女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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予定は二十階程度

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 階段部屋に戻ると二人を残して《転移》した。部屋扱いの行き止まりで《感知》を使うと、階段前に二人の反応。やはり予想は正しかったようだ。

「戻ったよ。やっぱり二十一階だった」

「探索系スキル、便利ね。あんたって探索特化型なの?」

果物を齧って待っていた女が聞いて来る。

「多分そうなのだろうな」

大体何でもこなせるが、前衛かと問われれば疑問だ。物理で言えば多分中衛。火力で言えば後衛寄りだ。

転移罠のあった板と、二十一階の板にそれぞれ書き足した。

「十一階から二十一階に飛ぶのか。実力あるならそれもありなのか?」

「だいぶ楽でしょうね。問題は此処を上がって、また空なのか、だけど」

「だな。何処かで戻れる転移罠でもあれば良いが、お空だと終わるな」

 確認が終わったので調査に戻る。鍾乳石やら石筍が伸び放題の洞窟は、隠れんぼには最適で、小型の魔物が隠れてる。ひっそりその場をやり過ごした、背後から毒を浴びせ掛ける毒虫を、何事も無く《収納》して先に進む。

「何時の間に作ったの?」

「寝る前」

「材料あるならちょうだいよ」

「製品化したら買ってくれ」

「…って、その言い草だとトイレで光るヤツもあんたが作ってたんじゃない」

「材料の一部は俺が作ってないからおいそれとはくれてやれんのよ」

寝る前にクリスタルモドキを練り練りし、光の棒に取り付けた浄化の属性魔石が良い仕事をする。出発前に掛けた《結界》のおかげで効果は無いのだが、篭もり気味なダンジョンの空気が美味く感じる。


「不自然よね」

「誰が置いたのかって突っ込まざるを得ないよな」

 三階降りて二十四階。《感知》で分かっていたが、ミミッキュが居る。洞窟に箱があるとか、女の言うように不自然でしか無い。サッと仕舞って先を行く。

「またね」

「やけに多いよな」

行き止まり、視線を外れた段の上、通路の途中に罠の前。敵の湧いてる所にも。とにかくこの階ミミッキュが多い。

「この中のどれかが当たり、見たいな?」

「それこそそう思わせる罠なのかも」

「開けてみるまで分からないわね」

何とか先生の思考実験みたいだな。フロアの調査を終わらせて下り階段へと向かうが、只々ミミッキュが多いだけだったようだ。

 三十階。ボス部屋前に到着し、少し休憩。

「コレ殺ったら泊まるの?」

「それでも良いんだが、予定は二十階程度なんだよな」

「あんたの場合、ソロで最深部迄行けそうだもんね」

「それがそうでも無いんだ」

「何でよ?調査なんてしてなきゃ探索スキルで降りれるでしょ?」

「飽きるんだ」

「は?」

「潜り過ぎると魔剣とか売れないモンが落ちだすし、敵が変わり映えしなくなって飽きる」

「贅沢な悩みね。稼げる場所で粘る方が良いってのは解るけどさ」

「それに、まだ二十階の問題が片付いて無いだろ?二十階が空から始まったら折角書いた報告書が無駄になる」

「なら戻る?」

「取り敢えず殺ったら此処に戻って野営しようか。下に行ったら調査したくなっちゃうし」

「その方がキリも良いもんね」

休憩を終えて扉を開ける。開けて直ぐ、果てなく思える荒野が広がっていた。

「うわぁ…」

「脚で探すのは大変だろうな」

フィールド型のボス部屋は以前プリキオーネの居たダンジョンで経験済みだが、此処には障害物も起伏も無い。只々枯れた大地に小石の転がる荒野であった。全員が入り、扉が閉まり、扉が消えた。

「此処、殺っても戻れるの?」

「場所は固定したから、この場所には戻れるよ」

《感知》で部屋を見るが、だいぶ広い空間のようで壁に辿り着かん。空に上がり、十キロハーン先を見ても届かなかった。扉があるであろう背後にも空間が出来ている。こりゃ実力者でもダメじゃ無いか?

「あそこ!光ってる!」

「ああ、見えてる」

指差す女の方向に、小さい光が空に向かって伸びていた。遠くにあるから小さく見えるが多分デカい。

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