女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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全然違う

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「名前忘れちゃったけど、コレ珍しかったのか」

「こっちには全然居ないからねー。知る限り、公都の北側の国に少し居るかな」

 生息域を離れないタイプなんだな。雑談を挟みながら、採寸したり服の仕様を話し合い、買って来た串焼きをくれてやって寝具屋に戻って来た。

「奥様、只今戻りました」

「カケル様と居たのね」

「露店街で鉢合わせてね。そろそろ昼飯の時間だし、島に帰ろうか」

「カケル~、串焼きのにおい~」

「ホイットニーさんの所ですね!」

「済まない。串焼きはエメラルダスへのお土産にしちゃったんだ」

「ぐえ~」「ぐえー」

龍語が上手くなったな。次は買ってやると言う事で諦めてもらい、島へと帰る。エージャは寝具店に置いて来た。

「あ、カケル様ちょっと良いですか?」

「なんぞ?」

食堂に着いて、昼飯迄茶でもとした所、厨房で作業中なラビアンが寄って来た。聞くと、蓋の閉まる容器が欲しいと言う。先日作ったスープの元を施設で売り出したいのだそうだ。

「売りたい気持ちは買いたいが、アレって《収納》してないと直ぐに腐っちゃうぞ?さっきママ上殿に持ってった分も大体一回か二回分だし」

「ですよね~」

「食事として提供するのが精々だろうな」

シルケでの長期保存の方法は、乾燥と塩蔵のみだ。庶民の手には届かない糖蜜漬けや、酢や酒みたいな発酵もあるが長持ちとは言い難い。広口のガラス瓶に磨りガラスの栓をして、水を垂らして煮沸消毒を施せば多少は持つだろうが、開けたら最後、使い切りとなる。そんな状態で売り出したら腹を壊して怒鳴り込んで来る未来しか見えない。

「カケル様、お茶なのです」

ニトがお茶を持って来た。お茶っ葉みたいにカサカサカリカリになる迄脱水しても良いが、それをやるのは俺の仕事になりそうだし、やはり売り出すのは無理だ。

 午後の部の仕事に行って、主婦や非番の冒険者達に需要の程を聞いてみる。

「お湯入れて飲むんならさ、水入れても飲めるんだろ?オレは欲しいけどな」

冒険者達は一食ずつの小分けでなら欲しいと言う。ポーションを買う感覚だな。

「ウチは頭数が居るからねぇ。味は良いから毎日使っても良いくらいだよ。けど小分けだと入れ物代が嵩みそうだね」

主婦達は家族の分も必要だ。四人家族で三日は使えないと買い辛い。量り売りなら喜んで買いたいそうだ。

保存箱を作って売れば。

考えて消える。家にはあるけどコイツは人の子の作れる技術を逸脱してる。龍が作ってるし、普通に国宝になるレベルだな。

女達を楽しませ、島に帰ってラビアン達に無理な事を説明した。結果、施設にて食事として提供するのみで確定した。

「残念でしたねー。お金儲けできそうだっのに」

サミイは言うが、彼女自身売り出しにならんと踏んでいたようだ。安全に提供出来無い事は予想していたみたいだ。

「カケル、解毒薬、いれたら?」

「腹壊す前提かよ。野菜と煮込んで薬効残るのか?」

「んー、どーだろ」

「味が良くなるなら薬効関係無く入れるのも良いが、効果無いのに添加物を入れるのは良くないな」

「旦那さまっ、それなら試してみましょうよ!」

サミイの商魂に火が着いたか?

「ならやってみるか。取り敢えず先ずは味見からだな」

作るのは女達に任せ、《鑑定》等は俺やリュネ達がする事となった。

「カケル様、スープの素が出来ました」

 それから数日、試作が完成した。味見しながら作っていたので味に問題無いだろう事は食べる前から分かる。食堂へ向かい席に着くと、兎達がお皿に盛られたペーストを持って来た。

「旦那さま、これなら売れますよ!」

「味は良いって事だな?」

鼻息荒いサミイがペーストをお椀によそい、お湯を注ぐ。湯気と共にスープの良い香りが立ち上がる。味もサミイの自信を裏切らなかった。

「俺が作ったのとは全然違う味だけど、美味いね」

「同じにならなかったです!」

俺もあの時と同じのを作れと言われても怪しいし、仕方無いよな。








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