女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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言葉にならない

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 ブフリムとゴーラに囲まれて、密集した所をゲビトに上から殴られる。完全に負けパターン。何とか武器で受けてるものの、得物を上げたら下からの攻撃に晒されて結局ダメージを食らってる。そろそろかな。

好き放題に殴り掛かる敵共を、浮かせて《集結》し密集させる。突然浮き上がり押し競饅頭を始めた敵を見て唖然とするお手頃価格はその後の姿に嘔吐した。
密集し、密着し、圧迫された敵共が、バキバキと骨を砕きながら赤い玉になって行き、一気に《散開》されると、血と肉片と骨片と臓物のシャワーが五人に降り注いだ。
汚物の匂いでゲロを吐く五人を《結界》で囲って浮かせ、車列に連れて来た。馭者達には目を背けるよう忠告しておく。

「Aランクの先輩の言う事も聞かず突出して死に掛けた気分はどうだね」

「うぇろろろ」「ぶろっおろろろ」「げほっうぉろろ」

「言葉にならないようだね」

仕方無く、五人を《洗浄》する。その数二十回。吐き終わり呆然とする五人に《威圧》の拳を叩き付ける。

「目が覚めたか?」

「うう…」「ち…血が…」

ダメだこりゃ。

「翔、回復飛ばすぞー」

弥一の言葉を了承すると、キュア~っと光が包み込む。魔力使うだろうから浮かせてやるか。

「あ…ああ…」「あった、けぇ…」

どうやら落ち着いたようだが暫く使いモンにならんな。一号車に収納された。

「カケル、助かったのかどうかは分からないけど助かりました」

「後でダミヤンにでも気合いを入れてもらおうか」

ディワダはまだ何か言いた気だったが、魔力を使い過ぎた弥一がぐったりしていたので荷車に収納した。

「うぇぇ、ぎぼぢばりぃ」

「魔力欠乏ってヤツすかね?」

「だな」

魔力がカスカスになった弥一は顔面蒼白。直ぐに魔力を送ってやると、暫くして落ち着きを取り戻した。

「コレが、魔力切れ、か…」

「どうだ?魔力増えたか?」

「……増え、た。けどこりゃキチぃわ。こんな思いして魔力増やすなんて、設定、考えた奴、馬鹿だわ…、寝る」

寝てしまった。《感知》で診ると、使い過ぎた魔力臓器が熱を出している。一応《治癒》して、魔力の流れも整えておくか。

「ヤイチ、大丈夫っすか?」

「慣れん事して反動が来てんだ。大丈夫だよ」

「それにしても、カケルさんが強いって、やっと納得出来たかも」

やっとって何じゃ。その後弥一は起きる事無く、翌朝迄寝はがしていた。

「翔、腹減ったよ」

荷車から起きて来た弥一が飯を集りに来る。

「ダイエットになって良かったな」

「イートしないとダイしてしまう」

 DietはDieEatでは無いが、取り敢えず飯を食わせる。食った分、働け?一方、一組の男共は此方に近付かなくなった。飯は食えていたようなので働けはするだろう。

「カケル、お前魔力を譲渡出来るのか」

「あ、見えたのか」

「ヤイチの奴からお前の魔力が見えたのでな」

集めた皿を《洗浄》していると、グリオーソが寄って来て、小声で話し掛けて来た。

「初めて見るが、今の魔法技術は驚く事ばかりだな」

「嘘吐け、魔法じゃ無い事分かってんだろ?」 

「スキルだとしても世界が引っ繰り返るな」

「試してみたいのか?スキルでも無いって理解してるクセに」

「魔力不足で治し切れない、そんな経験ばかりしてたからな」

「体に魔力を通して魔法の使い方を教えるって、あるだろ?」

「まさか、それで体内に留めると言うのか?」

「俺の妻は知ってたぞ?国によって技術の発展具合は変わるのだろうけど」

「そりゃあ、各国それぞれ秘匿したい情報もあるからな。そうか、それで行けるのか…」

バルタリンドではメットに仕込める通信魔道具が、違う国ではショルダーフォンくらいの大きさだったりするし、秘匿情報は多いのだろうな。

 飯を食って艶々になった弥一を先頭に、五人が静かに長距離走をする。スッスッフー、スッスッフー。息遣いを揃えて走る様を、俺は荷車の上から監視した。

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