女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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鬼を見るような目

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 灯りが欲しいとエルシドは言うが、考えてみれば窓が無い。

「砦って窓は無い方が良いんだろう?」

「侵入経路は少なくて然り、ではあるな」

「魔法ギルド辺りが光の属性魔石をくれるかも知れんよ。ハーク王が建てさせた砦だと言えば喜んで出すだろう」

「壊した本人でもあるからな」

「アルアも居るからそれは言わない方が良いね」

「うむ。聞かなかった事にせよ」

「夜になったら松明を着けて、煙が抜けるか確認しようか」

「うむ。後は此方で纏めて内装を整えさせよう。忘れて居ったが、ギッツ側の出入口は開けんのか?」

「それも其方で掘ってもらおうかな。今開けるべきでは無いだろうし」

「心得た。ではご苦労であったな。ハーク王も喜ばれるであろう」

コレが戦争の抑止力になれば何よりだ。そして此処より先に攻め入らない事を願う。

「あ、集落はどうすんだ?本当は作っちゃダメなんだろう?」

「無論。だが、この地での流通、そして娯楽はアレで賄われていると言っても過言では無い」

「ならちゃんとした街にしたらどうかな。小アトールもだけど、娼館の女が病気持ちばかりではその内兵士が死ぬぞ?」

「お前のソレが無くなったのもその口か」

「生えてるよ!元気だよ!」

「そうか。…我が家は子が成らんでな、羨ましい限りである」

「その内デキるさ。以前食わせた果物は子作りの効果もあるからな」

「…期待しよう」

別れ際、エルシドの金玉は切って治さないとダメであると診えた。


 小アトールで働くジョンに報告し、ギルドから使える人材を連れて来てくれと羽交い締めで泣き付かれ、命のやり取りをしなければこの場から逃れられないと悟った俺は、仕方無くクリューエルシュタルトとシューンシューンズデーゲンに行って三人と二人を連れて帰る。

「ああ、マスターがちゃんと仕事をしてらっしゃる…」

「何時もちゃんとしてるだろうがっ」

「クリューエルシュタルトの仕事もお持ちしましたので、この調子で頑張ってくださいねっ」

慈母の様な笑みを浮かべるサブマス相手に鬼を見るような目のジョンであった。俺は帰るぜっ!

 バルタリンドのギルドで受付から報酬を受け取る。久しぶりに働いたぜ。

「パパー、やっとはたーぃたー」「パパー」

失礼な事を言う愛娘である。

「ギルド以外からの仕事もしてるんだよ。他の国で王様が変わるから、それの手伝いしたりな」

「へー」「えへー」

「ギルドの仕事もして下さいね。次の方~」

愛娘と愛息子に煎餅をあげて、列を離れた。俺を排除した受付嬢が羨ましそうな目で此方を見ていた。子供達、早く食べちゃいなさい。

 寝具店とカロ邸にも寄って煎餅をお裾分けし、カケリウムを補充されて帰宅。体調の戻って来たテイカが出迎えてくれた。

「お帰りなさいませ、カケル様」

「カケル、おか~」「甘いにおい~」

「シンク達とママ上殿と、それとアルネス達に煎餅あげて来たんだよ。お前等はまだあるだろ?」

「「他の、つくって」」

似た者二人がステレオでくっ付いて離れない。ハーク達の見守りもあるのでチャッチャと作ってしまおう。貴重な醤油を使ったみたらし団子で、手持ちの醤油が無くなった。だいぶ時間も経ってるし、仕込んであるヤツを搾る時間を作らねば。

それから三日経ち、棺が教会の地下へ納められると貴族達は束の間の休養を得る。ハーク達王家も同じく、自室にて疲れを癒していた。

「お疲れだな」

「「「いらっしゃいませ、カケル様」」」

「坊っちゃま。カケル殿が居らしましたぞ」

「カケル~、疲れたよぉ」

ベッドで寝たきりになってるハークが片手を上げて返事する。流石のブルランさんも今は注意出来ないか。

「疲れは《抵抗》や《耐性》で忘れられるぞ。《遮断》でも良いな」

「ボクスキル使えないもーん。それに忘れるだけで無くなってないじゃーん。後でもっと辛くなるヤツー」

聡い奴め。聞くとアルアも同様に、ベッドの住民と化しているそうだ。



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