女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
881 / 1,519

生存率

しおりを挟む


 その場の敵の処理を終え、歩きながらネックチョッパーの効果を聞くと、倒した敵が受けた場所とダメージを近くに居る者にも与える…と言う効果だそうで、首狩りで一撃必殺なマルーンにはお誂向きと言っても良い魔剣である事が分かった。但し相手が複数居て、且つ単独に近い位置取りでやらんと何処に飛び火するか分からんトンデモ武器であるが。

「使う時は余程気を付ける必要がありますね」

「数が少なくなったら下がって交代だな」

「指示をしっかり飛ばしてやれ」

「…分かった」

不安である。その後、多少伸縮する長剣をキャストルが、質量のある幻影を出す盾をドータンが入手して、遂にレッサードラゴンのエリアボスの部屋に着く。

「行けるのか?」

「ダメそうなら俺が殺る。その代わり、先には行かないからな」

日和ったルウェインにトドメを指す。此処で殺れなきゃ行くだけ無駄だからな。

「カケル、俺も見物か?」

「そうだなー。ジョンもこの程度なら余裕だろうし、見学だな」

「おいおい、六人で殺れるモノなのか…?」

それは実力次第だな。

「カケル、口出しくらいは良いだろ?」

「良いんじゃないか?」

ジョンが指示を出すようだ。生存率、上がったかな?
軽く打ち合わせをしてボス部屋の扉を開ける。魔法陣が光って魔物が出て来るのはどのボス部屋も一緒だが、全部出るまで待つ必要は無い。前衛が駆け出すと同時に魔法役は詠唱を始めた。

 結果としては負けだ。良い盾であっても部屋が広くては守りきれない上に手数と射程が足りなかった。

「なあ、カケルならこの面子でどう戦った?」

ドラゴンスラッシャーで一刀両断したジョンが俺の意見を聞く。この面子でどう戦わせるかを聞きたいようだ。

「俺なら戦わんが、どうしてもって言うなら、扉に石でも咬ませて何時でも逃げられるようにするかな。後は、強化魔法は戦闘前に使うべきだし、最優先で落とすのは翼だろうな。翼で飛んでる訳じゃ無いが集中力を奪えるし、地面に居る時に落としておきたい」

「成程な。聞いてたか?」

「部屋の外で強化魔法を使うって事か」

「ダンジョン…慣れてない、から、見落としてた」

「この街で稼いで行くなら覚えとかなきゃねー」

「ドロップの通り、ダンジョンは稼ぎが良いんだが、外の依頼は受けた方が良いよ」

「そうだな。被害があるから掲示板に貼られる訳だしな。それに、ダンジョンの獲物は馬鹿だから、此処で慣らされちまうと後が怖いぜ?」

ドロップを漁り、休憩したら地上へと上がってく。駄々捏ねそうと思ってたマッチョボーイズも、次のエリアの話はジョンの冒険譚で理解している。飛んでるトカゲが群れ成してるエリアでこれ以上の戦いは出来無い事を悟ったようだ。
女達はトカゲとは関わらないようにするらしい。今回程の面子には野良パーティーでは早々巡り会えないからだそうだ。

「あ、そう言えばジョンの仲間達は何やってんだ?」

「ああ、それな?タイミング悪ぃ事に旧王都に行っちまってんだ。彼奴等が居れば街を潰される数が減ったかも知れん。ま、王命だから仕方無ぇがな」

強くなったのかと問うと、ジョンは微妙な顔をして、ダンジョンで集めた魔剣魔装が強いのだと零した。

「そうだ。魔剣は見せびらかさない方が良いぞ?自慢話も止めとけ」

「何故だ?」「武勇の証だろうに」

「妬まれて貴族にでも知られてみろ。俺みたいにトカゲ丸一匹盗られちまうぞ?商売道具なら尚更だ」

「成程。ですと、ジョン殿のお仲間は危険なのでは?」

「まさか。そう易々と負けたりしないが…ああ、そうか…。カケルは盗られたんだもんな」

「ハークの親だから見逃したが、そうで無ければ城の男全員消滅させてたよ」

「危うく仇になる所だったか。弟が居てな。下っ端だが衛兵をやっているんだ」

世間は狭いな。旧王都で依頼をくれた衛兵がルウェインの弟、ダンクレイであると言う。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処理中です...