女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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命拾い

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「エラい混んでんな。お前等並んでんだろ?」

ボス部屋前は列を成し、部屋の隅で寝てる奴も居る。最後尾に着いて前の奴に話し掛けると、面倒臭そうではあったが此処が最後尾だと教えてくれた。お礼に炒り豆をくれてやろう。

「何だそれ。ん、なんか甘いな。…まさか毒じゃねーだろうな?」

「食ってから言うなよ。俺のおやつだ。腹に溜まるし日持ちするから便利だぞ」

「ふーん、ボリボリボリボリ…水欲しくなるな」

「おい、俺にもくれよそれ。ボリボリボリボリ気になる落とし音出しやがって」

「情報次第でどうだ?」

「良いぜ」

 男の前に居る奴は仲間なのか、ボリボリ音に惹かれただけか、炒り豆くれとせがんで来たので対価を吹っ掛ける毛深い男。獣人か?毛深い男はボス部屋の住人について教えてくれた。予想通りブフリム種が大小湧いて出るそうだ。炒り豆一掴み持って行け。

「ガリボリボリゴリ…懐かしい味がしやがる…」

その後二人と他愛無い話等して順番が周り、毛深い男、前の男、それぞれパーティーと合流して扉の中へと消えて行った。そして残った俺一人、絶賛ぼっちなう。

「お、お前一人か?」

前の男のパーティーが入って直ぐ、背後から来た声に視線を向けると、羨ましいハーレムパーティーの女四人とおまけが居た。良いなぁ。

「良いなぁ」

「あ!?俺の女に色目使うなよコラ」

「ああ、悪い悪い。俺も誰か連れて来ればと思ってな」

「居もしない女をか?ハッ、笑えるぜハハッ」

笑う男に対して女の子四人は笑わない。特に三人は後衛なのか、固まってしまった。

「あの、ユーダン様。サッチェ達の体調が優れない様子。私が場所を取りますので其方で少しお休み下さい」

「…チッ。命拾いしたな、ソロ野郎」

男は三人の腰に手を回し、高笑いして端へと向かう。命拾いしたね。

「あの、もしやカケル様では?」

「如何にも」

初めて見る女が俺の名前を知っていた。何でだ?俺の治した重傷者の中に知り合いが居たそうで、昨日の昼間、倉庫に居るのを偶々見掛けてしまったのだと中途半端な甲冑を着けた女は小さな声で教えてくれた。

「そうか。お前達は食えてるか?」

「ええ、最近迄メルタールで活動してましたので困る事は。ブラマハーンに行く途中立ち寄りまして潜ってみようと…。街が廃れているとは知りませんでした」

「その内活気も出るだろさ」

ガチャンと鍵が開く音がする。もう入って良さそうだ。

「お前一人なんだから俺達と代われっ」

男の声を無視して中に入り込む。代わるかボケ。

 扉が閉まり、湧いて出た敵は毛深い男の言った通りの構成で、棒で殴って済む程度の強さだった。煙の中から出て来た箱も、十階のボスならこんな物かと言う感じ。マラソンして迄連闘する程では無いな。先に進む。
階段部屋を出て、十一階からダンジョンの様相が一変した。遺跡型からフィールド型の階層に変わり、《感知》で見渡すと草原に森のある広大な階層になっていた。しかも下の階とも空間が繋げられて下り階段が凄く長い。二階層ぶち抜かれているフィールドなんて初めてだ。出て来る敵もブフリムやウォリスの他にゴーラ、デストロイヤー熊っぽいの、鹿っぽいの、蛇、鳥、虫なんてのが見える。降り口は《感知》で見渡した時に見付けてあるので走る振りして飛んで向かった。
広さがあるので敵の密度は高く無い。その代わり察知能力が高いのか、離れていても駆け寄って来る。冒険者絶対殺すマンな形相の熊っぽいのが走って来るが、立ち上がったのを見て棒を振り回す。横っ面をバチンと行ったが構わずハグされてしまった。ちょっと硬いけどモフモフだ…。抱き着かれても噛まれても、《結界》越しでは痛くない。抱き着き返して熊吸いする。皮でもドロップしてくれたらなぁ…。

「オルァ雑魚退けえっ!!」

熊吸いでトリップしていると、俺の背後から雑魚が剣持って飛び込んで来たので場所を変わってやった。





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