女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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は?

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 城門に近付き思い出す。

「城の中の者は《洗脳》掛けて無かったんだった」

「カケル殿、それは禁呪では無いか」

「掛ける相手は考えてるし、魔法じゃ無いから問題無いだろう」

「無いのか?カルメリアよ」

「無血開城出来るのでしたら、良いのかと」

「浮かせてシュって、したら良いのに~」

「ん?それは如何なる術であられますかな」

「うふふ。私は見てるだけに徹しまぁす。カケルさんの素敵な姿を見たいですからぁ」

普段は素敵じゃ無いのかね?

「取り敢えず、飛んで行くか」

「はい、貴方様」「はぁ~い」

腕に絡み付く必要は無いのだが、柔らかくて幸せ。両腕を取られてワタワタするロデュローンだが、ほんの少し浮かせてやると一瞬怯んだものの直ぐに姿勢を正した。魔法に長けた家系は慣れるのも早い。

「この様な魔法もあるのだな」

「コレはスキルだが、魔法で飛べる者も居るよ」

「それは是非覚えてみたいモノだな」

ロデュローンではちょっと厳しいかな。見た感じ火と光。質量のある光の粒子を纏えば飛べそうだけど派手過ぎるだろう。
ゆっくり浮かせて城門を越え、城には向かわず離れに向かう。離れの周りでは火が焚かれ、誰も逃がさぬつもりだろう事が窺える。だがそんなの関係無い。この距離なら《感知》の視覚で中に《転移》出来るからな。

「うっ…これは」

「!?」「誰だっ」

いきなりの《転移》に思わず声を出してしまったロデュローンに反応した女達が剣を抜いて身構える。

「私だ」

「は?」

「私も居ます」

「は?」

「助けに来たよ」

「誰だ貴様?」

暗い部屋では私だとか言った所で判別は難しいだろうな。光の棒で小さな明かりを灯し、王子兄妹に持たせてやった。

「ひっ」「生首っ」「ロデュローン殿下に姫様までっ」「お労しや…」「女神様、お二人に天界へのお導きをぉぉ…」

姦しいな。動ける者が膝を着いて祈り出したのを見て種明かしをしてやる。

「王子は俺が助け出した。リアは娶った」

「「「は?」」」

威圧感のある視線が飛んで来るが、そんなんじゃラビアンも怯まんぞ。

「では名乗ろう。俺はカケラント国国王、カケル・カリバである。王が娶ったのだから問題無かろう?」

「娶られました。子も居りますよ」

女達が慌てふためく前に《結界》を張ってくれたのはリュネ。マジ助かります。

「カケル殿よ。今更なのだが、領地があるのならカケル・カリバ・カケラント、では無いのか?」

「領地経営は宰相に任せて居るし、国全体がカケラント領だから付ける意味が無いと思って」

「忘れていただけなのでは?」

リアは鋭いな。

「王が自分に任命してないからってのもあるし、忘れてたのも正解だな」

「あまり離れたくは御座いませんが、偶には国に立ち寄られる事をお勧めします」

「女が一杯ですよぉ?」「日帰りで」

「その方が王籍であらせられる事は了承致しました。殿下をお助け頂き感謝の言葉もございません。しかし此処は我々の手で解決せねばならぬ問題にございます。これ以上のお力添えを賜れば返せなくなります故」

「気にすんな。こっちは妻を貰ってんだ。義父や親族の世話に貸し借りなんて言わんよ」

「良いのか?国を寄越せくらい言っても…まあ賄えんか」

「その通り。金もあるしな」

「カケルさぁん」

「何だいリュネ」

「でしたら、ウラシュ島の不可侵を契約させましょう」

「ウラシュ島、ですと?」

「詳しくは王や婦人達を助けてから、だな。只より高い物は無いとも言うし」

「初めて聞くが、心に留めておこう」

 少しだけ回復してあった女達を暴れられる程度に回復させ、城の敷地内に居る敵共に《洗脳》を施す。

「カケルさぁん、少しだけ、お手伝いしますね~」

「ありがとリュネ」

「私もお手伝いしとう御座います…」

《洗脳》の所有権がリュネに上書きされ、溜息が漏れる。人種の俺では脳のキャパシティが足りない。リアに支えられて倒れるのを免れたが、自分自身に回復を掛けてバランス感覚を取り戻した。






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