女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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転売屋

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 腰をクイックイッとして、ビタッと止まり、腰を直角に折って挨拶が始まった。長い挨拶がすげー長い。アルネスがリアにした挨拶より断然長い。役職付きの最高位貴族は此処迄長いのか。全文聞くのが面倒で途中から《感知》で余所見していたが、この長~~~い挨拶をしてる隙に屋敷のメイド達はバタバタと準備をしていた。

「宰相殿」

「ん、暫し待たれよ」

宰相に耳打ちすると、仰々しく頷いて執事服に向き直る。

「家令よ、向上の途中口を挟むのを儂は良しとはしない。しかし陛下より賜ったリザルトの肉を悪くするは陛下の御名に傷が付く。振る舞いも歓待も不要である。如何に」

「はっ。直ちに主へ伝えさせて頂きます。どうかご緩りとお寛ぎ下さいますよう、主に成り代わりまして御座います」

やっと終わった。執事服の家令さんも途中無理に端折ったな。素人の俺にも分かったぞ。家令さんの速歩にホルスト車が続き、ロータリーに停車する。直ぐに貴族服の男が出て来た。

「これはこれは!「挨拶は不要」はっ、クリストフ、中へ御案内差し上げろ」「承知致しました」

さて、宰相が伯爵と話し行くと、メイド達が騎士達を歓待するって事で別室に誘われる。俺はメイドを捕まえてお肉をお裾分け。俺は冒険者ルックだからか護衛の人と思われて、厨房でお茶を頂く。

「ねね、これ、どうやって食べるのよ?」

「てか食べた事あんの?」

「鳥肉に近い味で柔らかく、煮込んでも焼いても良い。特に炭火で焼くと香ばしさと火の香りで塩塗しただけで美味い」

「「「じゅるり…」」」

「オーブンは薪窯か?」

「今から用意致しますっ」

 普段は属性魔石を使ってるんだって。転売屋め…。

「あのー、冒険者のカケル様は此方ですかー?」

「此方に居るぞ」

 肉の手持ちが全員分の焼肉にする程は無かったので色々料理法を伝授していると、伯爵家のメイドが呼びに来た。宰相が、話に立ち会えだって。

「サボってたのがバレて怒られるのですね、きっと」

「怒られたら慰めてくれる?」

「お偉くお成り遊ばせたら幾らでも慰めて差し上げますですよ。ふふっ」

これ以上偉くなるにはどうしたら良いのだろう?世界征服でもしなきゃダメか?激しく面倒だ。

「旦那様、カケル様をお連れしました」

お連れされられ客間に入ると、領主が駆け寄って平伏した。

「王籍とは知らず礼を失しました事っ、平にご容赦お願い奉りまして御座いますっ」

「うむ。とは言え今はお忍びだ。この国の爵位も無いので楽にしてくれ」

「ははっ」

振り返り、ドヤ顔してやる。

「領主殿がならん事をしたのが発端だが、此方が無礼をしたのも事実。怒ってくれて構わんよ」

「怒る等滅相も御座いませぬ事。貴重なランドドラゴンの肉を賜り感謝の言葉が尽きませぬ」

「アレはグリーン氏リザルトだ。ドラゴンとは違うが美味いぞ。厨房の物に調理法を教えておいたが、量が無くて済まなく思う」

顔を青くしてるメイドを下げさせて、椅子に着いてもらった。

 宰相曰く、この領主、立派な男なのだが少し流され易い性格なのだそうだ。ホテルオナホ討伐の話も先に振って来たのは今は亡きギルマスの方で、木のモンスターが大きくなり過ぎたので討伐したら巨大な魔石が…、なんて話に引っ掛かってしまったらしい。使いの男ともきっとズブズブだったのだろう。

「魔物死すべしで動くのも、王に魔石を献上するのも悪い事では無いが、事前に調べてから動くべきだったね」

「はっ、肝に銘じましてっ」

「魔力をたっぷり与える必要はあるが、上手く付き合えば後一人くらい孕ませられちゃうかもね。結構食ってたし…。所で宰相殿はどうかな?」

「わ、私は何とか治まりましたが…」

「準備も無しに世話になる訳には行かないし、今夜はお忍びで街の宿屋に泊まろうか」

「そうでありますな」

タマゲルみたいには行かないだろうが欲かかない程度に付き合うのが良いと告げ、ギルド宛に一筆書いてもらった。でないと俺が益々ギルドに嫌われちゃうからな。




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