女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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あはれなり

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「う…、来ない、のか?」「今なら、こんな男共っ」

「後で好きなだけ殺れば良い。先に助けるべきだろう?」

 外に出て、動かぬ敵に高まる殺意を制し、ゾロゾロと場内へ向かう。地下室への道はロデュローンが知っていた。喋よ花よのリアは知らなかったようで拗ねて居られる。

「兄様、狡いです。私もカケル様のお手伝いがしたいのに」

「自分の住まう場所に何があるか等、知っていて然りだろう」

「耳が痛いな。それにリアの出番はまだってだけだよ」

「兄様は…いえ、止めましょう」

リアの視線の先には壁、そして兵士。隠し扉で一見では分からないと言うのに兵士が立っているのでは此処ですと言っているようなモノだ。

「壊して開けても良いか?」

「構わんが、容易く開くから任せよ」

棒立ちの二人を左右に押し退け、ロデュローンが壁を蹴る。腰壁の下の目地がガコッと凹み、床に収められた。

「押して進む事が出来る」

ロデュローンが壁を押すと、ズリズリッと詰まった摩擦音がして壁が押し上げられた。片手で押せる辺り重くは無さそうだ。

「出る時はどうすんの?」

「外から開けさせるか、止めておくしか無いだろう」

「殿下、私達はこの場にてお待ち致します。お任せください」

「うむ」

棒でも出そうかと思ったが、大人数で入れる場所でも無いし、彼女達の忠義を重んじよう。魔法の光を翳すロデュローンを先頭に階段を降りて行くと、見覚えのある埃だらけの場所に着く。足跡丸残りだから探す手間も無いな。

「掃除させるべきか」

「それが良いね」

「それでは隠してある意味が無くなってしまいますが」

「抑使っていなかったのだ。隠して使わんより解放して貯蔵庫にでもした方が良いだろう」

「ロデュローンに…カルメリアか?」

「父様っ」「ご無事で何より」

鍵が無いので此処は壊す。《収納》の領域を閂に向けてスッと差し入れ解錠完了。

「貴殿は素手で鉄をも斬るのか」

「まあね。約束通り、助けに来たよ」

「誰ぞ知らぬが大儀。ロデュローンも…傷はどうした?それにカルメリア、よく戻った」

「私の傷は此方のカケラント王、カケル・カリバ・カケラント王に癒して頂きました」

「私、カルメリア・カリバになりました」

「は?」

「子も居りまして、一歳になりました」

「は?」

リアよ、此処でぶっ込む話では無いと思うぞ?

「とにかく上へ。細君達の所へ」

「…後でじっくり聞かせてもらおう」

手足の枷を《収納》し、来た道を戻って女達の待つ入口へ。閉めずに開けっ放しで待っていてくれたようだ。

「王様っ」「ご無事でっ」

皆口々に声を上げる。姦しいぜ。
女達を先頭に王の間へと進む。立ちんぼの兵士を蹴り飛ばして道を作り、扉の前で佇む兵士を張り倒して扉を開けた。暴れん坊かよ。

「この世の春、と言った顔だの」

政が出まつりごと 来るようには見えませんな」

縦長椅子に座ってアヘ顔のまま固まってる男に親子は嘆きの声を上げ、直ぐに奥の部屋へと進んで行く。

「カリバ様、此処より先は王家と特別な者のみ立ち入りを許されております。此処でお待ち頂けるとっ」

女の一人が慌てて俺を止めた。

「俺、王なんだけど?」

「夫ですよ?」

「儂は許しておらんが」

「王よ、それは後で話せばよろしいでしょう」

「では、其方の女性は此方で…」

「此方もやんごとなき方である。私が許そう」

「うふ、リュネでぇ~す」

「まあ、殿下がそう仰るのであれば」

何故リュネにはそんなにあっさりなのか。ドレスだからか?たわわだからか?とにかく入場の許可を得て、許可無く立ち入り立ち呆ける男達を押し退けて部屋に入った。

「皆の者、無事か!?」

「王様っ」「父上っ」「貴方っ」「「お父様あっ」」

「久しぶりです。ご健勝何より」

「姫様っ!!」「「カルメリアっ!?」」「「姉様ーっ」」

あはれなり父王…。まあ埃塗れの爺さんより娘や姉妹の方に行くよな。柔らかいし、良い匂いするし。





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