女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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中々の目利き

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 蓋の方は職人の言葉を参考に作る。型から出され、水冷された容器のバリを取り、一セット完成した。やはり水冷でも問題無く出来た。

「この型があれば同じ物が量産出来るな」

「途中、刻むのが面倒だが、まあ何とかなるだろ」

「バリも熱い内に取っちまいてぇな」

その方が削る手間が省けるか。もう一度作らせてもらう。型押しして、バリがはみ出したら形から外し、バリを切り離して再び型を嵌め、冷やす。

「ん、悪く無えな」

「まだ版に触れねぇ奴の練習にもなるな」

職人達の感触は良さそうだ。

「しっかしよ、こりゃゴミが多いな」

その意見は何れ出るとは思ってた。四角く切ってバリを取ると結構な余分が出てしまう。価格に乗せると言うよりも、処分をどうするかが話のメインになった。普段は砕いてゲル槽に入れて食わせるそうだが、量が多過ぎると溢れてしまうと言う。勿体無いからと言って砕いたのをゲルと混ぜて版にすると像が歪むそうだ。

「自作のゲル版で作ったから強度はダメダメなんだがこんなのも出来るぞ?灯りのカバーにしたんだが、光が散ってキレイなんだ」

イゼッタ達が量産して投げ出した、灯りのカバーを職人達に見せる。

「確かに脆いな。それに穴だらけだぜ」

「いや、コレは中々売れそうですね。親方、生に屑を塗して型押ししてみてくれ」

店主は何かを閃いたようだ。指示を受けた親方が下の者に指示を出し、型を使う。

「バリが出ないよう、量を減らしてみやしたが、如何ですかい?」

冷えてまだ滴りの残る容器を手に取り、店主は陽に翳す。

「カケルさん、コレも家でやらせて貰っても?」

「此方こそ助かるよ。焼くだけで一日潰れちゃうからね」

「はは、こんなに商機を増やせては此方の方が得をしてしまいますよ。契約書を交わしますので別室へどうぞ」

店主に連れられ二階へ上がる。窓にドア、そして引き戸のある棚が輝いている。流石に良い版使ってるな。

「ほう…。窓を飾るゲル版の透明度、そして輝きはガラスに劣らない事がよく分かります。傷付き易いとされる素材ですから手入れも行き届いているのでしょう。調度品に使われているゲル版に至っては中に銀の装飾を埋め込んである様に見受けられます。錆びて黒ずむ事の無い、永遠の美を楽しめますね」

「カケルさんは中々の目利きでいらっしゃる」

契約書を交わしながら、ゲル版や装飾について語り合ってしまった。話の中で、磨りガラスやガラステーブル、ガラス製の食器の話に至り、契約書が厚くなった。

意図せず不労所得が増えてしまった。最初はミズゲルの核が只で貰えれば良いだけだったのに。

夕飯迄頂いて、帰宅すると真夜中。流石にテイカも寝ちゃってて、こっそり風呂に入ってこっそり布団に潜り込んだ。
翌日は一日を掛け、新たな技術で自作の容器を増産し、三百セット完成。入浴施設に搬入すると、型を建具屋に納めに行き、また夕飯をご馳走になってしまった。

「お帰りなさいませ。誰と致して…男ですか?」

「致してないから。建具屋の店主と容器作りについて話してただけだから」

今夜も遅くになってしまったが、テイカは起きて待ってたみたい。風呂でイチャイチャして寝る。

「焼き部屋が用済みになっちゃいましたね!」

「あったかいから、カララ好きなの」「私も」

 朝食を摂りながら契約の話をすると、温かい焼き部屋の虜になった龍から惜しむ声。

「ゲル版や陶器以外にも焼けるし、まだまだ使い道はあるよ」

「旦那様、あの部屋で焼き菓子を作れば、沢山焼き上げられますね」

「「「やきがし」」」

リアが迂闊な事を言う。

「あの部屋ならケーキのスポンジも沢山焼けますね!」

「「「ケーキ」」」

サミイが迂闊に乗っかって、女達からオーラが見える。悪魔の食い物は手間が掛かるから作りたくないんだが、そんな事言ったら暴動になり兼ねん。孕ませ行脚もしちゃったし、断る事等出来無かった。




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