女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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仲間

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「俺ダート!」「ニット!」「ガット!」

 大きい大人を見るとキラキラしちゃうお年頃。気持ちは分かるぞ。でっかい手でグリグリされて喜んでおる。

「其方さんはネーヴェ様ですね?船員から話ゃ聞いとります。宜しく頼んます」

「うム。うやまえ~」

「リュネでぇ~っす」

「ははあっ」

直ぐに平伏した。船員達も驚いたが俺も少し驚いた。

「あ、あのっ。アルアと、申します」「ハークですっ」

「アルアに、ハーク…成程。成程なっ。こりゃあド偉ぇ報酬払っちまったぃ!ハーッハッハ!」

ディカッカは二人の名を聞いて、膝を崩して笑う。そりゃあ自国の王の名くらいは知ってるか。

「俺の仲間だ。仲良くしてくれると嬉しい」

「お前ぇの仲間ならもう俺達の仲間だ!良いか野郎共!」

「「「うおおおおおおっ」」」「「「うおー」」」

五月蝿い。兎共も真似すんな。

 酒が出る。ハークとアルアは果実水。少年隊は水割りで。龍とフレンズについては関知しない。俺は《解毒》してから飲む。キツい。強い。水も飲みたい。海の男達の話を聞いたり、ネーヴェが船員をボコボコにするのを見て夜は更けて行った。

 アルアとハークに少年隊が、フレンズの二人にに担がれて、穴の宿ミスリルピックに向かう。深夜だが飛び込みで行って大丈夫なのだろうか?キキラは「何とかなる」と言っていたが、ダメなら俺が城に連れて行く運びとなる。
残った俺と龍二人、飲み潰れた船員がトーピードの如く床に転がるサンジョリンの店で、店の酒を飲み尽くす勢いの生き残り船員を見て感心していた。

「よく飲みますねぇ。自制が利かないのは人の子の特徴ですけぇど」

自由の権化が何を仰る。《解毒》を掛けてる俺以外で、酔って無いのは龍だけだ。俺はチビチビ、リュネはゴクゴク。床に転がる船員達は、リュネに負けじと対抗し、返り討ちに遭った者共だ。

「お腹、いっぱい。ねもい」

一方ネーヴェは食って飲んで、力比べでボコボコにし、腹一杯になったらお眠さんだ。

「フレンズと一緒に行けば良かったのに」

「ここに、枕がある…」

椅子に座ったまま横になり、俺の太腿を枕にした。仕方無いので浮かせておくか。

「なあ、カケルよう」

「どうしたね」

酒強勢のディカッカが円卓の対面から問い掛ける。その声は少し低めだ。

「俺は、俺達ゃあどうしたら良い」

「…ハークの事か?」

「仲良くしろーつったってよぉ」

「仲良くなり方が分からん、とか?」

「そりゃあ、歳が離れ過ぎてるのもあるが、そうじゃ無ぇ。漁民と陸のモン。獣人と人種。下と外。平民と貴族。この街と他所の街、そして国。この街では特に確執が多い」

「成程な。だが傍から見て、気にする程でも無いと思うがね」

現にディカッカは人種だが、船員には人種獣人関係無い。トーピードの頭部を加工した目出し帽を外してるのを見た時は体毛の薄さに猿の獣人かと思ったくらいだ。

「俺達漁民は下のモンと口聞く機会も無ぇんだぞ?」

「心配し過ぎだな。デカい街になればなる程会う事も無く一生を終える者が出る。職場が違えば尚更だ」

「まあ、そうだが…」

「毛や尻尾の有る無しだって好みの問題ってだけに思うよ。交流が無いから近場の者が基準になる。お父さんみたいな人と一緒になりたいって言う娘と同じだぜ」

「カケルさんはぁ、娘にそんな事言われたら泣きますねぇ~」

リュネは俺を泣かせたいみたいだな。想像すると鼻がツンとするので成る可く考えないようにする。

「大丈夫だ俺みたいな男居ないから。…話は逸れたが、交流を深めたければ祭でも開けば良い」

「祭ったぁ、何だ?」

「地域の交流会だな。収穫を祝ったり、豊作豊漁を願ったり、単純に娯楽だったりもする。街ぐるみで用意して、食って飲んで余興して、互いがどんな奴かを知るんだ。知った仲なら助け合いを躊躇わんよな?」

「ああ。仲間は粗末にしねえっ。勿論ハーク…様もなっ」

公の場で無ければ呼び捨てで良いと返した。




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