女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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アイドル業

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「こんな事なら送り方の話を詰めておけば良かった」

 プリキオーネが送って来た金属の巨塊を《収納》し、取り敢えず忘れる事にした。夜は、寝ないと。

『パパー。お母さんが用があるみたい。アルネスと何か話してたわよ』

 翌日。シンクレイアから《念話》が飛んで来た。

『ありがと。シンクレイアは今日もギルドかい?』

『貧乏暇無しよ。働いて得るご飯の美味しい事ったら』

ギルドにてアイドル業を営むシンクレイアは、心の荒んだ冒険者共を笑顔で迎えたり、手を振って見送る等の業務をこなしてその日その日の糧を得ていると言う…ってお乳と離乳食だろ。それにまるで俺が働いてないみたいじゃないか。

『たまにはギルドの仕事も受けなさいよね?お母さん達も会いたがってるんだから』

偶にはやるか。

「よし、パパ頑張っちゃうぞー」

「ひあっ!なっ、なにをっ、んはぁあっ!」

「あはぁっ、頑張って!沢山くださぁい!!」

ニト親子の中にたっぷり流し込む俺であった。


「え?同行ですか?」

 パパ頑張っちゃうって事で、シャリーを街に同行させる事にした。

「少々高い買い物をするんでな。値段交渉は商業ギルドに任せてはあるんだが、不自然な所とかあったら口出しして欲しいんだ」

「そうですか。分かりました。波風立てない程度に挟ませていただきますね」

そんな訳で、今日も直通のカロ邸へ着くと、アルネスが駆けて来た。

「いらっしゃいませカケル様。シャリーさんもようこそ。ギルドから話が来ておりますので一度足をお運びくださいとの連絡を受けております」

「ありがとう。早速向かわせてもらうよ」

「カケル様、一体何を買われるのですか?」「あ、私も気になります」

二人共、俺が何をするのか興味あるようだ。

「土地を買うんだよ。向かい側に木の茂ったトコあるだろ?」

「街の土地?家でも建てるおつもりで?」

「…まさか、カケル様?」

「見知った顔とは言え、いきなり転移門で現れるのは流石に失礼かと思ってな。此処は貴族家だし、寝具店はママ上殿が居るし。彼処は買い物し易くて良い場所なんだが、その辺はしっかりしないとね」

「カケル様…、エッチ部屋を作る理屈としては少々弱いかと…」

「エッチ…部屋、ですか…」

シャリーには一瞬でバレた。

「では、当家でお泊まりなられる際、恥ずかしながら部屋が足りず、お心苦しい思いをさせているとは感じておりました。その点も加味されるのは如何でしょうか」

「此方に泊まる際は皆様一緒にエッチしてますし、それも弱いですね。何方にしてもバレますので、此処は正直に説明するのが良いと思います」

バレて尚、協力してくれる二人に感謝。撫で回し、カロ邸を後にした。

「あ、カケル様。交渉事が終わりましたら買い物に行きたいと思ってました」

「昨日買いそびれた物でもあったか?」

「いえ、カケル様には買わせられないアレやコレ、ですね」

「同行は無用、か」

「女性の匂いを付けて帰らせたら私が叱られてしまいます。私の為に、今日は何卒」

食後のデザートやおやつが目減りするらしい。仕事をしてもらっているし、此処はシャリーの顔を立ててあげよう。

「シンクレイア~、ガンダー。また来たよ~」

「はぁ」「ばばあ」

方や溜息、方や性別と年齢を間違えて、俺の声に応えてくれた。

「あ、シャリーさん。今度は何時出てくれますか?」

「シャリーさーん、また来て下さいよー」

シャリーは俺の知らぬ間にギルドの手伝いをしたらしい。受付嬢からのヘルプコールに苦笑いで返していた。カロを呼んで来て欲しい旨を伝えてもらい、暫し待つ。愛娘からの、仕事しろって視線を浴びて、掲示板の貼り紙を物色する振りをして過ごしていると、カロが階段を降りて来た。

「カケル様、お待たせしました。シャリーさんも居るなら心強いですね。さあ、行きましょうか」

「一緒に?来るのか?」

「──え?」

キリッとしていたカロが濡れた仔犬のようになって行く。
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