女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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栄誉

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「ゴホ、ゴホン。儂にも孫の顔を拝ませてはくれぬか?」

静寂の口火を切ったのは義父。勇敢な王である。

「あら、貴方は謁見で堪能したのでしょう?」

「否、皆と見ようと思い自重したのだ。臣下共の前であったしな」

言ったもん勝ちな嘘を吐くが、突っ込み役は居ない。義母も信じた様で家族仲良くアーティエルを囲んでチヤホヤしだした。

「さて、俺は帰るよ」

「貴方様?振る舞いが終わって居りません。それに報奨も終わって居りませんよ?」

家族水入らずだし一度島に帰ろうかと思いリアに告げるが止められた。とは言え紙ペラ一枚で済む話だしな~。

「ウラシュ島の不可侵だけだし、リアが纏めておいてよ」

「ウラシュ島だと?あの枯れた土地を欲すると言うのか」

夫婦の語らいを内政に強い義兄が割って入る。

「お前等のせいで枯れたんだろ。現地民が死に絶えそうだったから集落を纏めて豊かな土地を作ってる所だ」

「意志は立派だが、貴殿だけでは帝国に攻められよう?」

「帝国は滅んだよ。で、皇帝を引き摺り下ろして出来たのがカケラントだ」

「…カケラントの領地が増えるな」

「ウラシュ島は別の王が治めているから、カケラントとは同盟に近い関係だ」

「ならば我等とも同盟を結ぶべきでは無いか?」

「それは無理だろう。カケラントは同盟するにしても元敵対国家だし、住民が納得すまい。ましてウラシュ島は何処とも同盟なんて組まないだろうよ。荒らし放題荒らし捲ってた国相手だしな」

「するにしても時間が掛かる、か…」

「兄上、良いでは無いか。牙を見せたら見せ返すだけの事」

思案する義兄に義姉が不穏な事を言う。黙って従姉妹を見てれば良いのに。

「見せた牙がデカ過ぎて口ポカーンすんなよ?」

「貴様程度の口では牙も見えまい」

「開く口は俺のじゃ無いもん」

「姉様っ」

やーい、怒られてやんの。ベロベロベロベロ~。

「貴方様も」

…怒られちった。ニヤニヤすんな。

「ふっ、貴様、私と剣を交える栄誉をやろう」

ドヤ顔で見下す義姉。

「手加減は必要ですかな?義姉殿」

俺も真似してみる。

「お二人共、お止め下さいっ」

「カルメリア、王族として、やらねばならぬ時があるのだ」

「俺も一応王だしぃ?、やらねば?ならんかぁ~?」

「…表に出ろ」

煽り耐性ゼロの義姉が立ち上がり、据わった目を向ける。

「庭を荒らしたくない。やり易い場所を用意しろ」

「着いて来いっ」

リアはもう諦めた顔で姉を見送り、俺はぷりぷりと揺れる義姉の尻を見ながら着いて行った。


 尻を見過ぎて何処に連れて来られたのか分からなくなってたが、着いたのは練兵場みたいな所。少ないが兵士も居て、剣を振ったりしてる。

「着いたぞ。何時迄見ているつもりだ」

振り返りもせず問うて来るが、嫌がる素振りが無いなら継続しよう。

「飽きる迄だな。それより支度は良いのか?女の支度は時間が掛かるのだろう?」

「無用だ。貴様が手加減するのなら、此方はこの姿で居ざるを得ん。裸にはなれんからな」

それはそれで見たいのだが、兵が見ているし仕方無いな。

「では初手をくれてやろう。自信があるなら参られよ」

「フッ」

ガキンッ!

へえ、《瞬歩》だ。ジョン以外では初めて見た。《結界》を殴っておてていたいいたいして無いって事は強化系のスキルも使ってるのかな。俺の顎先を狙った正拳突きが《結界》に阻まれ良い音を鳴らし、効果が無いと知ると空かさず両掌を押し付けてモゴモゴと呪文を唱えた。

「フレイムウォールッ!」

王族だけあって魔法も達者か。《結界》の中に撃ち込んで俺をこんがりさせたかったのだろうが、密閉された《結界》の中には魔法は入らない。それでも魔法を解かないのは熱で汗だくにしたり酸欠でフラフラにさせたい思惑があるのだろう。若しくは解除法を知らないかだ。

「…手も足も出まい」

「初手はくれてやると言ったよな?」

「ならば打破して見せよ」

どうやって見せてやろうか…。





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