女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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暴走

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「殺らなくて良かったのか?」

「彼奴等、獲物を逃したとか言ってたっすけど」

 車両に戻ると質問が飛んで来る。大した質問でも無いが答えてやるか。

「殺れば素材や肉になるから狩れたら狩りたい所だが、護衛の基本は守る事。無闇矢鱈に戦って時間を無駄にしたり、血の匂いを振り撒く必要は無い。だろ?」

「襲って来る奴だけって事っすか」

「ホルストを休ませるのに一日伸びてるしな。それに、何もしないで護衛を終えて、金払いを渋る依頼者も居るかも知れん」

「安全を買ってるのに危険を味わいたいとかドMの極みだな」

「どえむ?よく分からんが、互いに働きを見たいし見せたいって所か」

「「だな」」

その後は単発のブフリムを一匹殺って、休憩地にて昼休憩。飯を用意する俺達とメイドと三組に、さっき文句垂れて来たと言う男が文句を垂れに来た。

「じゃあお前、飯自分で用意しろよ。スープの椀まだかー?」

「手伝いもしねえ奴に食わせる飯は無え。メイドさん、カトラリーコレで良いですかー?」

手を動かしながらも口撃を返し、せっせと食事を並べてく男達。相手するだけ無駄なのを理解しているな。女達からも邪険にされて退散して行った。

「喧嘩しなかったんだな」

「俺達の問題じゃ無い所で文句を言われても…って感じですね」

トイレ作りを終えて皆の元に合流し、先程のやり取りの詳細を聞く。どうやら肉が薄いだの野菜が多過ぎだのと言っていたようだ。そりゃあスルーするわな、俺の指示だし。

「食い慣れて無いんだろ」

「俺も、今回の遠征で初めて食べましたし」

「俺も」「同じく」

「そう言えば、街でもこんなの見た事無いな。コレ翔発祥か?」

「だな。ソーサー練るのは水加減が難しくてさ」

「俺はまあ似たモン食った事あるけど、慣れないモンは不安なのだろうな」

「街には無いんだろ?何処で食ったんだ?」

「軍曹のフライドチキン屋だ」

ああ、確かに似てるな。細切り野菜にカリカリの衣を纏った揚げ肉を包んで、辛いソースで頂きたい。

 片付けて、移動して、野営地に到着。敵が出ないのを愚痴る一二組だが、それは俺達のせいじゃ無い。

「運が良いのを喜べんのか、彼奴等は」

「カケル、何か済まないね。私の言葉は中々聞いて貰えないんだ」

ダミヤンとディワダはそう言って詫びるが、別に彼等のせいじゃ無い。彼奴等は、後詰の俺達より優位に立ちたいだけなのだ。

 夜の番は六組と二組が鼻に立つ事となり、仲違いしそうな彼等は仲良くなった。メイドのおかげだ。明日の食事を作る俺に付き合って、メイド達が夜更かししてくれて、女日照りな二組の男共とも話をしてくれたのだ。鼻の下を伸ばしてデレデレな男共を手玉にして手伝わせ、荒んだ心が癒された男共は、俺達と一緒だと役得があると学習したらしい。朝も早くに起き出して、三組の女達とも交流を深めようとしていた。一組とは斥候同士、一緒の組になる事は無いのでずっとギスギスするのだろうか。

その日の午後、一組が暴走した。

「ディワダ、ありゃあダメだろう」

「言っても聞かないんですよ、もう…」

 敵が近いので皆を外に出すと、直後に出て来た一組の面々が先行して叩きに行った。道の先に居るのなら合流出来るが敵は丈の長い藪の中。普通の冒険者では探す事もままならん。舐められ放題のディワダだが、彼奴等Aランクなのを忘れてないか?

「連れ戻して来ます」

「否、待て」

「死にますよ、彼等」

「多少痛い目見てもらおう。任せとけ、死ななきゃ治せる」

「はぁ…」

藪の中に居る敵は此処からでも頭が見えるゲビト系の巨人が二人に、ゴーラとブフリム総勢十匹。見た感じ、魔法は使えなそうだがそれは人種も同じ事。五人で殺れる数じゃ無い。ギャギャッと声がし見付かったようだ。囲まれてるのが《感知》で見える。

「翔、迎撃の支度はしておくぞ?」

「弥一は優秀な冒険者になれるな」

「目指せハーレム冒険者!」

エロの為なら人は勤勉になれる。
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