女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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 壁に囲まれた兵士達は出口の無い状況に、嘆き、戸惑い、呆気に取られ、膝を崩す。一々リアクションがデカいんだよ。

「穴開けてやるから欲しい大きさを教えてくれ」

人一人通れる分だけあれば良いと言うが、ソレお前達が出たいってだけだろ?荷車が擦れ違って余裕のある幅と高さを聞き出して、一階部分の高さを決める。高さ四ハーン、幅六ハーン。デカいが何だがバランスが悪い。高さを増して九ハーンにしよう。
二つの出入口を繋ぐように、高さ四ハーンの壁を二枚取り付ける。

「出口を作れ!狭くしてどうするんだ!?」

「中身も同時に作ってんだよ」

「うわっ、また壁がっ」「どんどん狭くなってるぞ!」「隊長!ゴモラン隊長ーっ!」

五月蝿い。無視して壁を作り、二階の床を乗せてやると俺の居る場所以外からは静かになった。防音効果はバッチリのようだ。

「暗いっ!誰か明かりは無いのか!?」

「ある訳無いでしょう!」「暗いよ狭いよ怖いよー!!」

五月蝿い。泣くな。俺は《感知》で見えてるが、兵隊共は平衡感覚を奪われてのたうち回っていた。
出入口を繋ぐ通路に向かって横穴を開け、二階の床に扉の開閉分の吹き抜けを開けてやると、少し明るくなったのに気付いて男共が駆け込んで来た。

「うおおおおっ!明るいぞ!」「早く出せ!小便したいっ!」「隊長っ助けてくださいっ隊長ーっ!」

「五月蝿いっ!」

仕方無く、集落側の出口を開けてやる。小便されたら敵わんわい。

「ウワーッ!隊長ーっ!」「何なのですこの冒険者は!?」「助かったーっ」

「どぅあまるぇーーいっ!!貴様等外で待って居れっ」

一喝されて縮こまる兵士達を押し退けて、砦の中に入って来たエルシドは、中の様子を見て唸る。

「只者で無いとは思うて居ったが、これ迄とは思わんだ」

「門扉と内装は其方で作って貰うからね」

「何だ?用意出来んのか」

「鉄は別途料金を頂くよ。高いからね。それに意匠を凝らしたりしたいだろ?」

「ふむ。まあ良いだろう。して、どうやって上に上がるのだ?」

「まだ階段作って無いだけだよ」

一先ず雑木の梯子を立ててやり、二階へ上がるエルシドを放って作業に戻る。

「上からも監視出来る訳か」

通路の床をぶち抜いて二階を分断するが、エルシドは察したようで落ち着いている。

「通路の左右を閉じてしまえば死体が詰まって行く事になる」

「丈夫な扉が要るな」

二階の部屋割りは吹き抜け部には柱だけで、奥行十ハーン辺りで壁を作って、二つの外壁の隣を廊下とし、それを挟む形で大部屋にした。

「入口が二つあるのか」

「後で壁を付けて部屋を割っても良いし、好きな方から出られる」

「動線を考えて居るのだな」

「天井を乗せるので浮かせるぞ」

「うむっ。お、おお…、お前金玉ゾクゾクせんのか?」

「慣れたね」

エルシドは俺が飛べるの知ってるが、流石に自分が浮くのは動揺してしまうようだ。玉ヒュンなんてシルケに来て直ぐ経験済みなのさ。
二人で浮いて、足元に床を張る。此処からは吹き抜けにせず一枚成りだ。二階同様廊下を挟んだ大部屋にして、四階も同様に。四階の天井は砦の屋上となった。

「以前の物より立派になったわぃ」

「高さ二十ハーンあるからね」

「ギッツがよく見えるわぃ。物見櫓が騒がしいのう。手でも振ってやるか」

樹冠を超えて出来たので、遠くがよく見えると言う。相手にとっては一夜城。そりゃあ驚くわな。

忘れちゃいけない階段作り。通路の真ん中、二階の待機スペースの壁に沿うように四角い穴を開ける。

「雨雪が入ってしまうぞ?」

「中で火を焚いたら死人が出るよ?」

「煙突を兼ねて居るのか」

「此処は其方で蓋でも付けてくれ」

浮いて一階に折り、階段を作って行く。螺旋階段は面倒なので踊り場のある普通の階段にしたよ。コレを通路の反対側にも作って、更に屋上を貫かない階段を砦の端々に計二つ作った。

「灯りが沢山要るな」

其方で用意しておくれ。




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