女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,340 / 1,519

間合いを保つ

しおりを挟む


 お昼寝して、女児等を巣から降ろして島へと戻る。

「カケルさぁ~ん、何処行ってたんですかぁ?」

「ルドエでご飯食べて、昼寝して来たんだ」

「お帰りなさいませ、カケル様」「お帰りなさいませ…」

テイカと並んで出迎えたアルアは、着飾っていた。否、着せ替え人形にさせられていたのだろう。笑顔に疲れが見える。

「リュネ、着せ替え人形にはするなよ?」

「はぁ~~い」

女達が午後の仕事に行き、落ち着きを取り戻した食堂は人の姿は疎らだ。折角だし、醤油を搾るかな。
厨房奥の倉庫に眠る保存箱の中から醤油を仕込んだ容器を取り出し、中身を確認する。が、中身は水分が抜けて真っ黒な味噌みたいになってしまっていた。味は醤油だが、これでは醤だひしお 。予想だが、水が足りなかったのだろう。これを種にしてまた作れば良いな。因みに味噌はちゃんと味噌になっていた。美味し。しかし何方も量が少なく、普段の料理には使えないだろう。茶色い食べ物に慣れて来た島民とは言え、結構警戒してから口付けるしな。個人的に楽しむ事にして、保存箱に仕舞った。

「甘い物ですか?」

「塩っぱい物だな」

「そうですか」

倉庫に入って来たラビアンもこの通り、甘い物で無ければ興味無しだ。シルケに味噌と醤油が流行る事は、きっと無いのだろうな。

「夕飯の仕込みか?」

「はい。施設で足りなくなった物を取りに」

そう言って塩やら乾燥香草等を大型の収納箱から手持ちサイズのマジックボックスに詰め直している。手伝う事も無さそうなので、部屋を後にした。

 暇を潰すなら子供達に遊んでもらうに限る。昼寝から覚めた子等を浮かせてやると、重心移動を駆使して動き出す。末は鳶か宇宙飛行士か。最初の頃はジタバタしするだけでキャッキャしていたが、今では直進や加速出来る子が殆どだ。急カーブや急減速は出来ないので、壁や子供同士でぶつかりそうなのを止めてやりながら夕飯迄の時間を潰した。

飯風呂頂き寝る前に、自室へ戻るリュネを捕まえる。

「そろそろペニスケ返してくれよ」

「うふ、どーしましょうかねぇ~」

「返せよ。口聞かんぞ?」

「…んもう、わーかーりまーしたー」

「……」

「分かりましたからっ、はいっ。お返ししますからぁ~」

「…外行きの服、二つしか無いんだからさ。オイタしないでくれよな」

「はぁ~い」

やっと帰って来たペニスケを仕舞い、寝室で寝る。リュネが付いて来たけど気にせず寝てしまった。
おかげで朝からリュネのご機嫌がよろしくない。ニコニコしては居るが、間合いを保つラビアン達を見て察する事が出来る。

「リューネー、出掛けるぞー」

「誰に会いに行くんですかー?」

「トカゲの様子を見に行くぞー」

返事が無い。

「ミーネー、リームー「行きますっ、行きますったらっ」」

二人共ミネストパレスに行ってるので呼んでも来ないのだが、頬っぺた膨らまして同行を認めた。何時もなら付いて来たがるカラクレナイとネーヴェはアルアと街に行くそうで、妻達を伴ってバルタリンドに行くと言う。

「さあさあ、行きますよー」

背中に抱き着くリュネが声を上げ、瞬きする間も無くトカゲ牧場に《転移》させられた。

「おお、トカゲも入れたのか」

草と水と餌のセット迄は俺も見ていたが、何時の間にかトカゲを入れてくれたようで、赤くて羽のある美味しいトカゲの姿が幾つも見えた。パッと見で二十は居るかな?日当たりの良い巣のテラスに丸まって日光浴してるようだ。餌の方も目立って減っては無い模様。草は結構減るようで、日光だけでは間に合わず、リームが生やしに来ているそうな。

「リュネも見回りとかしてるのか?」

「してますよ~」

「そかそか、よしよし。色々頼まれてくれてありがとな」

「んふ~」

正面に抱き直して撫でてやる。機嫌も晴れてくれたようで良かったぜ。昼食には遅れてしまったが、イチャイチャしながら島へと帰った。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...