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戦争の元
しおりを挟む寝室のベッドでごろ寝…等出来る筈も無く、ツンツンチクチク、痛みの有る無し関わらず《威圧》がピュンピュン飛んで来る。もしかして、ラビアン達も《威圧》使えるのか?殺気も悪意も無い純粋な《威圧》なので場所を特定するのが難しい。一番痛い時は飛んで来た先にネーヴェが居たが、他にも数人居るので確定は出来ん。どうにか《威圧》を回避出来ないか考えていると、子供達やラビアンの輪の中にいたネーヴェが動き出す。
「カケルー」
「子供達が起きてからだろ?」
「テッチー達、帰るじかん、だって」
…それは、仕方無いな。それ程時間に拘っている訳で無し、寂しがる顔を見たい訳でも無い。
「分かったよ。皆で食べる準備をしててくれ」
「カケルだいすきー」
「俺も大好き~」
瞬歩並の速度で寝室から飛び出したネーヴェを歩いて追い掛けた。
食堂には、取り皿にカトラリー。そして飲み物がピッチャーで用意され、島民が整然と席に着いていた。
「配膳を任されました」「間違い無く行うのです」「「よろしくお願いします」」
ニト母子と年長二人が配膳の任に就くようで、俺の傍で待機する。切り分けるのもやって欲しいが任せたら死人が出兼ねんので諦めるしか無い。
空いてるテーブルに焼き立てのケーキを顕現させると、甘い湯気と共にどよめきが上がる。四角い平鍋からケーキを浮かせ、薄紙を《収納》するだけでどよめきが歓声へ変わる。
二、四、八。二、四、八、十六で百二十八分割。島に居る総数は子供含めて六十八人なので鍋二つで一人二個当てとなった。
「カケル様」「早くなのです」
「皿に盛ったらこれをトッピングしてくれ」
「「「わぁーーーっ」」」
一皿を代表して盛り付けると、歓声が大歓声になった。コレがあれば世界の半分は支配出来そうな感じがする。しないけど。ケーキにぽってりと盛られたホイップの上に、糖蜜漬けのフルーツがとろりと掛けられ艶を増す。
「俺は外に持ってく分をやるから、皆は自分達が食べる分をやってくれ。オカワリは一回だけだぞ?」
「「「はいっ」」」
相変わらず良い返事だ。
カロ邸に八人分、セカンドハウスに十一人分をよそっては仕舞ってく。配膳係が配膳を終え、女達がキラキラとした目でケーキを凝視している隙に、残った八十二個とトッピングの残りを《収納》した。戦争の元だしな。
「カケルッ!カケルーッ!」
「別に俺が音頭取らなくても良いだろ?好きに食べなよ」
「頂きますっ」「「「頂きまーっす!」」」
普段食事の音頭等取らないのに、こんな時ばかりは音頭を取らせようとするのはどう言う事か。ネーヴェの叫びに答えるとイゼッタが音頭を取り、皆が同調する。
…一瞬だけ、静かになった。
「んまーーーっ」「とろとろでっ、ふわふわれふっ」「なんと…まあ…」「んまーーなのーーっ」「ふー…すー…」「やわっ!ふわっ!」「美味しい!」「何これーーっ!?」「「「ふぁ~~~…」」」
姦しいを通り越して五月蝿い。静かに食ってるのは三姉妹龍とリアとバジャイだけか。否、ネーヴェもか。ネーヴェは鼻に抜ける香りを堪能するのに頭が一杯で言葉にならないらしい。皆が皆、自分の世界にトリップしながら子供達にも食べさせてる。器用なモンだぜ。
さて、この場に長居すると余った物の争奪戦に巻き込まれるので移動する。妹が食べて兄が食えないのは可哀想だからな。ハークの城へ《転移》した。
「カケ、あ、甘い香り」「ぐっ、惑わされません」
惑わしてるつもりは無いし、しっかりナイフでグリグリしてる癖に、このメイド共は何を言うのか。
「あーハークにケーキを持って来たんだがなー。メイドに刺されては帰るしか無いかー。一杯あるのになーーー」
「「カケル王に永遠の忠誠をっ」」
「ったく、現金なモンだぜ」
二人が平伏し解放される。
「カケル。僕も忠誠、誓う?」
「ハーク、俺とお前は友達だ。媚び諂う様な間柄にはなりたく無いぜ?」
ハークきゅんに泣かれて抱き着かれた。
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