女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,482 / 1,519

壊滅

しおりを挟む


 残りは五匹。離れた場所に群れていて、地表に一匹、空に四匹。

「後五つ、あっちにいっぜ」

「固まってんよな」「釣る?」

ぴょんぴょんしてた少年隊はしっかり周りを見ていたようで、俺が口出しする必要は無かった。

「相手も見てるって事よね」

「だろうね~。カケルさんならどうする?」

友恋は俺の口出しを期待して話を振った。

「俺なら階段を先に探すね。戦わなくても行けるなら、ソレに越した事は無い」

「探してる最中に見付かっちゃったら?」

「そんなの聞く迄も無ぇよ。殺るか逃げっか食われっか」

「だよなぁ。先に逃げ道作るのはアリなんよな」

フレンズは自問自答。話し合いの結果、降り口を探す事となった。皆飛べないので歩いて探す。俺から答えを聞かないのは自立してやって行けてる証拠だな。

「兄貴に聞くと面白くねーじゃーん」「「ねーじゃーん」」

「オレ達の経験になんねーもんねー」「なー」

「下手に空飛んでトカゲが来たら嫌だもの」「おんぶに抱っこになっちゃうもん」

だそうだ。

 昇り口迄戻り、景色に見える壁を左手で触りながら右回りでグルッと一周していると、景色に腕が突っ込んだ。意外と近くに降り口があった。これも一つの罠なのだろう。トカゲが奥のに居るからと、降り口はあっちと決め付けて、トカゲの相手に時間と労力を使っても、無い物探しで更に時間を取られてしまう。穴に飛び込む降り口もあったな。

「んじゃ、行くよ?」

斧を盾にしたフレンズを先頭に、密集隊形で景色の中に溶けて行く。

「入ると普通なんだね」

「少し休むか?」

「まだまだー」「「だー」」

「まだまだ」「な」

「そうね」「あたい魔力しか減って無いし」

先に進もう。階段部屋の扉を開けて、珍しく明るいダンジョンに出る。通路の端々に松明の灯りがあり、遠くでも通路が見えていた。

「あの松明、燃え尽きないのだろうか」

「オレ等の街でこんな事したら大問題だぜ」

「幾らあっても足りなくなるわね」

「燃料代もそうだけどさ、下で働いてる奴等が突然ぶっ倒れんだよねー」

「何それ怖」

俺の疑問に返答が来る。少年隊が松明を引っこ抜こうとしたが、ダンジョンの壁と同じなのか、手に入れる事は出来無かった。諦めて先に進む。

「明るくはなったけど、やっぱ先は見難いね」

肉眼のシトンに合わせて進むが、シトンがボヤく様に逆に進みが悪くなる。

「明るいと暗視が鈍るんだよなー」

「影に敵が潜んでるものね」

 明るくなる程影が出る。松明と松明の間に影が生じ、虫やヤモリ、小型のゴーレムと言ったモンスターが潜んでいたのだ。虫は幼虫と蛾。それに細長い甲虫で、ヤモリ共々毒を撒き散らす。毒は体の内外を焼いたり痒くさせたり臭かったりする。ゴーレムはとにかく動く前に見付けないと本当に面倒臭い。一つの軸から左右二本の腕を生やし、腕と上半身をグルグル回して突っ込んで来るのだ。迂闊に止めようモノなら下半身が浮いて回りだし、地面や壁に当たって跳ね回る。虫達の毒が着いてたりしたら更に大変。毒を飛び散らせ、毒鱗粉を撒き散らし、息をするのも困難になる…と言うか、なった。
始め虫だけが出て、面倒だねー、なんて話をしてたらゴーレムも居る場面に遭遇し、フレンドリーファイアしながら回るゴーレムに毒塗れにされて壊滅仕掛けた。流石に危険と判断して俺も加勢。《威圧》の壁に閉じ込めて動きを封じ、《結界》張って皆を治療したよ。

「くっそ、死んだ…もう三回目だぜ…ヘスに悪い事したな」「シンバ…グスッ」「ゴメンよエルママァ…」

生きて喋ってる少年隊だが、俺が居なけりゃそうなっていた。勿論女達もだ。

「泣くな泣くなっ。泣くなら世話係の胸の中で泣けっ。生きて帰った嬉し泣きだ!」

「「「ふぇ~い」」」

「旦那ぁ」「オレ等はぁ?」

「今直ぐ来い。撫でてやる」

「「うわ~ん」」「あ、アタイもわ~ん」「うわ、わ~ん」

四方からタックルされて撫で捲った。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...