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指名依頼だ
しおりを挟む代行の懸念は治安の悪化にある。冒険者だけなら個人の遣り取りで済んでしまう所もあるが、市民がダンジョンに入るとなると、それだけ脛に傷持つ者も入り込む訳で、入場料五万ヤンはソレを抑える役割もあるのだと聞かされる。確かに成程な。
「入口に水晶玉でも置くか?殺しても赤くならないと聞くが」
「信念ある殺しなら、ね」
「まあ二十一階だ。ソロで生き延びれる場所じゃ無いだろうよ。それに、木の魔物の中から出られなくなって養分にされる未来が見えるね」
「逆に隔離してしまえ、と?」
「問題は途中で隠れたりする奴等だな。護衛を巻くなんてスリ辺りなら常套手段だろ」
「そうだな。代行の私にどうこう出来る問題では無いし、着任早々問題を抱える新マスターが思いやられるよ」
「最初は条件厳しめで行くしか無いだろうね。流石に狩りもしないで五万は取り過ぎだが」
「あぁ、地上なり地下一階なりに出来てくれれば良いのに…」
「土産屋に買取り出張所もあると良いな」
「良いなそれ。木の魔物に頼んでくれ。ギルドからの指名依頼だ」
「無理だね。ダンジョンの魔物は自分が生きるだけの魔素がある、一番安全な場所に住むんだ」
「…風呂代が高く付きそうだな」
オーバーフローに来た魔物がお風呂で元気になって出て来たら大変だものな。ギルド案件はその場で取り消された。
「カケル、遅い」「おそい」「遅えりなさいませ、カケル様」
島でのお迎えはステレオペアにテイカの三人。魔道具の納入に国王案件、ダンジョンでの治安維持もして来たのだから遅くもなる。勿論十本槍とのエチエチもして来たが、誤差だよ誤差。
「お土産にダンジョンフルーツい~~~っぱい貰って来たぞ~」
「「わ~~~い」」「色んな女の匂いがしますが?」
「ミルカ達にも会えたんでな。シャリーが産んだと聞いてこの世の終わりみたいな顔してたぞ」
「お知り合いですか…クンクン。確かに、一度以上抱いた匂いですね」
テイカは獣人なのだろうか?肌の色だけ受け継いだ、獣人のハーフとかなのか?
とにかく仕事が一段落着いたので、カロ邸へ回診に向かう。食堂にダンジョンフルーツを納入し、カロ邸へ向かう旨を伝えると、フルーツに齧り付くイゼッタとリアが同行する事となった。
「あれ?リュネ此処居たのか」
「卵に入れて可愛がりたいですねぇ~」
半分に切った卵型のベビーベッドに納められた四人の命は、この龍が握っていると言う事か。
子供部屋になった客室にはリュネしか居らず、親達の姿は無かった。
「お世話ありがとうね。心優しい龍に愛されて、俺もこの子達も幸せ者だな」
「ぎゃ~おぉ~ん」
「リュネ~」
「子供の前で何をされておりますか」
ドアが開き、シャリーが姿を現した。体の調子が戻ったので屋敷内での仕事を再開したと言う。
「検診…、ああ、そうですね。皆さんを呼んで来ますので隣の客室でお待ちください」
検診の事を話すとシャリーは一礼して部屋を出たので俺達もそれに続く。客間にはノーノが居てラビアン達とベッドメイク中であった。折角キレイにしたのに悪いが検診の事を話すと了承してくれる。
「あ、なら私が。チチッ、チチッ、チチッ。はい。コレで集まります」
ラビアンのナゾ暗号は俺には理解出来無いが、モールス信号みたいな物なのだろうか。で、ちゃんとシャリーにフラーラとアルネスが来た。
「お前達ラビアンの暗号が解るのか?」
「いえ、ラビアン達が集まるようにと」
「はい。私はシャリーさんと合流してましたが、ニト母さんに呼ばれました」
ニト母って呼び方、定着してたのか。とにかくメイドが集まったので検診を始める。
「先ずは服を脱ぎます。皺になっちゃうからね」
「奥様達のを見ておりますから、大体の流れは把握しておりますよ」
「シーツも皺になるので一人ずつお願いしますね」
一人ずつうつ伏せに寝かせ、体の歪みを治したり異常を診て検診を終えた。
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