女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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酒を持って来た

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 アルアが来て三日経ち、落ち着きを取り戻した我が家ではお礼行脚が行われる。お礼をするのは俺であり、要するに福利厚生の一環だ。先ずは不在中の礼に、皆に甘い物を作って振る舞う。ダンジョン産のヤモリの卵に獣母の愛ミルク、マタル粉に白糖を使いカスタードクリームを作り、ママ様の巣産の氷で冷やす。バニラはシルケで見た事無いから仕方無いね。
コレだけぺろぺろしてもらっても良いだろうが、歯応えが無いと文句が出そうなので更に一手間。同じ材料に塩を足して、今度はタルト生地を焼く。獣母の愛無塩バターにマタル粉と白糖と塩をバターが粉と同化する迄混ぜたら卵を入れて纏め、金属バットで挟んで氷で冷やしながら寝かせる。俺も寝る。
起きたら生地を型に挟んで焼き、カスタードクリームを乗せてカスタードタルトの出来上がりだ。土台をとにかく数作らねばならんので、風呂場の二階を出入りして焼きまくる。焼き終えた頃には甘い匂いを嗅ぎ付けた女達が列を生していた。
島の皆の分はリームに配ってもらい、俺は各所の女達の所に持って行く。バルタリンドではセカンドハウスの面々に、寝具店、カロ邸ではタマリー母子にも渡るよう手配してもらった。
入浴施設で昼食を摂り、そのまま午後の部の仕事をして午後過ぎにミネストパレスへ移動。手持ちのタルトと煎餅が全て消えた。


 精神的に疲労した体に《浄化》の光が染み渡る。島に戻って一足お先に湯に浸かり、寝落ちし掛ける度に目の奥が光る幻覚で引き起こされた。

「カケル様ー、もう夕飯始まってるのですよー。それと、バルタリンドからカロ様達が来てますでーす」

「んー、今出るー」

溺れ死ぬ前に出た方が良いな。湯の上迄浮いて《洗浄》し、体を乾かし目を覚ますと呼びに来たニトのおっぱいを揉んで湯上り。食堂へと向かった。

「お待たせ。お風呂で寝掛けてたよ」

「カケル様、ご無沙汰しております」

「ご無沙汰だね」

カロにタマリー、シンクにガンダーの四人で来た様だ。ガンダーとシンクはさっきの俺と同じく船漕いじゃってる。

「ぱぱぁ…ばなら…」『パパ、バニラエッセン…』

寝言と《念話》が同じ事言ってるが、バニラはシルケで見た事無いんだ、気持ちは分かるがゴメンな。その内探してみるかね。子供部屋へと二人が拉致され、俺は食事中の皆と合流して夕飯。タマリーが酒を持って来たので飲む奴は少しずつもらって飲んでいた。

「旦那は飲らないのかい?」

「果実酒だよな?良い香りだけど俺弱いからさ」

卵の菓子に合うと思ってカロが用意してくれたそうだ。

「けど、お高いんでしょう?」

「ええまあ。今年の新酒なのでそこまで高くは無いですが、貴族向けではありますね」

とカロ曰く。成程な。匂いで分かる高級感。公都の近くで生産されてるヤツだっけ?皆で飲む程量も無いので香りだけ頂きますーはー。

「カケル様。カケル様に指名依頼が出ておりますが、如何なさいます?」

カロが来たのはこの為か。キリッとしたままなのもそのせいか。

「如何なさるかって、断れないんだろ?」

「予定が塞がっていれば断れますが、ギルドとしては請けて頂きたいですね」

「どうせ暇なんだろう?やんなよ」

「そうだな。内容による。詳しく」

詳しくは明日にでもギルドでと言う事で、大まかには海での討伐依頼であるそうだ。

「魔物波だっけ?前の依頼は魔物来なかったしな」

「はい。あの時は龍の方々のご威光であられたのかと」

「確かに、それしか思い付かんよな」

明日朝一で聞きに行く事にして、今夜は寝る。あまり夜更かししないようにと念を押し、先に床に就いてる女達の元へ合流した。

 そして翌日。早めの朝食を摂ると、カロとタマリー、愛娘と愛息子を率いてギルドへと《転移》する。

「目ぇ開けて良いぞー」

「はい。ふぅー」

「便利だけど、浮き上がる感触がちょっとね」

「パパべんい」

したいのか?違うようだ。




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