女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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歯応え大好きシルケ人

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 三人の検診は異常無し。体に歪みは出ているがこれは産後に治すモノだ。検診を終えて、ラビアン達が淹れてくれたお茶を頂く為、テーブルを囲んで席に着く。ソファーみたいに深く座る物は楽な分立ち上がり難いそうで、近頃は専ら椅子に掛けるそうだ。雑木で低反発座布団を作ってあげたら喜んでくれた。

「それにしても、羽振りが良く見えますね」

「加工が良かったんだろうな。すっかりビカビカになっちゃって」

シャリーの一言で俺の鎧の話になった。

「貴族だって此処迄気振った装備を纏った者は見た事が無い」

「殆ど金銀ミスリルですからね」

  「コレがあのグリーン氏リザルトですか」
隣の国の方には居るのだから素材として出回っていてもおかしくないのだが、フラーラ達この国のメイドは見た事が無いと口にした。であればこのビカビカはエメラルダスの加工に依る所が大きいのだろう。因みに大陸の違うシャリーはイゼッタの家での経験が粗全てなので、布と金属、それと普通の革しか見た事無かったそうだ。
日々の話や愚痴を聞き、女達の話に混ざっていたが、カロ邸の夕食は少し遅い為、準備が始まるのを見て島へ戻る事にした。案の定、此方では既に配膳が始まっていて、お盆を提げたテイカが一番に寄って来る。

「お帰りなさいませ…クンクン、女の匂いが知ってる方のしかありませんね」

「仕事の後はメイド達の検診して来ただけだもん」

「もしかして体の具合が?」

「話に混ぜてもらってただけだもん」

「女の匂い付けたげるの!」「私もー」「カケルさまー」

カラクレナイと兎少女達が四方から抱き着いて、マーキングされる。抱き返してなでなでなでなで。

「服がやーらかいの」「あったかいですねー」

この柔らかさだと服扱いだよなやっぱ。背中に顔をグリグリする子を浮かせ座椅子に掛けると、左右に二人、膝に二人が自分の場所を確保する。

「食べ難いんだけど」

「食べさせたげるの!」「「「です」」」

そう言われたら自由にさせるしか無い。今日は薄切り肉とレッグルートの炒めに豆のスープ、温野菜サラダにソーサー。スープ以外は女子等に給餌された。

「カケルー、あ~ん」

「カケルさま~、ギギンですよ~」

肉は殆ど来なかった。皆自分が食いたくない物を俺にあ~んしよる。途中リアに窘められて改めていたが、ギギンなるオレンジ色の根菜はラビアン達なら好物では無いのか?味も似てるし。

「歯応えが無いので…」「ポリポリが良いんです」

兎も人も、歯応え大好きシルケ人。好きな物でも煮たのは嫌な訳か。軽く湯掻く程度なら良いかも知れんね。
夜の部の仕事に行き、女将連中と仕事終わりの冒険者にカナブン鎧の事を色々聞かれた。女将連中は商材の匂いを感じ取ったのだろう。冒険者は基本的にオンリーワンを求めるから、他者との差別化を計りたい意思を感じた。上手く折り合い付けて欲しいものだ。
そんな二つの勢力を感じさせるのも俺の仕事だ。身体中から生えたアイツと一つになって喘ぐ女達は皆一心同体。事実、入浴施設が出来た前後で冒険者と住民の仲はかなり良くなったと家政婦組合の上役である肉屋の女将は言う。
冒険者と店屋がこの施設を通して顔見知りになると、此処を使ってない冒険者連中とも同調が生まれたらしい。値引きだなんだのゴタゴタも減り、何れ加入する家政婦組合の話を聞いたりして仲良くなってったんだと。
男の方は知らん。公共浴場で筋肉ピクピクしながらコミュニケーション取ってるんだろう。


 翌日、翌々日。三日も経つと緑皮の噂も広まりエメラルダスが嬉しい悲鳴を俺の職場へ聞かせに来た。

「あの皮出せるだけ出して!もう手持ちじゃ紐しか作れないよー」

そんな事言われてもなぁ。だがエメラルダスには友恋フレンズ少年隊も世話になってるし、忖度してもバチは当たるまい。取り敢えず落ち着いてもらい、飼育係に話を通すと伝えた。飼育係の名を出したら大人しくなったよ。



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