女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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頭を潰せ

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 王の葬儀、そりゃあ国葬に決まってる。ミソプファンティアに居る貴族が皆王の死を知っているにも関わらず平時と同じ生活を営んでいるのは、国葬の日に合わせているのだろう。亡くなってから二十日で集合を掛け、十日間の葬儀。更に待ち受ける新王の選出。貴族は疲れて大変だな。

「カ、ケ、ルッ、さぁ~ん。私の事だけ、見ててくださ~い」

「んぬぅ、そうでもしないとっ、で、出ちゃうんだよおっ、おっ、あっ」

「ぁあ~~、中にまた、そんなに出してぇ。んくぅううっ」

現在、俺も疲れの真っ最中。ゴモラン家の離れに宛てがわれた部屋で、リュネの尻尾出し入れの快感を耐えに耐えている所だ。中に射精されると喜ぶ癖に、スキルを使わず我慢しろと言うリュネの指示に従い腹直筋下部が悲鳴を上げている。

 思いがけず長居する事になってしまったので、リュネは夕飯を食べたら一旦島に帰る事になった。子供のお世話は大事だからな。で、残り短い二人っきりの時間を堪能していると言う訳だ。

「リュネ~ちゅき~」

「ああん、カケルッさぁ~~ん」

龍の咆哮は家主が帰る迄続いた。


「カケルよ、また新しいご婦人であるな?ワシはミソプファンティア衛兵隊一番隊長、エルシド・ゴモランである。お名前を伺ってよろしいか?」

 で、食卓のお誕生日席に座ったエルシドは警戒心たっぷりにリームへ名乗りを上げた。俺より冒険者チックな私服だし、服つーか鎧だし、黒いし、近寄り難い雰囲気醸し出してるし。

「此方はグリームンドルフ様。グリューネワルター様の姉で、俺の女だ」

「妻とは言わんのだな」

「言って欲しいか?」

「我は主様が跨ってくれればそれで良い。我は雪の龍が二番目の娘、グリームンドルフである」

肩書き+名前で合わせたのか?敢えて言う必要の無い情報に、エルシドは狼狽える。

「ゆ、雪の龍…だ、ですと…?」

「可愛い俺の女だ」

「…確かに、強者の持つ雰囲気は感じられる。抑えていてそれならば本気を出せば《威圧》だけでこの街が消し飛ぶであろうな」

「我からは手を出さん。母が煩いのでな」

「有り難きお言葉を頂いたぞ。さあ、皆で振る舞え」

「旦那様、もうお夕飯の支度は出来ているのですよ?」

夫人はにこやかに釘を刺す。

「な、ならば明日振る舞えっ」

「無用だ。夫人の美味い飯があれば良い」

主賓が断るのであれば折れるしかない。

「で、では心から歓迎申し上げる」

長い挨拶からの食事は腹を空かす為の一種の儀式みたいな物だ。美味い飯が美味いと感じる幸せを、出汁の効いたスープと共に噛み締める。

「干した魚の味がするな。人の子の味への追求は全く感心する」

日本のような変態さは無いが、シルケも味には拘りがあるようで地域毎に味付けが違ったりする。

「お口に合って何よりでございますわ。厨房の者達も喜ぶでしょう」

今夜もご馳走様でした。

「昨夜迄は何をしたのだ?」

「んー、他の候補の陣営を無力化してる最中かな。直接殺しに来るようなのだけだけどね」

「頭を潰せば解決だろうに」

「人の子は面倒なのよ」

 食事が終わり、離れへ移動し食休み。リームは頭を潰せと言うが、それではお膳立てが過ぎてしまう。

「ハークには、強く優しく賢い王になってもらいたいんだ」

「その者はまだ見ておらぬが、妹なる者には昨日顔合わせをしたな。主様はやはり小さき者が好きか」

「幾つの時に会っても好き合ったら抱くだろうよ。歳は関係無いさ」

「確かにな。主様はそう言うお方だ。で、今宵はどうするのだ?」

「テンテリオン派の過激派が動くかと思ったが、まだみたいだし、ハーラデー派の一番のパイプは潰したし。取り敢えずやる事は無いかな。城内で殺意や害意、魔法、毒の存在が分かれば行って対応って所か」

「《感知》で見ていてはやるが、我は寝るぞ」

「分かった。朝には帰るよ」

あすなろ抱きを解いてキスを一つ。城に向かって《転移》した。





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