女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,402 / 1,519

中々の目利き

しおりを挟む


 蓋の方は職人の言葉を参考に作る。型から出され、水冷された容器のバリを取り、一セット完成した。やはり水冷でも問題無く出来た。

「この型があれば同じ物が量産出来るな」

「途中、刻むのが面倒だが、まあ何とかなるだろ」

「バリも熱い内に取っちまいてぇな」

その方が削る手間が省けるか。もう一度作らせてもらう。型押しして、バリがはみ出したら形から外し、バリを切り離して再び型を嵌め、冷やす。

「ん、悪く無えな」

「まだ版に触れねぇ奴の練習にもなるな」

職人達の感触は良さそうだ。

「しっかしよ、こりゃゴミが多いな」

その意見は何れ出るとは思ってた。四角く切ってバリを取ると結構な余分が出てしまう。価格に乗せると言うよりも、処分をどうするかが話のメインになった。普段は砕いてゲル槽に入れて食わせるそうだが、量が多過ぎると溢れてしまうと言う。勿体無いからと言って砕いたのをゲルと混ぜて版にすると像が歪むそうだ。

「自作のゲル版で作ったから強度はダメダメなんだがこんなのも出来るぞ?灯りのカバーにしたんだが、光が散ってキレイなんだ」

イゼッタ達が量産して投げ出した、灯りのカバーを職人達に見せる。

「確かに脆いな。それに穴だらけだぜ」

「いや、コレは中々売れそうですね。親方、生に屑を塗して型押ししてみてくれ」

店主は何かを閃いたようだ。指示を受けた親方が下の者に指示を出し、型を使う。

「バリが出ないよう、量を減らしてみやしたが、如何ですかい?」

冷えてまだ滴りの残る容器を手に取り、店主は陽に翳す。

「カケルさん、コレも家でやらせて貰っても?」

「此方こそ助かるよ。焼くだけで一日潰れちゃうからね」

「はは、こんなに商機を増やせては此方の方が得をしてしまいますよ。契約書を交わしますので別室へどうぞ」

店主に連れられ二階へ上がる。窓にドア、そして引き戸のある棚が輝いている。流石に良い版使ってるな。

「ほう…。窓を飾るゲル版の透明度、そして輝きはガラスに劣らない事がよく分かります。傷付き易いとされる素材ですから手入れも行き届いているのでしょう。調度品に使われているゲル版に至っては中に銀の装飾を埋め込んである様に見受けられます。錆びて黒ずむ事の無い、永遠の美を楽しめますね」

「カケルさんは中々の目利きでいらっしゃる」

契約書を交わしながら、ゲル版や装飾について語り合ってしまった。話の中で、磨りガラスやガラステーブル、ガラス製の食器の話に至り、契約書が厚くなった。

意図せず不労所得が増えてしまった。最初はミズゲルの核が只で貰えれば良いだけだったのに。

夕飯迄頂いて、帰宅すると真夜中。流石にテイカも寝ちゃってて、こっそり風呂に入ってこっそり布団に潜り込んだ。
翌日は一日を掛け、新たな技術で自作の容器を増産し、三百セット完成。入浴施設に搬入すると、型を建具屋に納めに行き、また夕飯をご馳走になってしまった。

「お帰りなさいませ。誰と致して…男ですか?」

「致してないから。建具屋の店主と容器作りについて話してただけだから」

今夜も遅くになってしまったが、テイカは起きて待ってたみたい。風呂でイチャイチャして寝る。

「焼き部屋が用済みになっちゃいましたね!」

「あったかいから、カララ好きなの」「私も」

 朝食を摂りながら契約の話をすると、温かい焼き部屋の虜になった龍から惜しむ声。

「ゲル版や陶器以外にも焼けるし、まだまだ使い道はあるよ」

「旦那様、あの部屋で焼き菓子を作れば、沢山焼き上げられますね」

「「「やきがし」」」

リアが迂闊な事を言う。

「あの部屋ならケーキのスポンジも沢山焼けますね!」

「「「ケーキ」」」

サミイが迂闊に乗っかって、女達からオーラが見える。悪魔の食い物は手間が掛かるから作りたくないんだが、そんな事言ったら暴動になり兼ねん。孕ませ行脚もしちゃったし、断る事等出来無かった。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ
ファンタジー
 前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?  「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。  仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。  病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。  「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!  「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」  魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。  だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。  「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」  これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。    伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!    

処理中です...