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基本給
しおりを挟む「そうだな。カケルが居たおかげで街…街よりまともな食事に有り付けたと俺は思ってる。追加の食費は出すべきだ」
「…そうね」
ムームードが中に入り、ヘンプシャーが折れて経費の支払いの件は受理された。《収納》から食材購入に関して書かれた板切れを取り出した。
「なっ!七十万ヤン!?」
「結構掛かるモンだな」
「ちゃんと買った分は全部使い切ってるよ。七十九人が三食で十五日分。買い物上手な元商業ギルドの職員に買わせたから、だいぶ賢く買われているだろうな」
「受け取りにも書いてありますね。諸経費を含む、と」
ヘンプシャーの前にあった受け取り証を引っ手繰り、ディワダが口を開く。口を開く迄誰もその行動に気付かなかった。ヘンプシャーがビクッてしてる。一部不満顔が居るものの、金貨七十枚が目の前にやって来た。
「前以て金を貰えなかったからこんな話になったが、貴族が大金持ち歩くのも危険が増すだけだからな。…で、分配方法についての話だが、抑、私が何々したからこれだけ貰うってのはあやが付く。これは理解出来るよな?」
「じゃあどうすんのよ!?」
「手持ちを一旦等分に分けて、自分以外の奴にその全額を支払うのさ。先ずは基本給として三枚。その後、評価した点を述べて支払って行く」
「最低でも十五枚は手元に入るって訳か」
「貴方は一気に十五倍入るって訳ね」
「俺は二枚減るが、働いた評価はあるつもりだ」
「では、カケルの言った方法で良いかな?」
「「「おう」」」「嫌だけど、多勢に無勢ね」
最初から多勢に無勢だろ。とは言わない。
経費の七十枚が失われた金貨は全部で百三十枚。総額で二百万ヤン、ミスリル貨二十枚か。
一人頭金貨二十一枚。余った四枚は貰いが多かった者の総取りとなった。
「では俺から」
手持ちを配り終えるとムームードが名乗りを上げて、自分以外の各人に、基本給の三枚を配って行き、残り六枚。
「ダミヤンとディワダは野営地での巡回に移動中の戦闘を評価するので二枚ずつ渡す」
残り二枚。
「カケルは言わずもがなの食事、そして戦闘にも出ていたので二枚渡す。以上だ」
「くっ!何で私を評価しないのよっ」
「六枚しか無かったからだよ」
「相手の評価に文句を言うと、もっと評価が下がるかもな」
「ぐ…」
俺の言葉に苦虫を噛み潰す。
「席の順で、次は俺が行く」
基本給を出したダミヤンが皆に三枚。そして俺に二枚、他の者には一枚ずつ渡した。
「カケルは飯。ヘンプシャーは女達が飯の手伝いをして、ウチの連中の気合いが入った。ディワダには会敵時に、グリオーソにはその後で世話になったし、ムームードは全体卒無くこなしていた。以上」
「では次に、私ですね」
異論が無いと分かると、何時の間にか席に着いていたディワダが口を開く。
「食事と迷惑料でカケルに三枚、ダミヤン、ムームード、グリオーソに一枚。以上です」
二つ隣の席からメンチビームが飛んで行くが、ディワダの姿が消える。認識してても見えなくなるのかっ。
「では俺だな」
グリオーソは基本給と共に俺とダミヤンに二枚、ムームードとディワダに一枚追加して渡す。
「皆と評価は変わらんが、カケルには回復を手伝ってくれた事にも感謝している。ダミヤン達は怪我をして手間を掛けさせられた分を含めても評価に値する働きだった。ディワダの所は暴走したが、働きもあるので評価する。ムームードは卒が無い。以上だ」
「…私ね」
渋々皆に三枚寄越し、残り六枚窓から投げ捨てた。
「貴方達にあげるくらいなら捨てた方がマシよ!」
「おい皆、今金貨を拾ったんだが、男同士、後で飯にでも行かないか?」
「あっ!」
投げた金貨を浮かせて持って来るくらい朝飯前なんだぜ?
「私の「さて、俺の番だな」」
立ち上がり《威圧》を飛ばすヘンプシャーを無視して、皆に三枚、浮かせて送る。
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