女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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捕まった

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「カケルとやらは何処だい?」

「此処に居るぞ!」

「冒険者!職員一同!その男を捕まえろ!其奴は領主様の依頼を潰し、お前達の報酬を無しにしようとしているぞ!捕まえるのに参加した者には一律銀貨三枚!!捕まえた個人には金貨一枚だ!」

 優し気な声に返事をすると反応が一変する。上からの命令に従わらざるを得ない職員に、金が欲しい冒険者。皆が此方に睨みを利かせ、得物を抜こうと姿勢を下げる。

「よし、捕まえた」

「あー、捕まったー」

残念、俺は捕まってしまった。隣に居たのだから当たり前だ。

「ギルマス、金。はよ」

「先に捕縛してからだ」

「有耶無耶にする気だろ。俺は詳しいんだ」

俺も詳しいんだ。なので焦らせてやる。

「さて、逃げるかなー、どーしよっかなー」

「逃げる前に金!はよ!」

「くっ」

渋々だな。最初から報酬なんぞくれてやるつもりは無さそうに見える。弥一の伸ばした手に受付嬢が金を乗せると、金を仕舞う為弥一は手を離した。

「ギルマスよ、控えいっこの紋所が目に入らぬか!?」

「書状のいん…だと……そっ!?」

「この書状は国王陛下より下された物である!直ちに目を通し返答せよ!」

声高に宣って書状を開く。寄って来たデブは内容を見ると、額から油を流してプルプルと震えた。

「返答は如何に!?」

「くっ…こんな、こんな男が国王陛下の使いである筈が無いっ!陛下の名を汚す者だ!であ…」

出会わせねーよ。

「お前、町に領主の使いが居るだろ。連れて来るか居場所迄案内しろ」

「しっ!知りま「案内しろ」…はい」

「仕事大変だな。飯奢ろうか?」

「だろ?けど宰相を待たせてっから今度な。さあ行け」

「…はい」

 受付嬢を前に歩かせ案内させると、街一番の宿に着いた。領主の別邸とかでは無いんだな。
《感知》で見て、一番上の部屋に居た。他の部屋は見た目に違うしな。

「私、冒険者ギルドから参りましたスワンプ・オルトリンと申します。ご領主様の使いの方にお取次ぎをお願いします」

ギルドからの使者で貴族の子女なら話が早い。直ぐに店長が飛んで来て、使いを出そうとする。

「待て。店長が向かった方が良いのでは無いか?」

「あの、其方様は」

「国王陛下から書状を預かった者だ。お前が行かねば真面目に取り合わんのでは無いか?と言っているのだ」

「そんな事は…」

「不敬罪」

「は?」

「一族郎党処分されても良いのなら推して参る」

「わ、分かり、承知致しました。直ぐにお呼び致しますっ」

やっと走ってった。信じるかどうかは個人の自由だが、それこそこの女みたいに人のせいにして行動に移してくれた方がまだ楽で良い。

暫くして、領主の使いとやらが降りて来た。訝しむ目をした男に《威圧》して、前後我慢ならなくして動きを封じる。

「読め。そして返答しろ」

「あ、あば、あばばっ」

「返答無くば、処分する」

「うぶ、承りっ、ヒギッうけたーまりましたっ!ダメッ!漏れっ」

宰相の元へ《転移》した。

「サライプラマのギルマスは不敬罪により処分した。領主の使いは了承したよ」

「では、ザットルマン伯爵家へ向かうのですな?」

 騎士達がホルスト車に張り付いたのを確認し、伯爵の屋敷へ《転移》した。門前に二十人もの騎士が現れたのだ。門を守る衛兵もびっくりして槍を構える。騎士達も驚いていたが構えられた槍を見て隊列を整えた。えらいえらい。

「待て。降りて話そう」

一触即発に割って入ったのは宰相である。騎士の一人がドアを開けて降りて来ると、紋章に気が付いたのか衛兵は直ぐに矛を収めた。

「宰相閣下とは知らずっ槍を向けた事ご容赦!何卒ご容赦をっ!」

「良い。多勢に臆せず対峙する心意気、真に立派である。当方も繋ぎもなく現れたのだ。許せよ?」

「「ははーっ」」

 なんかコッチの方が旅の副将軍みたいだなー。年寄りだからかよりそれっぽく見えるぜ。屋敷の中から執事服が競歩並の速歩で歩いて来た。




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