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これが地位か。これが名誉か。
しおりを挟む「い、否、忙しいと思ってな。カロが来てくれるならこんなに嬉しい事は無い。……ホントだよ?」
「クァケルゥさまぁ~ん…」
ギャップ萌えする笑顔のカロに《阻害》を掛ける。ギルマスのこんな姿、見せられないからな。ギルドの中で蕩ける前に、外へと連れ出した。
「うふ、うへへ…」
「キリッとしてもらわんと、置いてくぞ?」
「はいっ。……えへ」
「カロ様は本日の要件はお耳に?」
「え、ええ勿論。あの土地を買うのがカケル様でホッとしておりますよ。斜向かいとは言え家の前ですからね」
「そんなに広かったのか。壁側の、井戸のある辺りだけかと思ってたんだが」
「元は貴族の屋敷のあった土地ですからね。今は商家の土地となって、ほとぼりが冷めるのを待っていた所、ですかね」
「ほとぼり?火事の?」
「ええ。いわく付き、ですから」
街から遠いが貴族の屋敷が建ち並ぶエリアにあり、静かで自然豊かで水も出る。壁を背にしてセキュリティも確保出来、山手に住むには良い土地なのだろう。
「いらっしゃいませ、メリクヒャー様。カケル様。早速のご来訪誠にありがとうございます」
受付嬢の対応が丁寧だ。カロが貴族でギルマスだからだな。挨拶もそこそこに、会議室みたいな部屋に通された。そして直ぐにお茶と茶菓子が出る。これが地位か。これが名誉か。
茶を啜り、暫く待つと、ノックと共に職員が資料を持ってやって来る。昨日対応してくれたプリニアだ。
「カケル様、先日のご依頼の件で見積もりが取れましたのでお検めくださいませ。メリクヒャー様は立ち会いでしょうか?それに、其方のメイドさんは?」
「ええ。我が屋敷のお向さんですからね。それに、冒険者相手に商業ギルドがどのような仕事ぶりをするか、学んでおきたくて。此方のメイドはカケル様のメイドですので、お忘れ無きよう」
「カケル様のメイドのシャリーと申します」
「私、プリニアと申します。本日はよろしくお願いします。此方も勉強させていただきますので、何卒一つ」
挨拶合戦が終わり、俺の正面に提示された見積書と資料を左右に挟んだカロとシャリーが確認する。土地の広さの確認が、購入希望者である俺と出来てなかったり、基本相場の提示も無い事でプリニアの顔に冷や汗をかかせたが、値段についてはシャリーの口出しは無かった。許せる範囲って事だろう。
「支払いが魔石と言うのは、魔石を其方が買い取って、現金化させて地主に支払うって事ですよね?」
シャリーはそこに引っ掛かったようだ。
「はい。カケル様から現金か魔石での購入と希望されましたので」
「この手数料なら冒険者ギルドで現金化した方が良いかと思いますが。それと、釣り銭に関しての記載がありませんが、これは現金で?それとも小さい魔石を揃えますか?」
「それは…現金でお返しいたします。魔石の買取額は冒険者ギルドと同額とさせていただきますので、平にご容赦を…」
「五千万ヤンにきっちりさせたのは努力の結果でしょうね。しかし、当方の買取額でレッサードラゴンの魔石十三個、釣りが二百万ヤン。手数料が些か多いですね」
カロが更に突っ込む。買取と販売で二割半の儲けが出るらしいので、魔石一つが百万ヤンの儲けとなり、十三個で千三百万ヤンの儲けとなる訳だ。土地購入の仲介手数料としても、少し高いよな。
結果、魔石十一個ぽっきりとなった。六百万ヤン浮いた。凄ぇ。
若干げっそりとした顔のプリニアが、玄関前で見送るのを背にし、商業ギルドを後にする。だが何も言うまい。二人は自分達の仕事をきっちりこなしただけなのだから。…今度甘い物を持って行こう。
「カケル様、私はそろそろ買い物に向かいます」
「そうか、手伝ってくれて助かったよ、ありがとな」
ジャラっと袋入りのお金を渡し、買い物費用の足しにしてもらうと、頭を下げて出掛けて行った。
「カケルひゃま、二人っきりですね」
仕事は良いのかよ?
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