?」

「偶には依頼しろって言われてるし、構わんぞ」

「バルタリンドで依頼を受けて下さいよ…」

「本当に助かるぜ。因みにご婦人方は戦えるのか?」

「私、つおい」

「私は戦えませんよ?一応魔法の手解きは受けておりますが」

「カロは休みなんだから働かなくて良いぞ?」

「いえ、それは…。他国とは言えギルド案件ですから、知らん顔は出来ませんよ」

「其方はギルマスだったな。スマンがよろしく頼む」

「ジョン?もしかしてカロにギルマスの仕事押し付けて自分は暴れに行くつもりか?」

「仕方ねーだろ?俺だって強いつもりだ」

「それだけの敵って事か」

「んでー?あんた、ジョン様が言う程やれんのー?」

あら。ソファーに座ってた美女が突然突っ掛かって来やがった。俺とジョンが仲良くしてるのに嫉妬したのかな?モデル体型で髪はゆるふわ。心が折れる迄犯して注ぎ痛い痛い痛い痛い痛いっ!

「カーケールー」

イゼッタに抓られた。全身鎧の唯一の弱点である、瞼を。

「え!?…浮いて、る?」

その場に居たマッチョに美女がその光景に目を見張る。飛べる人なんてそうは居ないからな。

「凄いだろ、我が妻は」

「まさか、魔族!?」

「魔族は耳が尖ってるよ。それに俺もジョンもとべるぜ?」

「俺のは跳ねてるだけだがな。話を戻すぞ?」

 ジョンの横に居たサブマスの説明が始まる。因みに今回のサブマスはマッチョで、集まった冒険者の一人かと思ってた。
話に依ると、東にある隣国の付近から始まった移動が距離を伸ばす毎に勢力を拡大しつつ此方に向かっているのだと。移動先にあった街を三つも廃墟にしているそうで、避難民の確保に街の冒険者が駆り出されていると言う。道理で男手が少なく見えた訳だ。

「質問。現在位置は?」

「ん、ああ。此処から東に四十日と言った所だろうか」

「移動先に、後どれだけ集落がある?」

「二つだ。一つはもう駄目だと思うがな」

「そうか。なら急ぐか」

「俺とカケルは先に出て、足止めの足しにしようと思う」

「イゼッタとカロはネーヴェと一緒に遊んでてくれ」

「カケルゥ」「そんな…」

「ネーヴェ様が来ているのか!?」

しょんぼり顔の二人とは裏腹に、ネーヴェと聞いて喜ぶジョンだが、俺はそれを良しとしない。人の問題に龍の力は大き過ぎるのだ。

「ジョンくんや。龍の力は頼るな。分かるな?」

「あ…、ああ。そうだな…」

「ちょっとネーヴェの所に二人を送って来るから、戻ったら移動しよう」

「分かった。準備は済ませておく」

俺達が部屋を出ると、途端にワイワイ騒ぎ出す。陰口なら静かにやってくれ。

 ギルドを出て、テッチー姉妹の住む商家にやって来た。今日は庭で遊んでるな?

「おーい。ネーヴェー、カラクレナーイ」

「あ、カケル」「カケルー、お仕事しないの?」

それじゃあ俺が仕事しない人みたいじゃないか…。

「これからちょっと仕事して来るから、イゼッタとカロを送りに来たんだ」

「カケル様、いらっしゃいませ。そちらの方は?」

「カケルさまの奥さん?」

「ん。妻です。イゼッタ」

「妾のカロです」

「わたしも奥さんになりたい!」「ラッテ!」

「ダメ。妾なら、許す」

「急がないと人が大勢死ぬだろうから、ちょっと行って来るよ」

「カケル、カララも!」「カララ、ダメ」

「カララ様、待つのも良い女のつとめ」

「ぐぎ…」

「カケル様、ご無事で」

「「「「ごぶじで」」」」

「……ごぶじで…なの」

良い女達だ。



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