女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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共犯

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「俺弱ぇだったから笑いに変えたぞ俺は」

「俺のネタパクったな?」

「パクって無いぞ?お前の作品読んだの昨日が初めてだったし」

 俺でも考え付くネタだと知って少しショックを受けた弥一であったが、直ぐに頭を切替えるポジティブデブでもあった。

「で、何時行くんだよ?」

「先ずは金策して女抱こうぜ。次に親に挨拶して許可もらえ。何方も二度と出来んから、やらなきゃ連れてってやらん。それと俺は今少し忙しいから、後数日待ってくれ」

「待ーつぅわぁ「待つわぁ~」」

「「何時ぅ迄えもま~…」って古いわ。取り敢えず先に挨拶行っとけ」

急に歌い出す弥一。合わせる俺も俺だが、学生の頃から変わって無いな。

「そうだな…、分かった。ああ、宅配でお前の服届いてっぞ」

宅配のダンボールが玄関横にあると言う。まだ使わないのでそのまま置いておいてもらおう。

「身辺整理もしとけよ?金降ろすとか、印税の入金先を変えるとか」

「ああ、今書いてるのも終わらせるよ」

「あっちでも書けるが、印刷技術は無いから売り出し難いな」

「冒険譚とかか?」

「大体が金持ちの読み物だな」

「活版、普及するか…」

「神的な存在的に言うと、良く生きよ、だな」

干し肉くれと言うので十枚くれてやり、安そうなデジカメを借りて島に戻った。神的な存在に怒られないかと心配したが、神の鉄槌は落ちて無いのでセーフなのだと思いたい。

 午後の部の少し前に施設に入り、ラビアン達に食事を一品ずつ出してもらう。

「こんなに食べるのですか?」

「知り合いに魔道具を借りて来たんだ。姿を絵にする魔道具だ。凄いんだぞ?」

「「へ~」」

雑木紙で撮影ブースを作り、光の棒で照明を得ると、食器に盛られた料理をデジカメで撮影して行く。三脚もレリーズも無いので浮かせて固定しセルフタイマーで撮る。安物らしいのでフラッシュは使わない。単品と、セットを撮って撮影終了。消え物はスタッフに美味しく頂いてもらった。

「カケル様、売り物なので食べられると…」

「姿を絵にする魔道具を使ったモンでな。盛り付けた料理が必要だったんだ」

「まあ、そう言う事でしたら…」

困り顔で注意するシャリーも、仕事と言えば二の句は無い。シャリーにも消え物を消費させ共犯にしたら、午後の部の始まりだ。

 早目に仕事を切り上げた冒険者と、服屋等、夕方に忙しく無い商店の女将が多いようで、服屋に雑貨屋、種苗店の女将が喋りながら待っているのが見えた。

「カケル!また来たぞ」

「先日は失礼しました」「「ごきげんよう」」

装備がメンテ中なのだろう。平服の『竜の牙』も並んで待ってる。

「カケル、やろーぜー」「ダメよ、並んでなさいっ」

「一汗かくにももう直ぐ開店だぞ?それに装備も無いじゃないか」

「へへん、あたいコッチも行けるんだ」

シュシュッとワンツー、パンチが飛ぶ。

「皆が見てる前でボコボコしたくないよ」

「当たんねーもん」

シュシュッと反復横跳びだ。

「じゃあ三リットだけな?店が開いちゃうから」

「おっしゃ!ぶっちめてやるぁ」

空き地に向かうとゴングも無しに飛び込んで来るガイラちゃん。そもそもゴング等無いのだが。
鎧が無いので前回よりも素早く、フェイントなんて掛けながら体の横、即ち視線の届かぬ所を狙って来る。その度に少し下がって軌道を外し、空を切る拳の横に回り込む。
回し蹴りはローで来る。ダメージは無さそうだが連携の取っ掛りになるかも知れないので全て避け、ミドルの後ろ回し蹴りを受け止める。…ペニスケが。またお前か。その瞬間、ガイラちゃんの脚を滑らせるように前に出て、ペニスケを股に挟ませ持ち上げた。

「捕まえた」

「ちっ、まーたかー。…降ろしてくれよ」

「ダメ~。負けたんだから店が開くまでこのままな?」

「食い込むんだよ…」

「肩に手を回せ」

「ん、んん…」

俺の肩に腕を回し、脚を体に巻き付ける。だいしゅきホールドで列へと戻った。女達の視線が熱い。



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